あちら製ソフトウェアの日本語化

 Windows3.1の日本語化を1ヤードを1メートルに訳したようなものと揶揄したのは、かの中村正三郎さんである。残念ながら英語版Windows3.1を使ったことのない私としては具体的にどういうことか今ひとつよく分からないのであるが、アプリケーションソフトについて同じような文句を言いたくなることはある。
 とても日本人が使うことを想定していると思えない。

 「日本語版は縦書きにも対応」とうたっているワープロソフトで、いざ見るとフォントが横倒しになっているというわけのわからないものは論外としても、いかがなものかこのフォントは、という日本語版ソフトは多い。特に目立つのが、デフォルトのフォントサイズの問題である。英語は画数が少ないので、表示に使うドット数が少なくとも(文字が小さくとも)判別可能である。しかし日本語は悪魔のように画数が多い。日本人の目が悪いのは、文字の画数が多いためだという説もあるくらいだ。
 そんなわけだから、デフォルトのフォントが9ポイントだったりすると(しかもデフォルト値を変えられなかったり、変えるのが大変だったりすると)目の悪い私は使う気がなくなってしまう。父親向けにパソコンを設定したときNetscape標準のメーラーを使わず、別のメーラーをくっつけたのはそのためである。
 とはいうものの仕事ではノーツを使わなければならない。どなたかノーツのデフォルトフォントサイズを変更する方法をご存じありませんか?知ってらしたら教えてください。

 インストーラーが作成するディレクトリ名があまりにも長いのも閉口するものだ。Visioは2000になって随分良くなってきたけれども、以前にあきれた記憶がある。VFATのロングファイル名がディスク領域をむやみに消費し、障害リカバリの時は悩みの種となることを知っている身としては、精神衛生上よろしくない。
 いつの間にか純国産と言われているソフトでもこの辺の悪習をまねたものが現れた。デフォルトのインストールディレクトリに社名を入れるというのはよくあるが「○○機械金属株式会社」とまで言われると、C:\Progra~1のディレクトリを開いたとき違和感があるのは否めない。
 でもひょっとしたらあのソフトは純国産ではなくてやはり移植ものであったかもしれない。ソフト会社はデフォルトディレクトリの表示部分とはいえインストーラーを書き換えるよりも、デフォルトディレクトリそのものの会社名を変えた方が移植のリスクが少ないという判断をしたのだとすれば(技術的にはどうかと思うが)理解できなくもない。
 そういえば、会社で使っている別のグループウェアの掲示板のデフォルト名は「公開」「非公開」となっている。会社公認の掲示板は当然「公開」にあるのだろうな、と探したが無い。逆に「非公開」の下にあったりする。
 やがて気がついた。「公開」「非公開」はpublic,privateの直訳なんだな。(^^;
 でもこれ、純国産グループウェアということで宣伝してるよねえ。

 こういうあちら製の文化を直訳したようなところで「あれっ」という気にさせられるものは、別にソフトウェアには限らない。日本に対する合衆国の情報産業の優位性を説いた本の中で、ゲーム機メーカーのアタリを紹介した下りに《社名の「アタリ」とは、日本の囲碁で「王手」のことである》などと書かれると、著者は日本人のような名前だけども実は外国人なのかな?と思ってしまう。なんとなくトンデモ本を読んでいるような気分だ。
 そういえば内容も今となってはトンデモ本かな。タイトルにあった「情報スーパーハイウェイ」っていったいどうなったのでしょう。インターネットの事だよー、とおっしゃってもごまかされませんよ。

 ソート順もなかなか日本語化されにくい部分です。アドレス帳の表示順、英語であればアルファベットで並んでいれば問題はないと想像できますが、漢字コード順に並べられてもねえ。日本語のアドレス帳らしく読み順にソートして出てきてほしいものです。え?データ構造が変わるから駄目?とてもそこまで手を入れられないって?

 まあ、フォントサイズだけは何とかしてください。お願いします。
 そういえば、以前、学童に電子辞書を買ってあげたいのだが何がいいか?と問われて「できるだけ漢字の表示ドット数が多いもの」と答えたことがある。漢字テストでチェックされがちな「はね」や「はらい」が省略されないものを選んであげなさい、ということである。
 16ドット程度のビットマップフォントは細部が省略された嘘字になりがちである。「薔薇の蕾」をそのまま書き写して漢字テストで書いたら、果たしてマルをくれるだろうか。

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