ビッグデータを活用したフードマーケティング

 珍しく定食屋で昼ご飯を食べた。  味覚のガイドブックを作る際、個人差を吸収するために「ビッグデータを活用し」かつ「ここの料理をおいしいと言った人は、こんな店にも行っています」というのを出せば・・・」。
 座は一挙に突っ込みの嵐となった。
 「ビッグデータというほど集まるか」「そんなガイドあるわけない」
たしかに「ぐるなび」にもそれはない。
 「でもAmazonがやり始めれば」と抵抗すると、みなさんそれなりに「ありかもしれない」という顔をしてくれた。
 んじゃ、なんで突っ込みの嵐になったのだろう。
 料理店はAmazon的マーケティングにとてもなじみにくいということなんじゃないかな。

 なぜなじみにくいのだろう、これは当方の直観であるが、同席者も同感だったようで、なんでそんな気になるのかを考えてみる価値は十分にある。

 大げさな言い方をすると無差別曲線が交わるのだ。
 食い物は「一定期間の需要を独占する」のである。
 本やCDと違って、3つまとめると割引だから、ついでに買っておくか、はない。
 食べ終えたときは満腹だから、あえて別の店をチェックしておこうという気持ちにはなりにくい。

 でもさ、評判がよくて予約の取りにくい店があったとして、料理屋紹介サイトの下に
「この店がいいという人は、こんな店にも行っています」
というのが出ると、とても参考になるのではないかな?
 情報の偏った海外旅行の場合なんぞ「クスクス食べるならこっちの店もおすすめ」があるとね。

 ステマの嵐が吹き荒れそうですな。

 でも、似たようなデータは既に存在しているのだ。Tカードとかね。
 「このコンビニに来る人は、どういうところで食事をしているから、この系統の弁当を置いておけば売れる」なんて大真面目に考えている人がいるとするとほほえましい。
 「このコンビニで弁当を買っている人は、それ以外の日はマクドナルドで食事をしていた(過去形)ことが多いから、ハンバーガーを置いておくと売れる」なんてね。

 「無差別曲線が交わる」は大げさだけど、ミクロ経済学の大前提であるあれは「時間」という要素を捨象しているからね。で「食事」はその時刻によって大きく欲求が変わってくるものなのだ。だから「これを食べている人は、こんなものも食べています」の訴求力が食前食後で大きく変わる。だから「お昼にこれを食べている人は、夜にはこんなものを食べています」って薦め方ならいいかもしれないね。ただしそれを何のメディアに載せるかは重要だ。会計の伝票に印刷するかな?昼夜同じ店に行くのに抵抗がない人は案外多いかもしれないし。

 え、無差別曲線は理論なんだから、時間がどうのと言って批判するのはなじまないってか?私もそれは認める。ところでアキレスってカメに追いつけないんだよね。

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