狂犬病の予防接種で犬猫病院を訪れた。広告ネタ、目次へ
なんか卒論の実験に付き合ってくれというので応諾。
とても親身になって協力したのだが、相手はどう思ってくれただろう。実験の内容の説明を受けた。要するに、飼い犬が他のものに嫉妬する状況を作り出し、反応を見るらしい。抱っこしていた犬をおろして、他のものに関心を移し、段階的に関心の度合いをエスカレートさせる。その間、犬はどうするか、というものらしい。
多分、僕がこの文章をアップするほうが、かの大学生が論文を書くより早くなるだろうが、口止めもされてないし、説明資料の微妙なずれから「この学生のオリジナルではない」ことも十分推測できるので別に問題は無かろう。協力するけど駄目出しするぞと予告したが、まさかここまでされるとは推測できなかったろう。
まずは「協力依頼のときに、ペットの情報をカルテ等から見せてもらいますし、飼い主の状況についてもある程度立ち入ったことを聞かせてもらいますがよろしいでしょうか」の一言はいるんじゃない？なるほど、カルテは見ないそうな。で、アンケート用紙。犬の種類と年齢と飼育期間、あと家族構成とかを書く。
うーん、個人情報保護法を気にしているのは分かるが、これでデータが分析できるか？だったらさっきの一言が欲しいなあ。必要な情報であれば提供するよ。
それでね、うちの犬、室内犬で、庭に繋いで飼っている犬とは当然行動に違いが出ると思うけどそれを書くところはないの？
犬との接触時間書くとこあって、確かに僕は毎日散歩させているからまあ１５分って書くけど、部屋の中では特に何もしてやらない。エサは子どもの分担だし、その辺は分類しなくていいのかな？まあそんなに事例が取れるわけじゃないから詳細なデータはあっても仕方がないというのは分かるけどね。実験手順の説明。犬じゃないものに声をかけて嫉妬心をあおるのは分かるけど、なんで使う単語を限るわけ？「綺麗」「可愛い」「素敵」なんて。うちの犬に「可愛い」は言うかもしれないが「綺麗」とか「素敵」なんて我が家の誰も言わないよ。だからインプットされてない。それこそ外国語で話しかけるようなもので犬には意味が分からないから、他のものが可愛がられているなんて犬にはわかりっこないでしょう。
（さて、これが「お手」とか「お座り」だったらどうなるだろう。）まあ、指示通りやってあげた。が、最後に１５秒、ボーナスをつけた。指示された手順には無かったが、再度ウチの犬に関心を示す動作を入れたのである。
この実験に欠けているものは「通常時の犬の行動」である。だからサービスした。なお、ウチの犬は嫉妬には慣れっこである。もちろん子どもが何か言ってくればそれを優先するからだ。さあ、その大学生はその辺をどう分析しただろうか。
しっかし、穴だらけだなあ。穴をこれだけあっさりと見抜かれることに多分傷ついたと思うが、謙虚さを持って欲しいものだ。言ってくれれば昼飯くらい付き合ったのに。内心、いろいろ聞きたいことや相談すべきことも抱えているんだろうしね。
まあ無理だろう。「最後の１５秒の意味分かった？」reflectionは言わぬが花でございます。ともかく実験終了。
「貴重なお時間をありがとうございました。」
「貴重なご意見をと言ってほしかったな。」以前、ホンダがバイクを合衆国に最初に売り込みに行ったときのことを聞いた。アメリカに合わせた大型バイクを携えて。当然聞かれたろう「何千キロ持つんだ」「砂漠でも大丈夫か」。答えられるわけがない。
「でもそれを保証してくれないと買えないなあ、ここでは命に関わるんだ。」
ここから先は想像が混じるが、駄目出ししてくれた人に感謝すること。多分その人は哀れに思ってホンダのセールスマンを戸口まで見送ったんだ。
「まあ気落ちするな。ここはアメリカなんだ。いろいろ違いはあるさ。ん？何だそのちっちゃいのは？」
「へー、これでもバイク、50cc？おもちゃみたいだな。」
セールスマン、ちょっとむきになって反論しただろうな。そんなことありませんよ。便利ですよ。小回りが利いてセールスで回るのにぴったりなんです。
「ちょっと貸してくれ。なるほど、街中をうろつくには丁度よさそうだ。おい、こいつを売ってくれ。」
多分謙虚なセールスマンは本社に連絡しただろう「アメリカ向けに作った新製品は売れません。でも僕が乗っているカブなら買うって人がいましたが。」
多分あの人があっさりと決断したんだろうね。
「だったらそれを売れ。他の客にもカブなら買うかどうか聞いて回れ。」
ホンダは、駄目出しをした温かい心の顧客と、謙虚なセールスマンを無視しなかったことで大きくなるきっかけをつかめたんだろう。
「カブを売るのは社の方針と違う」
この一言が挟まれば、本田は世界のホンダになっていなかったかもしれない。