転売防止目的での現実的な本人確認法

 チケットの転売禁止の為、入場時に本人確認を求める。
 目的は当然としても、運用デザインには反省の余地がある。「不正防止にはより厳密な対応を」という方向に走るあまり、スムーズな運用への配慮が欠けてきているのではなかろうか。
 味の素ゼネラルフーズの商標権を侵害してないのかなあー、と思ったら「AGF2018」で商標登録しているアニメイトガールズフェスティバルで入場券とともに求められる本人確認書類を見て驚いた。え!っと思うほど限られている。有効期間中の
運転免許証/パスポート/障害者手帳/住民基本台帳カード/マイナンバーカード/在留カード、特別永住者証明書
だけなのだそうだ。保険証や戸籍謄本といったものは一切認められない。これは役所で相続の確認をする書類よりも厳しい基準である。役所であれば写真がなくとも保険証と一緒ならOKという合わせ技が認められている。

 しかし来場者の年齢を鑑みるとこれらのうちどれかを持っている人って「滅茶苦茶少ないのではないかい?」15歳までの人間だとたまたまパスポートを持っているくらいしか該当するものがない。学生証がアウトで泣いた人間も多いらしい。未成年がマイナンバーカードを身分証明書として持ち歩くなどという危険なことをアニメイトが奨励しているとは思いたくない。(μ'sのコンサートはマイナンバーカード不可だったそうな。リスクの高いものを持ち運びさせないよう気を配ったという点で評価していい態度ともいえよう。現在は発行が停止されている住民基本台帳カードを当時の小学生に持たせた奇特な親はあまりおるまい。結果的に外国人優遇というのも現在の社会情勢から反発が懸念される。)
 16歳になれば免許をもつという手段もある。学校によっては原付免許禁止だが、その時には小型特殊でも持たせよう。これがあると耕運機が運転できる。「祖父母が農業やっているのでお手伝いがしたいととりました」と言えば先生も一概には怒れまい。

 ここまで対象者を限定して商売が成り立つのだろうか。尋ねてみると「成人女性がやってきて多い人は一人で数十万円分グッズを買うからそういう人だけ通したので売り上げは十分得られる」らしい。ちょっと待て、需要は現状で足りているからその人だけを相手にすればよいと将来の消費者を大事にしないと商売が衰退するよ、の例は、まあ大航海時代のスペイン・ポルトガルで十分かな。独占に胡坐をかくと、中国のレアアースのようにお客が代替品に逃げていくこともあるし。

 しかし批判だけでなく建設的な意見を出すのが私である。本質をとらえなおそう。「本人確認」が重要なのではなく、「購入した人=来場した人」が確認できればいいのだろ。極端な話偽名でチケットを取った人がいたとしても、取った人本人が来れば通していいわけだ。つまり「本人」確認は必須ではない。ましてや国税庁すら求めないような厳密な本人確認は必要あるまい。

 「ぴあ」に頼んで任意で写真入り会員証を発行してもらえばどうだろう。購入に使用した会員証とチケット持ってきてくれればゲートを通す、という運用で十分だ。偽造防止が心配なら、ICチップ入れるかな。会員番号だけでもいいが、まあ名前も入れておくかい?今までお手上げだった「同姓同名間でのチケット転売」も防げるのでセキュリティも高まる。
 ぴあにとってもメリットはある。発行手数料は小型特殊免許より圧倒的に安く済むはずだから小中高生は喜んで払ってくれるだろう。より詳細な個人情報を求めることも可能だ。なによりもその子たちには今後のチケット購入に「ぴあ」を使ってもらえるわけで、なかなかおいしい話である。

 あれ!?簡単に解決できた。

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