「モバイル」ってあったのだろうか

 去年、一昨年あたりモバイルコンピューティングがブームだったような気がする。もう少し前からブームだったのかもしれない。
 そういえば私はHP-100LX(200LXではない)といつも一緒で、5年ほど前にNiftyのオフ会の模様をリアルタイムで会議室に書き込んだこともあったなあ。

 PHSと合体したPDAがいくつか商品化されたり、PsionやPalmが英語版ながら紹介されたりと、今度はどんなものが出てくるかとわくわくする日を過ごしていた。まだ見ぬPsion Series5でNiftyのログを見ることを考えて、フリーソフトまで書いた。
 ところが、VAIOが出て状況は一変した。VAIOはモバイルのニーズなどないことをしっかりと証明してくれた。実はみなさまモバイル用のツールほしかったのではなく、かっこよくスペースをとらないパソコンがほしかっただけらしい。生粋のモバイラーが薄型軽量化のためとはいえ電池の持ちを1時間に絞ったノートパソコンを選ぶわけがない。
 ともかくVAIOのヒットで各社一斉に右へなれえ。おかげで携帯ガジェットは殆ど姿を消した。ちなみに私の携帯電話は、このころの生き残り京セラDataScopeである。

 しかしVAIO以後もモバイルブームはあおられ続けた。しかし「モバイル」という言葉で何を意味しようとしていたのだろう。今や日本一のパソコン関連雑誌出版社となったところが「モバイル」を冠した雑誌を出したときの創刊号第一特集は「女子高生はモバイル大好き」(ビジネスマン向けに都内の温泉でくつろぐという記事もあったが)だったし、NIFTYSERVE MAGAZINEのモバイル特集も、つまるところ携帯電話のカタログであった。結局モバイルといっても何を取り扱えばいいのか分からなかったようだ。
 とはいえ書店でNIFTYSERVE MAGAZINEのかの号を見かけたとき、私はうれしかったね。この雑誌ならNiftyServeを出先から活用する手法という具体的なモバイルの特集が組めるはずだったから。でも「それにしては僕に連絡がないなあ」と不審に思ったのも事実。だって、私は「お出かけログコピー」の作者だよ。出先で通信ログを読むという人にはとても便利なソフトだと思うよ。普通Niftyでモバイルを取り上げるのであれば、取り上げてくれてもいいでしょ。ようするにそういうことだ。あの会社には誰も通信を切り出して持ち歩けたらどうなるかを考えてくれた人がいなかったということだ。だから中身もあれだったのだろう。「モバイル」がブームらしいので特集しようとしたはいいが、結局なんだったのか分からなかったのだ。
 もっとも私は「お出かけログコピー」のユーザーがどの程度いるのか知らなかったりする。「こんなの作ったよ」とFMPCの会議室にあげた時には便利だというレスをもらいましたが。やっぱり使われてないのかなあ。(^^;
 誰か使っている人がいたらメールください。励みになります。

 もっとも、雑誌が一生懸命取り上げているようなモバイルというニーズがないことには随分早くから認識してはいた。ASAHIパソコンが「プッシュ型情報を持ち歩けるか」という特集を組んだ時だ(1998年2月15日号)。ライターはPointCastが配信してくれたニュースを持ち運びできないかの実験をやって見事に失敗していた。ところが私は自作ソフトで当たり前のように行っていたので「できるよ」と読者欄に投稿した。ちゃんとASAHIパソコンは掲載してくれましたねえ。ライターに遠慮してボツになるかと思いましたがね。
 このソフトはNiftyにアップロードしてあることはしっかり書いたし、投書に対するコメントでも《興味のある方はこのフリーソフトを試して、感想を送って差し上げてください》と書いてくだすったのにダウンロード数は5も増えませんでした。
 そのとき私は「ああ、ニュースを持って出歩きたいというニーズなんかは全体としてないんだなあ」と確信した次第です。そうこうしているうちにPointCast自身も5月31日でサービスを停止するそうです。最高にイカしたスクリーンセーバーだったんだけどなあ。

 でも、このことをまだ理解していない雑誌もあるようです。つい先ほど手にした雑誌は「ビジネスマンへおすすめ」という感じでPointCastを取り上げていましたからね。

 でもポケットボードは流行っているんだよなあ。これは単純に価格によるものか?もう少し高機能のものができて4〜5万円になったとき売れなければ、単純に価格の問題だよなあ。だいたいあれで満足のゆくかな漢字変換ができるのだろうか。ATOKのパッケージよりもやすいぞ。
 機能的にもあれでいいのかなあ。一つ不思議なのは、ポケットボードとかで受けたメールをみなさんどこにどうやって保存しておくかということ。外部接続端子ないよねえ。それでも喜んで使うのかあ?
 まあ、このへんについては意識の違いというかまだまだ分からないことがあるということで。
 コミュニケーションパルのメールファイルの仕様が公開されて、母艦とデータ交換ができるようになれば、私はNiftyのログとの変換ツールを書きますよ。

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