フォントの与える印象の違いを研究したいというので広告ネタ、目次へ
「じゃあ議員さんの事務所に行って、 名前をいくつかのフォントで印刷したアンケート用紙を作り、おたくの先生のイメージに合ったフォントはどれ?と選んでもらったらどう?」
どういうところが先生のイメージなの?と尋ねると、支持者の人は喜んで説明してくれるんじゃないかな。仲良くなったところでさらに他の研究のアンケートにも付き合ってもらったらよくない?一瞬で却下された。いいと思うんだけどなあ。でもよく見てみな。選挙ポスターのフォントって一律角ゴシックだよ。まれに毛筆体があったり、共産党なんかは丸ゴシックだけど。 (個人的には違和感ありまくりだ。)
選挙ポスターでフォントにも凝ってみるのもありかも。みなさんが納得してくれると各候補者が選挙ポスターを「自分の押し出したいイメージに合ったフォント」を意識して作り始めるきっかけになるかもしれない。未開拓の分野と思うがどうかなあ。
やはり却下。政治が絡むのは心穏やかではないらしい。ちなみにフォントを色々変えて有名な議員さんの名前を印刷してみた。
見ていると酔ってきた。これが話に聞くゲシュタルト崩壊という奴だろうか。
《「ゲシュタルト崩壊」は全体の文字や形を注視すると、それらの印象が薄れ、認知が著しく低下してしまう知覚現象のことを指します。》
同じ文字が並んだのを見ていると起こりやすいようだが、ひょっとしてフォント変えて並べたほうがおこりやすいのかしらん。そうかもしれないと納得させるコトはあった。
先ほどの定義は https://biz.trans-suite.jp/35862 から引用してきたものだが、同じページに「ゲシュタルト崩壊が起こりやすい10の漢字と文字」という例
《借/多/今/野/粉/若/丈/な/を/ル)
が置いてあったが、なぜそういう事象がおこりやすいのか、については何も触れられてなかったからである。
私は仮説くらいは浮かんだぞ。「野」という文字は左右で分離すると「里」と「予」というそれぞれ独立した文字に分解できる。かつ「里」は「田」と「土」に分解でき、「予」は「マ」と「了」に分解できる。つまり「野」という文字は「野」「里」「予」「田」「土」「マ」「了」ひよっとしたら「丁」までの文字の集合体なわけだ。それらがたまたまくっついている感を隠せないから、「野」という文字に違和感が出てくるのだろうな。特に「野」の次に「田」などという構成要素の一部たる文字があるとその傾向は強いだろう。今回はフォントを変えて並べたために、文字全体の形よりも構成要素に着目してなんという文字かを判断するように脳の働きがシフトしやすかったのかもしれない。だからゲシュタルト崩壊がひどくなったのだろう。今度は「借」という漢字でやってみようか。幸い「日借」という単語はあるらしい。より細かい単位の文字で分解できる漢字がゲシュタルト崩壊を招きやすいとすれば、うーん「解」なんて字はどうかな。そこで「解体」という字を目を瞑って右から左に、つくりからへんに頭の中で書いてみた。「角」ってこんな漢字だっけ?となった。じきに慣れたが。(慣れるの大切)
ってことはってことは視線の移動方向が不自然になると文字の形が分からなくなるのかな。ところが大問題がある。私が考えてきたのは日本語(ついでにいくつかのサイトを見てみたが説明しているのはすべて日本語)。ゲシュタルト崩壊が見つかったのはその名の通りヨーロッパ圏だろう。単純なアルファベットでこんなことが起こるかあ、という疑問は当然に沸く。視線の移動方向が一定でも起こるとすればあたしの説は間違っている?これがゲシュタルト崩壊は元々「楔形文字の解読中に発見された」というなら面白いんだが。
でもアルファベットでも視点移動が左から右に行かないことあるぞお。ギリシャ語に語源を持つ単語とかね。未だにプトレマイオスが英語読みでトレミーになる理屈がわからんのだ。心理学者はこの辺の単語を見てゲシュタルト崩壊を発見したのだろうか?ところで心理学を英語で書くと psychology ああ。
ギリシャ語に限らず外来語がきっかけかもね。彼らにとっては同じアルファベットで綴られた単語だけに、そーゆう発音にならないぞ、と視線がさ迷うことがあるのかもしれないね。あるいはドイツ語で「英語」は Englisch と綴る。でもたまには原語のままのEnglishを目にするかもしれない。ドイツ人としては二度見するだろうね。
ゲシュタルト崩壊のおこる理由がすべてこれでは説明できるわけではないだろう。しかしこの仮説が幾分かでも正しいとすれば、ゲシュタルト崩壊の極端な例である失認症の発症防止に役立つかもしれない。