フリーソフトウェアのソースを公開すべきかどうか

 アスキーが出している、NetworkProという雑誌の2000年10月号がネットワーク管理用のオンラインソフトの特集を組んでいた。記事の中に混ぜられたコラムが結構読ませる。こういうところに編集者の本音が出ていたりするものだ。

 ソースのオープン化を推進して、作者にソース公開を進めるのはいいのですが書き方がよくない。《フリーなソフトウェアの場合、ソースコードを公開するメリットは多く、デメリットは存在しないと断言できる(もしあれば指摘してほしい)》(pp.171)と書いていますが、なんですか、この公開が当然といわんばかりの態度は。まあパソコン黎明期から雑誌を作って、BASICのソースを沢山載せて、パワーユーザーを育ててきた雑誌社だからこれ以上言いませんが、もしこれが日経BPだったら怒りますよ。

 自社がオープンソース運動にコミットしている訳ではないのに、オープンソースをやたら取り上げている理由は、オープンソースを一方的に利益を引き出すだけの対象として、あるいは、無料のニュースソースとしてだけしか見ていないからではないかという疑いを持ってしまうのです。
 日経BPは日本の出版社には珍しく、それなりのラボを持っているそうなのですから、そこで使っているテストツールなどをオープンソースで公開するという形で積極的に参加してくれると嬉しいし、できるはずなのですがね。アスキーやソフトバンクもベンチマークプログラムとかは公開していただきたいものです。まあ、ソフトバンクの雑誌でライターが個人としてバッテリーベンチマークのソフトを公開してくれたのは知っているのですが、会社のサイトを覗いてもそんなものはない。
 ベンチマークプログラムをソース付きで公開するというのは、記事の公平性を保証するという意味でも重要なことだと考えられます。

 少なくとも、他人のハードに勝手にインストールするプログラムぐらいは公開してもらいたいな、と思っています。展示会に出されたiBookに勝手にベンチマークソフトをインストールするなんてことをやったのなら、せめてソースはオープンにしてね。道徳的にどうかという以前の問題だと思いますよ。正体不明のプログラムを勝手にインストールするなんて、あまりにもあまりです。(そんなことだど「覆面取材、各出版社別ウィルス耐性のベンチマークテスト」ということで、社内のパソコンにワームを入れられても文句言えないよ。)
 ちなみにこの種の出版社で最悪のものはカットシステムでしょうな。ここを見るとその内容が分かります。こういうのがあると出版業界全てを疑いたくなってしまう。

 そんな風だから、オープンソースを記事にするだけでなく、はっきりと応援する立場を表明していただきたいのです。でなければ、単純にソース公開をけしかけるのはやめていただきたい。《ソースを公開する事によるデメリットがあれば指摘してほしい》とまでいうのなら、同じコラムに連絡先電子メールアドレスを記載するのが礼儀でしょう。
 デメリットはあります。オープンソースの、あるいはフリーソフトウェアのルールを守らない人がいるからこれは当然起こりうることです。
 例えばここにはパックスシステムズという会社が、オープンソースのメールソフトJM5のソースコードを盗用した次第が書いてあります。もし例えばアスキー社や日経BPが「うちは報道機関だから、オープンソースソフトウェアを提供する立場にはない」と仰るのであれば、せめてこういう問題を大々的に取り上げていただきたいものです。

 以上は「筋は通してくれ」といういつもの主張でしたが、以下には私のソース公開に対する考えを述べておきます。いまやソースを公開したものの方が多いくらいですが、原則ソースの公開は義務ではないという立場です。ただし、以下の場合は公開します。

 逆に公開しないのは、  最後のは少し解説がいるかもしれない。私はWindowsの対話型入力を1200台分行うというのが、あまりにも負担な為、それを簡素化するツールを作りはしたが、本来は、登録先のプログラムに一括登録の機能をつけてほしいわけである。たとえ、対話型入力プログラムの製造元がオープンソース運動に乗ってくれたとしても、こういうのがあるからということで本来の機能アップが見送られたのではたまらんという懼れがあるわけだ。

 あ、そうそう。さっきのASCII NetworkProの記事に、《(フリーソフトへの反応は)少ないものでは作者へのメールは月数本というものからあるという》とありましたが、これも間違いです。私は普通月0本。(^^;
 よほど面白くないソフトを書いているのだろうなあ。なにしろ「フリーソフト開発秘話」を書いてはいるが「このソフト何処からダウンロードできますか?」というメールは過去1通しかもらったことはない。これを考えると私にフリーソフトについての発言権はないのかもしれない。(でも、普通の雑誌編集部よりはあるでしょう。)

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