病院とはどこかが弱っている人が来るところである

 駅前に耳鼻科ができた。調子が悪くなるといつも行っている病院と同じ系列だったので、紹介状を書いてもらって継続治療はそちらでお願いすることにした。

 ただし耳鼻科の患者にしては、というか世間一般標準比、私の耳はとてもよろしい。なにしろ(数年前だが)測定限界超の感度であることが測定できたという稀有な事象を体験したくらいだ(聴力検査のアンプの残留ノイズが聞き取れるので検査にならない)。なので変わったことに気が付いた。受付の人と話をしたとき、自分の声が妙に聞き取りやすいのである。謎はすぐに解けた。私の立っていた場所は両方の壁のほぼ中央。ついでに口の位置が天井と床のほぼ中央。かくして耳障りとされる奇数次高調波がきれいにキャンセルされるのである。
 これ意識してそうしたんですか?まさか、みたいね。しかし耳鼻科であるなら「耳の患者を想定して」院内をデザインすることは必要なことであろう。
(でもこの医者、そんなこと考えてないのは一聴瞭然。自信がないのかものすごく早口なんだ。耳鼻科ってゆっくり言わないと聞き取れない人も来るんだよね。)

 ということは、と今度は眼医者に寄った。「椅子が青、ということはないよね」。加齢で水晶体が黄化し、補色である青のものが見えにくくなる、ってのは知っていたから、椅子およびポスターその他で「青はできるだけ使わない」方がいいはずである。「紫」ん〜、微妙だ。まあ掲示物を見る限り、意識してないことは確かだな。

 というわけで改善点を見つけてしまった。つまんないことに思えるけど「眼科患者の人の目にやさしいよう、室内調度を工夫しています」ってホームページに書きたいよね。

 ついでに私は、耳鼻科(および付属の薬局)の呼び出しマイク、低音の聞こえにくい人に合わせてスピーカーから出る声をいくらか高くできる拡声装置を作ったらどうかと考えた。耳が悪くても孫の声だけ聞える人がいるが、確かあれは「甲高い声なら分かる」という特性だったはず。パソコン使えばすぐ作れるな。ついでにリアルタイムでノーマライズ(正確にはリミッターorコンプレッサー)をかけて平均音圧をあげる、とか。
 こんなことしなくても女性の声ならたいてい問題ないんじゃないの、という気がするかもしれませんが、男女雇用機会均等の面から声が低いからという理由で男性の就職口を結果的に閉ざすことは許されません。「操作するパネルが高いところにあるから」という理由で雇用条件に「身長170cm以上」なんてあれば、「事実上女性の締め出しである。背が低くても操作できるようにするのが筋」と反発くらうのは必至ですからね。

 パソコン使うならついでに筆談機能つけますか?定型文は選択可能として画面に表示。音声入力が使えると受付の人も楽だろう。希望があればその内容を登録してもらったメールアドレスに飛ばす。あとからも見たいという人は多いそうだ。クラシックな筆談対応の医院はあるが、ここまでやってくれているところは多分ない。

広告ネタ、目次
ホーム