想像力をこめた検索

 一枚の写真から駅を特定できるか。
 鉄道研究会の奴らならあっさりいくかもしれない。カラオケの映像で駅が映ると「○○線△△駅」と一斉に声が上がるくらい通暁しているということだから。

 そういう特殊能力がなくても、できるかどうかという実証をしてみた。

 写真はこれ。ヒントは千葉県。
 幸い車両が映っている。なんかできそうな気がした。では千葉県にはどんな列車が走っているのだろうか。「千葉県 車両一覧」で検索すると・・・あら中古車ディーラーしか出てこないや。しかし、世の中には鉄道マニアというのがいる以上、絶対に誰かがそういうサイトを立ち上げているはずだ。「千葉 車両図鑑」で検索。
 「JR/私鉄 鉄道車両図鑑」あった。福知山線事故に見られるように、鉄道に携わる人は劣化の一途だが(川島さんの怒りが僕にはよくわかる)、根強いファンはいるということだ。なんと全国の車両をカバーしているようだ。

 えっと、千葉を走っている鉄道はちゃんと記載してくれているので、そのなかから青いラインは、北総と東武。すぐに東武の8000系だとわかる。すると東武野田線の千葉県内区間だけ。これで大幅に絞れる。(京成だったらあきらめてます。)
 一つ一つ見ていけばいいのだが、でも最近都市部は連続立体交差がむしろ普通だ。踏切がある駅なんて珍しいんじゃないかな?(なんてことを言う私は東急沿線ではない。)
 そこで、地図サイトを立ち上げて踏切がある駅を選別する。航空写真併用。予想より少ないものだな。

川間駅
愛宕駅
増尾駅
逆井駅
塚田駅
そしてストリートビューをぐりぐりやって同じところを探す。
建物が若干違うところもあるが、正解は分かった。
「東武野田線 塚田駅」。

 あっさり答えてますが、30分じゃききません。ならばなんでこんなことをやったか。
 実例がほしかったのよ。写真一枚から駅を特定する。今まで経験に頼るしかなかったことでも、考えて一つ一つ調べていけば答えに到達できることもある、ってね。

 いつか書いたけど中途半端にネットを知ると「検索をもって調査に代える(調べたと思い込む)」で、止まってしまい「検索できなかった事実は分からない」となってしまいかねないけど、調べられるということだ。

 だから、「コンピュータ教育」をやる人間、この例を教材として使ってくれ。  そりゃ、ネットが発達すれば「その時になってスマホがあれば何とかなる」なんて思って、やがては例えば「ギターがやりたいと思って、とりあえずギターを買いました、これからどうすればいいでしょう」なんて無計画が習慣になる。いるんだよ、こんな奴、しかもわんさか。

 それは「聞けば教えてくれるんだからいいじゃないか」と思うのかもしれない。
 しかし、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という老子の格言を思い出して。検索して教えてもらうだけじゃない。考えて探すんだ。釣り道具を作れとまでは言わないから。
 一見無料のネット利用だからこそ、もう一度この意味をとらえ直すことが大事なのかもしれない。

 でだね。もうひとつ教えることができることがある。
「最強の情報は、できる、という見通し」
僕ができるからやってみようと思ったのは、車両に見覚えがあったからよ。
 路線が固まったところで、どこで見たか分かった。
東武野田線を「東武アーバンパークライン」と改称しようというニュースを数日前に見たんだな。そのとき車両が写っていた。

 うちの下のガキがグループ学習で「義手/義足を使っている人の数を調べよう」ということにしたらしい。あー趣味悪、と思いながらも見ていた。通り一遍検索して「見つからない」とほざいている。確かに業界団体の統計もない。(発表されてないだけか?)
 しかたないんで障害者手帳の発行数と、国勢調査に付随した障害者への聞き取り調査(当然抽出調査)を探して資料を印刷してやりましたよ。「比」を使うと推計できるんだけどな。義肢使用者は全国でざっくり8万人。
 この程度の推計法は小学生でも理解してほしい。
 もっとも、この子らの発表を聞いた先生は「単に検索しただけ」と思うだろうけどね。
 下肢切断+上肢切断者合計が14万人。うち義肢使用者は8万人。6万人の潜在需要があり、高齢化社会を迎えてさらに拡大する見込み。これをビジネスチャンスと積極的に捉え・・・おだやかじゃないテーマだと、分かってくれるといいなあ。

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