店員さん、あんたら売る気あるんかい?

 昔から売る気のない店員というのはあった。(店員としての機能は自動販売機と変わらないから「あった」と無生物的に表現している。)
 秋葉原の丸山無線の店番は、商品について質問しようとすると
「お客さんは買うもの。私はお客さんに売るのが仕事」と顔も上げずにニンテンドーのゲーム機に没頭してらした。
 潰れて当然である。(店が無くなっていたので差し支えなかろうと実名を出した。)誰がそんなところで買うか。
 まあ、他にも「売っている自分が一番商品知識がある」とふんぞり返って買う気力をなくさせてくださる店員というのはいた。あのー、あなたのいう事も一応尊重しますけど、当然僕の方が知ってますよ。ギブソンのカスタムショップは1982年にはあったんですよ。

 でもまあ、一家言あるだけましだったかな。先日、うちのガキが「タブレット端末に興味がある」というので秋葉原に連れて行ったのだ。結局店員さんに何一つ質問せずに帰った。「あれ、折角店員さんいるんだから聞けばいいのに?」と問うと「聞いても無駄だと分かるからいい。」説明できるような店員ではないと一目で見抜いたらしい。さすがわが子。あ、でも自然にそう思えるかも。店員という人種が僕に対応したときのパターンを知っているからね。
 特にインターネット関連。僕が聞いて、向こうが答えて、あるいは向こうがセールストークを言ってきて、それに僕が返す。店員さん一応答えるがどっか間違っているので僕が解説/訂正する。店員は対応できなくなると横で見ていた娘がフォローする。このパターン結構多いのだ。

 先日凄いのがあったぞ。iPhoneを買おうかと地元のauショップに行って尋ねたのだ。「LTE、自宅で使えるかどうか分かりますかね?」実にありがちだ。店員のQ&A集に当然載っていてしかるべきだ。なのだが「ちょっと待ってください」とワザワザ確認に行く。「市単位でしか対応を発表してないんですよ。○○市は対応してますが、お客様のご自宅がどうか、はっきりしたことは言えないです。このショップ内では使えるんですが。」
 彼らは問題のもっと大きな点を見逃していた。つついても訂正してこないのではっきり言わざるを得なかった。「ここ(ショップの住所)△△市ですが。」
 この時点で「あ、失礼しました」と返してくれればまだよかったのだが、何のことやらさっぱり分からん様子で自分の間違いすら認めなかった。誰がこんな奴から買うか!である。キャンペーンで応援に来ていたのかもしれないが、応援先の住所くらい確認しておけよ、である。(これを考えるとオバマ大統領の「むかし、両親に連れられてここに来た事があるがいいところだった」のワンパターンはそれなりに意義がある。)
 一挙にauを使うのが不安になった。間違いを指摘されて事実上「無視」する奴が店頭にいると、何かセキュリティ上の事故が発生しても会社ぐるみで無視(東電という実例もある)しそうな雰囲気がして、とてもサービスを申し込めないではないか。

 それこそ、auショップの店員はiPhone持って周辺を回り、「ここではOKでした」の地図を独自に作って貼り出すくらいのことをしてくれてもいいんじゃないかな。通り一遍でない地域に密着した営業活動だと思うのだが。え、本社の許可が下りない?確かに通じなかったときの責任がどうの、ってのはあるわよな。でもさ、エリアがどこまで広がっているかは実測できることだ。それを曖昧なままにしておかないと問題が起こるかもしれないから、という理由であえて曖昧なまま放っておくというのは、とても物を売ろうという、サービスを売ろうという態度とは思えない。ただの怠慢だ。(エリア的に劣勢の会社が「市単位でしか発表してないんですよ」で押し切るならそれはそれで仕方ないが。)

 なるほど日本の携帯電話が国際競争に勝てないはずだと納得しつつ(←本論の焦点はここ。責任だ権限だで縮こまるは仕方なくても、それを口実になにもしないことの心地よさに慣れてしまっては進歩はない)。国内でこれだ。国外で売ろうなんて態度のセールスマン〜トップセールスという言葉もある〜がいるわけがないなあとため息をつきながら、別の店員の実例。ただし服屋。
 ウチの下のガキが「ゴスロリ」というファッションに興味を持った。そういう服がほしいと言う。で子供服の専門店に連れて行った。一応はうすまぬかんとかに「ゴスロリ」ありますか?と聞いていた。ないってことだったので自分で探し始めた。おー、小学校3年生まで店員を信用していない。店員さんうちのガキに聞かれたとき「何言ってんのこの子」という雰囲気が背景放射していたからなあ、嗅ぎ取ったらしい。そこで当方暇つぶしに聞いた。「最近ゴスロリが欲しいっていう子どもいませんか?」「いいえ?」「うちのガキは『黒魔女さんが通る』という小説、これですけど(本を取り出す)に影響されまして。最近アニメでもやっているようだからそういう問合せもあるのかなと思いまして。」「はー。」とあっち方向を向いている。
 普通なら「え、そんなのがあるんですか?」とせめて書名をメモするだろ。商売っ気がないというより向上心のない奴だ。シナモロールが出てきたときに「これからは水色が売れる」と気がついたやつは皆無でも仕方ないが、アニメ化されたもので主人公のファッションが人気が出るんじゃないか、は定番の思い付きだろう。小学生向けだよ。

 この人たち、本当に脳があるのだろうか?あ、多分あるのだろうが自分が想定してない/できない/したくない現実が出てきたときに、ただそれを無視しておしまいにするなんて人類の脳としてはあまりにもお粗末である。道路交通法が守ってくれなければ明日にでも交通事故で死んでしまいそうだ。ん?信号無視する車なんてありえないし、ぶつかってもそれは相手の責任であるからかまわないって?ホントに言い出しかねんのだ、こいつらは。(ここでは店員を槍玉に挙げたが、似たような人間、皆さん結構見るでしょ。問題点を指摘して対策案までだれかが考えているのに取り上げずって。ほら、東京電力とかJR東日本とか。)
 ここまで言うか?といわれそうだが、向上への萌芽がまるで見られないのは人類の立場からしてどうだろう。多感な時期に世界を半周してそのうちで「貧困」というのを見た経験からして、先進国に生まれたからというだけでぬくぬくと生活しているのに罪悪感を感じてしかるべきだと思っているのだ。
 生きていることを何とか許してもらおうとして努力する。先進国の人間の特権である「人権」を主張するためには必要と思うのだがな。それでこそ輸入文化でない「人権」を語る資格ができると思うのだが。考える限り、そして気を使う限り、日本人には「人権」を唱える資格があると思っているだけになおさらだ。

 そこまで大げさに構えなくても、あんたらまともに訓練受けてるの?とは思う。
 LTE使えますか?の質問に通り一遍の回答すら出来なかったauショップの店員を見る限りではまともな教育さえ受けているとはいえないのは一目瞭然だが。
 というわけで、auさん。きちんとした教育体制作ってね。
 ん?親「子どもの教育は学校にお任せしてます」学校「読み書き算盤は引き受けましたが、実学は企業にお任せしてます」企業「学校がきちんと教えてくれたことを前提に採用しています」ってか?連中、言い出しかねんな。(フリーターはどうする?)

 なお、僕はauに恨みは無いので、自分のホームページのネタとして「実測、iPhone5のLTEカバー範囲、au/softbank徹底比較」というものを立ち上げるつもり無いです。もっともこれを見たソフトバンクの方が「あ、その手があったか」とSoftbankなら繋がって、auでは繋がらないというスポットを特に重点的にレポートするなんてことをするかもしれないなあ。回線速度の測定値をブログに書き込んでいる人もいるから、auとSoftbankを比較して書き込んでいる人がいても奇妙な目では見られまい。
 「自店周辺のエリア実測図」も作らないようでは、こんなふうなネガティブ・ステルス・マーケティングに対抗できないぞということ。
(ソフトバンクから比較調査してくれ、という依頼があればやっちゃう人いるかもよ。auは既存ユーザーをまるで大事にしないから、手間賃分割り引いてくれるならSBでも悪くは無いかと乗り換え。で、au解約前に測定したデータと比較してレポート。当然auに遅れること数ヶ月でソフトバンクの状態を測るということもあるだろう。だけど比較したことはウソではない。そして、この時期の数ヶ月はとっても大きい。)

広告ネタ、目次
ホーム