手垢の付いていない単語は、いろいろな意味に使われるものだ。
コンピュータ関係はこの手のものが多くよく意志疎通の障害になる。先日びっくりしたのが「スクリプトを作らないといけないかねえ」と話していると「なんでスクリプトなんか使うんですか」と文句を言ってくる人がいたこと。Cで書いてコンパイルしろとでも言うのだろうか。よく聞くとスクリプトはスクリプトでも「ポストスクリプト」のことだと勘違いしていたそうだ。何でいちいち印刷するんだ、と思ったらしい。
ちなみに私は「シェルスクリプト」を「シェル」と呼んではいけないと思っている。シェルはそれだけでコンピュータとユーザーの対話部分という意味がある。だから「シェルでやればいいじゃない」という言葉を発した本人は「シェルスクリプトを書いて自動化すれば楽でいいじゃん」と意味しようとしていたとしても、聞いた方は「ターミナルに直接打ち込めば(いちいちシェルスクリプトを作らなくても)いいじゃん」と聞こえてしまう。まるで意味が逆になってしまうのだ。よく混乱の元になるのが「パッケージ」という言葉。Javaの話をしているときはクラスの集合体だし、ミドルウェアをパッケージと呼ぶ人もいるし、業務ソフトをパッケージという人もいる。あるいはワープロソフトをパッケージという人もいる。(シェリンクラップという言い方はあまり普及していないのだ。)だとするとOSだってパッケージソフトかもしれない。またミドルウェアによっては、中間ファイルに「パッケージ」の名を冠するものもある。ややこしくてかなわない。
最高に頓珍漢だったのが、金融ソリューションのプログラムで某ベンダーが「ビッグバン」という言葉を文脈に合うような合わないような使い方をしていたこと。金融の世界でビックバンというとロンドン証券取引所の手数料完全自由化に象徴される規制緩和を指さないか?ところがその会社のみなさまは基幹システムをいっきょに自社製品に入れ替えることを指してこう呼んでいるらしい。社内の用語がどうであろうと私はかまわない。しかし、金融業界への売り込みにこんな言い方をしたのでは逆効果もいいところであろう。
「なんだ。この会社、金融業界を全く知らないな。ならば、こんなところに基幹業務の構 築をお願いするのは不安だな。」
ちなみに、SAP R/3は「パッケージ」ソフトと呼んだのでいいですよね。最近困っているのは、WindowsNTのatコマンド(UNIXのcronのようなものらしい)をみなさん「エーティーコマンド」と発音すること。
モデム制御のコマンドと勘違いするではないか。でも、そう思うのは私だけなのかな?通信ソフト設定時にモデム制御コマンドを打ち込んだ経験のある人は、少なくとも私の周りにはいないみたいだ。最近は、ファイル操作をDOSプロンプトから行っているだけでマニアックと言われるようになったからなあ。
あ、そーそー。デジカメの普及のおかげかインハウスのシステム使用マニュアルにも「機器の写真」を使ったものが増えてきた。しかし、出来てきたものを見るとやはり考えが足りない。フォトレタッチソフトできちんと「グレースケール」に落としてから、マニュアルに貼り付けないとコピーしたとき汚くなるではないか。これは画面キャプチャーをマニュアルに貼り付けたときにも言えること。私が2年ほど前にデジカメ写真をマニュアルに貼り付けたときには変人扱いされたけど、でもそのときからグレイスケールには落としていたぞ。ファイルサイズも小さくなるし。コンピュータネタ、目次へ
ちなみに、そのときのマニュアル。小さいながらも間違いを見つけたのだが、レビューが終わったら一緒に直せばいいやとほおっておいた。突然異動となった。かくしてそのマニュアルはそのまま全世界に発送されたはずである。さあ、どうなってんでしょうねえ。
(ファイルサイズは切実な問題だった。そこにはたった3ヶ月しかいなかったが、その間に作成した資料を引き継ぐとき、MO一枚に入りきらなかったのだ。)