ディズニー版人魚姫「リトルマーメイド」、ここまでハッピーエンドにしていいのかしらと悩みつつも、キスシーンが決まっているので、まあいいか。ちなみにアンデルセンのオリジナル版人魚姫では人魚のおねーさんたちは禿頭になっているはずなので泳ぐとき水の抵抗が少なくなるはず。おかげで人魚の社会は更に発展したに違いない。わがまま人魚の末娘も結果的には社会に貢献したということだ。広告ネタ、目次へそれにしても人魚姫アリエルとエリック王子のキスシーンが決まっている。きっといいお手本が・・・で連想したのがチャールズ皇太子とダイアナ妃ご成婚当時の「ロイヤルキッス」。多分あれが作画の資料になっているに違いない。で、証拠はないかよく見てみた。
おお、エリック王子が声のでない人魚姫アリエルに対し「せめて名前が知りたい。当ててみよう」と言って最初にあげた名前が「ダイアナ」だった。傍証ではあるがやはりチャールズ&ダイアナを意識していたに違いない。私は何を隠そうチャールズ皇太子のファンである。なぜファンになったかの経緯をここも紹介。
皇太子ご夫妻が来日したとき、ついつい修学院離宮まで見物に行った。白川通りを修学院離宮に向かわれるときはにこやかに沿道の人民に手を振っていたダイアナ妃も、修学院離宮の門から車が出た瞬間だけは違った。うんざりした表情で大きくため息。
しかし次の瞬間チャーリーはダイアナ妃を隠すように身を乗り出して、にこやかに、これ以上ないほどにこやかに手を振られた。かっこいい。滅茶苦茶かっこいい。これが王室というものか。すっかり感動した私はこの日以来無制限にチャーリーファンになってしまった。
なぜかこの話をすると殆どの人は大笑いするんだなあ。あとから知ったのだがチャーリーはフリーメーソンの長になることを拒否してるんだってねえ。秘密結社とか嫌いなんだそうな。ますますファンに。
Disney Magicの"Magic"を「魔法」と訳してよいレベルにディズニーがあったのは、せいぜい冒頭に上げた1988年のリトルマーメイドまでではなかったのだろうか。(92年の美女と野獣」までといってもいいかな?)それ以降は「手品」や「幻覚」と訳したいレベルだ。最近はついにやってはならないことをした。
「リロ&スティッチ」の予告編をみて愕然としたね。美女と野獣のパロディのつもりかもしれないが、落ちてきたシャンデリアにヒロインであるベスは気分を害して、とっとと部屋に帰ってしまう。野獣は身を呈してかばってくれたのにである。もともとのキャラクターばかりか、やさしさに心が解けてゆくという物語の主題まで狂ってくるのだ。
で、この映画主人公がディスニーはじまっていらいの「ワル」だって?
いや、ディズニー映画の主人公に醜い面は初めからあったのだ。白雪姫はこの林檎を食べると願いがかなうといわれ、いかにも怪しげな老婆の差し出す林檎をかじる。この時の白雪姫の欲に駆られた表情は意識して描いたものだろう。
ラストシーンのシンデレラの勝ち誇った表情。空を飛んだとき、それまで自分をいじめていたサーカス仲間に仕返しをするダンボ、夢で会ったから知り合いだと簡単に口説かれるオーロラのあほさ加減。(これが「去年の夏マリエンバートで会いましたね」と口説いているのなら多少評価が・・・)アリエルも結果的には父親を魔女に売ってしまう。そういった毒がウォルト=ディズニーのいいところだったのだが。さて、そういったシーンは圧力団体が不適当だと検閲してしまったのかしら。(この露骨な醜さが日本製アニメにはあまりない。出たとしても人間の弱さということで説明できてしまう。)
チャールズ&ダイアナは醜さを垣間見せて別れてしまったが、だからダイアナは嫌いだという人はおるまい。チャーリーも悪くは言われない。
同じようにウォルトは嫌われることを怖れなかった。結構これってすごくないですかね。垣間見せる醜さ以上の普遍的価値観をおとぎ話の中に見つけることはできたみたいです。
オリジナルストーリーを作らなかったのは嫌われることを怖れてかあ???なるほど。ウォルトがファンタジアでストラヴィンスキーを使った理由が分かった。似てるわ。オリジナルのフレーズは書けず。無理なオーケストレーションで楽器から苦しそうな音を出させ、でも誰もが持つ共感に訴えかける。
東京ディズニーランドの「ワンス・アポン・ア・マウス」の開場を待っているとき、後ろのカップルが会話をしていた「ワンス・アポン・ア・タイムってどういう意味だっけ」「昔々、っていみじゃ」「それってロング・ロング・タイム・アゴーじゃなかった?」
暇だった私、つい口出し。「どちらも昔々という意味だけど、long long time agoは文字通り現在と区別された昔、once upon a timeは過去から未来まで連綿と流れる時間の中で1度という意味。その一度はあなたかもしれないよ、というニュアンスがあるの」。
アベック目をぱちくり。間が持たないのでだっこしていて娘(当時3歳)に「わかる?」
うちの白雪はくびを左右に振る。「わかんない?」今度はこっくりとうなずいた。思いっきり受けてしまった。父親をフォローするとは、3歳児がフォローの必要を感じるとは、いつも私はそんなわけのわからんことを言っておるのだろうか。このニュアンスの違いがあるから、白雪姫は"Once upon a time"から始まると私は思っている。ただし「それから二人はいつまでも幸せに暮らしました」で終わるのは極めて難しい。Onced upon a timeで王子様と結ばれたダイアナは、残念ながらいつまでも幸せに暮らせたわけではなかった。
そういえばシンデレラIIにも問題シーンがでてくるんだわさ。シンデレラが子どもを抱き上げている!ウォルトの写真にはただの1枚も子どもを抱き上げているものはないらしい。彼は子どもと話すときいつもしゃがんでいたそうな。子どもの目線にあわせるために。