恐らくは1962年だったかのハンブルグの洪水。広告ネタ、目次へ
万年筆書きの書類が全部ダメになってしまった。
これにより公文書に使われる筆記具としての万年筆の地位は低下。
手入れが必要なこともありどんどん廃れてきてしまっている。しかしながら某女子校で「起業体験」として販売したところ飛ぶように売れたとか。
何故今頃万年筆が。すぐにひらめいた。筆記具の位置づけが変わったのだ。とするとこのように主張すると、消費者の心に響きそうだ。「万年筆はインクが水に弱いという欠点があってそれゆえ公文書などに使われることは無くなった。
しかしながら多くの文書がワープロで作られ、印刷されるようになった今、あえて手で文字を書くのであれば、我々は今までのように実用性一辺倒ではなく、もう一度書き心地重視に戻ってもいいのではないだろうか。」確かに止め、跳ねや払いはボールペンよりも万年筆のほうがすんなりできる。西洋の筆記具なのにカナや漢字を書くのに適しているというのはなかなか興味深いことである。確かに個人的感想だが、ヌルヌル書けるというふれこみのゲルインクのボールペンでアルファベット書くと字体が崩れやすいということはある。漢字よりアルファベットの方が崩れ方が大きいのは私の日本語が下手なのか、筆記体がうまいのか。(不思議なことだけど私、筆記体はそこそこ達筆です。)
ちなみに万年筆の貸し借りはイケません。書いているうちにペン先がすり減ってその人ならではの位置にくぼみができます。他の人が使うと違和感が拭えません。
そこで「一人一本」が必須。
こう言うとなんとなく売り上げが増えそうだ。ただしこれを逆手に取る方法もある。字の上手な人が使い込んだ万年筆をもらったことがあるが、例のくぼみの関係だろう。ペン先の角度がいつもと変わって、結果いきなり達筆になってしまったのだ。もちろん短い間ではありましたが。
ちなみに私が西ドイツに在住していた時、そこでは下敷きは売っておりませんでした。皆さん普通にボールペンを使っていたので不要だったようです。(もちろん鉛筆も売っている国だから、他の理由もありそうだ。)あとでロケット科学者糸川英夫さんの「子どもに消しゴムを持たせるな」というのを聞いたときにこれを思い出した。
≪ 消しゴムをもっていると、間違えるとすぐ消す。
だから同じ間違いを何度もくり返す。
消しゴムをもたせないで、間違ったところに×をつけておくと二度と間違えなくなる。
ノートをみるたびに「間違いの記録」を見せつけられるからである。≫なるほど西洋人が優秀なのはボールペンで書くからなのか。まちがいを反省するのみならず、だれもが間違えた記録を持っているから他人の間違いにも寛容で、だからチャレンジングな技術が進むわけだ。
もちろん、よくある「欧米では」というビジネス論のパロディである。日本人は「実際に行動に起こす前に間違いに気が付く」という特性でこれに対抗してきた。(最近実に怪しいが。)
でも、欧州は万年筆なら消せるんだよ。アルカリの溶液でインクが透明になるみたいで、そういうペンが売っていた。私も使ってました。もっとも一度使うとその上から万年筆で書くことはできなくなるから、そのペンの反対側には万年筆のインクの色に似せたフェルトペンがついていて、それで上書きしてました。中にはそのフェルトペンの書き心地がいいとそれをメインに使っている人がいたくらいです。