志摩スペイン村とやらが急に流行りだしたそうな。広告ネタ、目次へ
オンラインで有名なのが言及したので一挙に関心が高まり、だそうだが、特筆すべきは社長さんの動きである。深夜に「志摩スペイン村」がトレンド入りしているのに気が付き、慌てて部下を叩き起こしたものの、誰も知らない。みずから調べて「ああ、V-Tuberとやらが取り上げてくれたのか」。すぐに該当V-Tuberに公式に依頼して宣伝に起用。このへんのフットワークが素晴らしい。
というのは、これが大企業であれば
「V-Tuberの影響力を活用できるのではないか」と担当部署が発足。報告書が戻るまでに何度も上下で推敲がリフレクトされ、ネット民が忘れた頃に方針が決まり、当然まるで盛り上がらず、どうしてだめだったのかと問われて、多分「ウクライナ情勢によるレジャーの自粛と、円安による・・・」あたりの理由が付けられて終わることになろう。でも、まだこれだとマシなのだよ。担当部署は「自分が主導した」と言いたいがために、まずそのV-Tuberを無視し、自分で初めて考えたことであるかのように、あまり関係のないネット会社〜ソフトバンクあたりかなあ〜にタイアップを申し込み、ただひたすらに予算を消費して終わりであろう。
この「自分が主導した」と言いたがる傾向、私もかなり不快な事象にあっている。先行して実現しているのに、意地でも認めたくないようだ。
対外的に「RPAで年30万時間削減!」とぶち上げていた時、実は私一人で10万時間削減RPAツール作ってたんだよね。部署が多いと月1時間削減できるだけで全体としてはこれくらいになるのだ。ついでと言っては何だが、鉛筆舐める必要はあるが、あと20万時間削減できるツールも作っておったのだぞ。ところが、主幹部署が関与していないので、無視。対外公約反故にしたのだが、いいのだろうか。専務にはデモを見せたのだがなあ。
ちなみに一つはWeb系アプリで勤務時間を記録した結果とシステムのログイン・ログアウトを自動照合するもの。もう一つは取引先のサイトを巡回して前日との差異をチェックするもの。外訪前には必須だろう。朝社内システムにログインすれば、担当先のチェック結果がメールで着ているなんて悪くないと思うのだが。 えー、素直に旗振り部署の用意した開発環境の仕様予約だけでも取っとけよって?やだよ。地下室にスタンドアロンのパソコン数台おいて、どうやって開発すればいいのよ。できないことわかってるから業務都合と認めてもらえないし、交通費は自前だし。この他に、ITユーザー会の論文で賞を取ったことがある。このときは社で2名 受賞だったので気を良くした人がいたんだろうね。どっかの部署が「今年はそういう運動を盛んにしよう」と思ったのか通達を出した。あれ?相談受けてないぞ?? 去年賞取ったけど、なんかお手伝いしましょうか?とメールを出した。なしのつぶて。よほど応募がかなかったのか、募集期間延長。そのときになってはじめて去年の体験談を書いてくれ、とメールが来た。
まあ、業界団体の論文程度なら悪影響はないが、対外公約無視だと多少まずい。もっとまずいのは組織の大きな問題点を改善しようとしたときである。「自社開発力をあげよう!」となると自分が旗を振る以前に開発力がある人がいると困るのである。本来であればそういう人たちに意見を聞いて手法を考え、できれば手伝ってもらうのが近道なのだが、「そういう人はいなかったことにして」コンサルタントを雇い、普遍的な〜ぶっちゃけお題目的な研修を開いて終わる。気がつくと最後に残った開発力のある人も年齢で、または嫌気が積もっていなくなっていた。かろうじて残った頼みの綱を切り捨ててしまったわけだ。大障害を起こしても改善しないはずだ。
もちろんこの傾向はシステム開発だけでなく、色んな会社のいろんな部門でも他山の石とすべき(すでに自分の山?)ことであろう。そういう事例を知っているから、志摩スペイン村の社長が、深夜自ら検索し、火付け役となったV-Tuberに連絡を取り、タイアップしてキャンペーンを張った、というストレートで素直な態度がものすごいものだとわかるのだよな。
結果は大成功。満員の近鉄電車が開場前からお客さんを運びこみ、限定グッズは売れまくり。当然話題にもなる。
当初「志摩スペイン村」なんて聞いたときは、温暖湿潤気候もいいところの三重県で、どうして乾燥気候のスペインを模倣する気に成るのか?と呆れていたが、ここまでくれば称えるしかない。というわけで、見事なConductorである社長さんに「村長」の称号を捧げたいのだが、いかがだろうか。「社長」とくにサラリーマン社長なら、会社の問題をここまで熱心に解決するとは思えない。メンツが先に立つ。しかし「村長」であれば、村の問題を自分の問題として、先頭に立って解決しようとするんじゃないかな?