プログラムを書いている人が一番

 昔のスピーチから更にもう一題

 マッキントッシュを開発しようとしたとき、プロジェクトリーダーであったスティーブ=ジョブスについてこんな逸話があります。当時マッキントッシュの立ち上がり時間が長くかかりすぎることが問題となっていました。プログラマはこれ以上の短縮は無理だと思っていましたが、ジョブスは説得しました。「マッキントッシュは100万台売れる。これが1日1回起動する。もしこれが1秒短縮できたとして、1年間でどれだけの時間になる。50人分の一生にあたる。この50人の人生のために、あと3日だけがんばってくれ。」
 かのプログラマは結局3秒短縮しました。ここで特筆すべきことがあります。ジョブスが行ったのは、ただプログラマのやる気を引き出すことだけだったということです。彼はファイル読み込み順序を変更してみたら、とかアセンブラで作り込んでみたら、などということは一切言いませんでした。プログラマのことはプログラマが一番よく知っている。当然です。ジョブスはこれを信じました。もし、彼がいかにもプログラミングも知ってますよという風にアドバイスをしたとしたらプログラマは1秒短縮したところで改善をやめてしまったでしょう。やる気を持たせあとは任せる、この態度が追加の2秒の短縮をもたらしたのだと思います。

-------------------

 マッキントッシュプロジェクトのリーダーはラスキンだというつっこみはおいといてください。ジョブスの言葉も正確にこうだというわけではありません。
 でもプログラマを信じ、強力な動機付けをするという態度は大いに参考にしたいところ。
 管理者という立場の人は、なにかのレビューの時、ついつい自分もプログラマの仕事はできる、という態度をとってしまいがちです。(こんなとき出る典型的な質問は「言語は?」これしか出なければ、この人は無知ですね。)
 でも一番知っているのはプログラマ本人なんですね。彼らにいかにがんばってもらえるかが大事です。最後はやっぱり人間なんですから。

 しかし、このとき問題となった立ち上がり時間は30秒弱。たしかフロッピー立ち上げだろ。それでもここまでやった。さて今のWindowsは何分かかる?

コンピュータネタ、目次
ホーム