成人式、あちこちで荒れたという話を聞きます。でも荒れてどうこういうほどの神聖なものなのでしょうか。もし神聖にして犯すべからずであれば、ハッピーマンデーとやらでいち早く日付をずらす対象にはならなかったでしょうし(建国記念の日もずれていないし)、それ以前にも共通一次試験とぶつけるなんてことはなかったでしょう。(浪人すると式に出席できない。)
とまあ、常識的な感想を持ってニュースを見ておりました。しかし成人式をディズニーランドで、という浦安市は笑えるというかうらやましいというか。子どもを連れて行ってやりたいんだけど、体調を崩したりしてなかなか実現しないのが辛い。1月14日は随分と空いていそうだったなあ。
で、またもやディズニーがらみの話。うちのこはディズニー版白雪姫にはまっている。おかげで私も週4回は見ているが、、、だんだん疑問が生じてきた。原作のグリム童話が実は残酷な話だというのが数年前流行ったが、ディズニーマジックはこのへんを実にトゲのないようにアレンジしている。ところがそれゆえにおとぎ話でない、現実に即した怖さが浮かび上がってくるように見えて仕方がないのだ。
ディズニー版白雪姫では「鏡よ鏡よ鏡さん」と問う女王を実の母でなく継母とした。おかげで「継子いじめ」という物語によくある設定になった。かくして白雪姫がいじめられているシーンが出てきたとしてもさしたる毒はない。しかし、本当に継子なのであれば継母は白雪姫を軟禁し、殺意を持つに足る理由があるのではないだろうか。
女王が怖れることは、自分が権力から追われることである。物語に王様が出てこないことを考えれば、女帝として君臨していることが考えられる。となると「正当な王位継承者」を担ぎ出してクーデターを起こされることを警戒しなければならない。で、正当な王位後継者とはおそらく「白雪姫」である。しかも自分と白雪姫の間に血のつながりはない。クーデターの結果自分が追い出されるのはもちろん、下手をすると殺される。
危ない、とりあえず白雪姫を軟禁しておこうと考えるのは当然である。(それにしては、ガードが甘いが)それでも「自分が最も美しい」間は、国民や臣下の人気を自分に集めておく自信もあったろう。しかし、白雪姫の方が美しいとなれば、白雪姫シンパが増えることが考えられる。更にどこかの国の王子が白雪姫を見初めたとなれば、白雪姫を押し立てるクーデター勢力に強力な後ろ盾がついたことになりうる。これでは、軟禁などという生やさしい手段では駄目だ。暗殺しなくてはならない。
かくして継母である女王が白雪姫を殺そうとしたのは、権力者としてきわめて合理的な行為であることが判明した。なお、物語では「それから二人はいつまでも幸せに暮らしました」で終わっているが、たとえ二人は幸せでも、物語の後には血なまぐさい展開が待っていそうである。
ディズニー版白雪姫では継母の女王が死んでしまうので、当然国内は混乱するはずである。そこに「実は白雪姫は生きていた、白雪姫こそが正当な王位後継者である」と例の王子が介入するんじゃなかろうか。(ちなみに白雪姫の相方はあくまで「王子」であって「皇太子」ではない。従って自国で王位につくわけではない。すると白雪姫を女王に押し立てて自分が実権を・・・という欲も出てくるだろう。)
ここで白雪姫が7人のこびとと出会ったのが効いてくる。なにしろ100カラット以上のダイヤモンドがゴロゴロしている鉱山(?)にいるのだ。彼らの支援が得られればクーデターの資金面を心配する必要はない。まあ、彼らは質素な生活をしているから採掘権は別の人間が持っていて、彼らは単純に働かされているという可能性もあるが、その場合でも「クーデター成功後は、採掘権を7人のこびとに与える」などの約束をすればダイヤの横流しくらいはしてくれるだろう。
もっとも、採掘権を持っているのは彼らである可能性も高い。彼らが質素な生活をしているのはカモフラージュのためなのだ。つまり、かれらは宝石をジャラジャラ掘り出していることを秘密にしたいに違いない。映画によると彼らの通う鉱山はカット済のダイヤが湧くようにある、ということはjこれは天然の鉱床ではなく、人為的に集積されていたところ、つまり土砂に埋まった城とか、あるいは墓であると考えるのが自然である。かれらはその場所をひた隠しにしたいがために質素な生活をしているのだろう。ひょっとして盗掘か?映画の上で白雪姫のために金とガラスで作った棺を調達したという経緯もある。やはり自由にできる資金は相当あったのだろう。
白雪姫を初めとするグリム童話はユング派精神分析学者によっていろいろと解釈されているが、ではディズニーによってアレンジされた白雪姫は何らかの分析がされているのだろうか。Googleでサーチした結果では見つからないんだが、読むと面白いだろうなあ。
ディズニーが売れる理由を知りたい人は山ほどいるだろうし、となるとユング精神分析の伝統を踏み台にしてなんらかの集合無意識への関与を導き出す人がいてもおかしくない。結構興味深いものが出来そうなのだが。ディズニーが儲かる理由は分かるのだわ。「無料のものに値段をつけて売る」手法の1つを発見した。グリム童話を映画にするのはタダである。しかし白雪姫のキャラクターを描くと値段が付く。
そういえば、ディズニー映画では2001年のAtlantisが最初のオリジナルストーリーなんだってね。ディズニーのCDのパンフレットにそう書いてあった。そうかあ、ライオンキングはジャングル大帝のパクリと言われていたがやっぱり・・・。でも、ディズニーの商業主義、鼻につくところもあるけども支持はしているのだわ。以前ディズニーワールドで湖上に飛び交う花火を見上げたとき「ああ、世界がひとつになるといいなあ」と純粋に思わせてくれた。残念ながらそう思わせてくれるためには、かなりの投資が必要なのである。ディズニーが潰した商売敵の誰一人として、おそらくはそこまでの思いはさせてくれなかったであろう。
(2002.01.27 加筆)広告ネタ、目次へ
ニョーボの説。白雪姫は王妃が化けた魔法使いのおばあさんをとても良い人と思っているんじゃないかなあ。
白雪姫は「このリンゴを食べると願いがかなう」といいくるめられ、「王子様が迎えに来ますように」と願いをかけてリンゴをかじった。で、目がさめたら王子様がいる。何も知らない白雪姫は魔法使いのおばあさんのおかげで王子様に会えたと思うだろう。