人に優しくないマウス

 マッサージには非凡な才能を見せる私であるが、自分自身肩こりに悩んでいる。
 目が悪い人間が、一日中ノートパソコンの画面を見つめ、キーボードを叩いているわけだから体にいいわけがない。
 ノートパソコンは会社の備品、というわけで画面、キーボードについては選択の自由がないが、せめてポインティングデバイスだけは使いやすいものをと思っている。それにしてもドイツの労働省がうらやましい。ノートパソコンの使用は御法度だってさ。

 また私はどういうわけかマウスをよく潰すのだ。半年に一度はつぶれている。もちろんボールはよく掃除している。感度は最高に設定しているので移動距離は少ないはずなんだがなあ。特売マウスばかり買うからかもしれない。ちなみに今使っている「森のマウス」(外側が木)は500円だった。
 しかし、つぶれてくれるので助かっていそうなところはある。腱鞘炎の予防にいいかもしれない。実は一回、クリックのたびに右手人差し指に激痛が走るようになったことがあるのだ。
 マッキントッシュをメインに使っていたときにそんな症状に見舞われた。そんなに使用時間が長いというわけではないのに、である。
 そのころ、知り合いの漫画家に、ペンのグリップをうすいゴムで巻いただけでぴたりと痛みがおさまることもある、というお話を伺ったので、じゃあマウスを変えればよくなるかなと試してみた。効果はてきめんだった。それ以来、私は小さくて平べったいマウスは使わないことにしている。
 そんなわけで、マウスをクリックすると痛むみなさま。マウスの交換をおすすめします。

 で、よくエルゴノミクスデザインとか称して、さまざまなデザインのマウスが存在していますが、人間の手の骨格と筋肉の付き方からして最も使いよい形はいったいどんなものなのでしょう。手のひらですっぽり包んだときの形に似ているのがいいのかしら。軽く指を伸ばすと人差し指が中指より下がるから、左右のボタンは高さが違う方が楽なのだろうか?ピアノを弾くときは指を立てるからボタンの面が手のひらの当たる面より下がっている方が指が痛まないはずなのだが、いかにもそういうデザインのマウスは1つしか知らない。
 妙にボタン面が湾曲していると、クリックの向きと、ボタン面の向きがずれてしまうので使いにくいことこの上ない。それでもエルゴデザインと言い張る会社もある。(この辺のマウス実例をリンクしようとしたが、CGIでページを作っていたりするので、単純にはリンクできないようだ。)

 とかなんとかいいながら、私が一番気に入っているマウスは多分生産中止のALPS MOUSE500です。滑りのなめらかさ、感度の良さ、クリックの軽さももちろん気に入った理由ですが、重心が前に寄っていて、ボールの位置とほぼ同じというのが最高です。
 慣れるとボタンの上に指二本だけ置いて、それで操作ができるのです。マウス本体を握る必要がないのでデザインがエルゴノミクスかどうかなんて気に留める必要はありません。 そういう設計のマウス、またどこかが作ってくださいませんかねえ。持ち運びの楽なモバイル用マウスと銘打って、胴体のないボタンだけ、真下にボールというマウス(当然指二本だけで移動させる)というものがあってもおかしくないと思うのですが。
 でも、光学式マウスも気になっている私。やはりあの滑らせてつっかからないというのは感動ものであった。

 滑りのなめらかさを重視して、ケーブルがじゃまにならないワイヤレスも試しては見ました。しかし、最初の一歩にタイムラグがあるのはどうも。(^^;

 結局、マウスというのはあまり使い勝手を考えて作っているものではないのね。という寂しい結論になってしまう。きちんと手の筋肉や腱の付き方を考えて指が痛まないように、という発想くらいはほしいなあ。

 でも、まだキーボードよりはましである。何しろキーの配置は「最も使いにくいように」ということで作られたわけだから。昔、IBM以前(刑事コロンボ「魔術師の幻想」以前)、タイプライターがまだハンマーでインクリボンを叩いていた頃、あんまり速く打ちすぎるとハンマーがこんがらがるからということで、わざと打ちにくく作ったそうだ。

 考えてみるとコンピュータ関連の物理的ユーザーインターフェースって良くないですねえ。決定版ができると困るからか?そのなかでもなぜかマイクロソフトがいいものを作っているというのが不思議です。ソフトの作りはあんなに悪いのに。
 タイプライターの件は別として、入力デバイスを悪化させたのはアップルコンピュータかな。例えば私は今だに最高のキーボードはIBM、システム390のコンソール用キーボードと思っている。でもマックのキーボードは最低だ。マックはユーザーが喜んで使ってくれるから、キーボードやマウスでこびる必要はなかったのだろうな。その代わり、IBMはオペレーターを一日中コンソールに縛り付けている必要があったので、キーボードは人に優しくなっているのかな。
 しかーし、Dvorak配列でなくてもいい、この小指でEnterキーを押させるという仕様だけは何とかしてくれ。最近キーの叩きすぎで、右手小指が痛くてたまらないのだ。

コンピュータネタ、目次
ホーム