ワインバーグは、その著「ライトついてますか?」で「問題」というものを定義した。コンピュータネタ、目次へ
これによると問題とは期待される状態と、実際の状態の差である。
問題を正しく認識するためには、期待される状態と実際の状態を、それぞれ比較できる程度に対象化することが必要である。
対象化とは、多くの場合記述である。管理とは問題を発見しやすくするために、実際の状態を対象化することである。
つまり実際の状態と記述された現実が一致した状態を作り、維持することである。
もちろん現実の全てを記述することは不可能だから、抽象化して記述する事になる。
管理帳票といわれたとき真っ先に思いつく台帳は構成要素を表形式に展開したものである。
期待される状態を対象化することも管理の一部となるはずであるが、これについては管理者(というよりマネージャー)の頭の中に留まっていることが多い。管理コストとは、現実を対象化し、同一性を維持する費用。そして実際の状態と期待される状態の差を埋める際の費用である。
<--! 相手がパソコンの場合は、この期待される状態に現実のパソコンをあわせるのに想像以上のコストがかかる。TCOとは、これを発見した。--> 管理者の役割は、実際の状態を期待される状態にあわせることである。そのために、実際の状態を対象化したものと実際の状態の不一致を発見することも必要となる場合が多い。
システム管理においては、この対象化が非常に分かりやすい形で現れる。
管理対象が人工的に作られたものであるため、現実の状態を構成している要素が先験的に判明していると考えられるからだ。
従って、一般にシステム管理の本といわれるものは、この要素の説明と状態を開示させる手法がその主題となっている。システム管理においては、期待される状態が記述される場合がある。
良くできたチェックリストとは、期待される状態が記述されているものである。