FAX送信代行サービスがないかなあ

 毎日、同じ時刻に決まった形式のFAXを送らなければならないことになった。非常に煩わしい。ここで電子メールを送れば、添付ファイルをFAXにして指定場所に送ってくれるという事務代行サービスがあればなあと考えた。いろいろ調べるとFAXCASTという会社という会社がやっていた。

 もっともこのFAXCASTという会社、さほど羽振りがよいようには見えない。それはそうだろう。1枚24円は高すぎる。
 で、FAX申し込みを専用ソフトから行うようになっているが、そのソフトのインターフェースも今ひとつの感がある。MS-WordならWordの印刷時、プリンタを選択する代わりに専用ソフトに吐き出させるようにして、そうすると何か電子メール送信画面が立ち上がって、FAXを送れるというもの。特に問題はないようだが、GUIなので自動運用できないし、手間がかかる。一枚こっきり送るのならこれでいい。でも、機械的に何枚も何枚も送りたい場合は、これでは済まない。これならば、節約できる手間は、単純に紙に印刷して、FAXを送るという部分だけである。何枚も何枚も送る、という場合はいちいちメニューを選択して、ボタンを押して、というのはやってられないのだ。差し込み印刷との連携も悪そうだし。
 だからこの会社には「その気になったら手でやれる」量のサービス依頼しか舞い込みそうもない。それで一枚24円取らないといけないのだろう。
 でも、まあ、各種関連サービスは網羅されているし、アイディアに無理もないので、結構頭の良い人が考えたのだろうとは推測できる。

 私が「使えないな」と判断したのは、自動実行ができないので手間の削減にならないから、なのだが、大量に送るのは大変だから使えないという判断はあるだろうか。
 つまり「手ではさばききれないほど」大量のFAXを送らなければならないニーズが本当にあるのかということである。もちろん、ある。
 すぐに思いつくのは、契約内容の確認。とりわけ金融機関の極短期の資金貸借などの場合だ。コール・手形取引という奴だ。現在は短資会社別にまとめて送受信すればよいが、日銀決済制度の改革(RTGS化とふつーの人は言っている)で取引慣行が変わるため、来年からは一時間に数百枚のやりとりが必要となるのである。電話で貸借の約束をしたあと、FAXで内容確認の書類を送りあう。この件数が始業直後のピークの一時間では数百件生ずると推測されるのだ。
 FAXの文面を作り、印刷して、あるいはFAXモデムを使って送受信するという作業を手作業で行うのはほとんど不可能だから、取引の多い金融機関はもちろん自動化を考えるであろう。つまりパソコンを並べて、電話回線を一台一台につないで分散して送信する。受信分もイメージファイルで持つ。
 ところが、FAXというものは一台では一度に1枚しか送信できないし、1枚しか受信できない。並行処理ができないのだ。かくして、待ち時間を作らないためには、大量のFAX回線が必要になる。FAX1枚を送るのに1分かかると仮定すると、データ量だけを考えれば5回線で足りるかもしれない。しかし、ランダムに発生するとして待ち時間を1分以内に抑えるとなると例えば30回線でも足りなくなる。更にここに受けが加わると大変なことになる。60回線必要になるのだ。これを制御するためにパソコンサーバーが10台。これを考えるならば、多少高くても電子メールで送れば、実際の送信は任せられる、という事務代行サービスへのニーズが生ずる可能性は高い。
 もちろん電子メールで送る場合はプロトコルがパケット交換をサポートしているのが前提である。これだと一本の回線で同時に複数の電子メールを送れるからだ。つまり複数のFAXを同時に送るイメージになる。
 電子メールというと、インターネットを連想するものであろうが、特にインターネットにこだわる必要はない。FAX送信代行サービスと公衆回線で結ぶのも良いであろう。その方が、安定性からは望ましいといえるだろう。

 もっともこれだけでは1時間数百通のFAXを受けるという逆の問題は残る。ここまでくればこれもなんとかしたいと思うのが人情だろう。

{ ここで当然の疑問が生ずるでしょう。「なんでFAXでやるの?はじめから電子メールでやればいいじゃない。」その通りなんです。しかし「市場慣行」という奴があって「(RTGSで取引慣行が変わっても)今まで通り確認書面はFAXでやりとりしましょう」ということになっているようですね。これには逆らえない。}

 もし、FAXで受け取る金融機関もFAXの量をに耐えかねて、何とか電子的にFAXを受けられないだろうかと考えているとすれば、物事は簡単になる。今度はこのFAX送信代行会社が音頭をとって「希望者は電子メールでお送りします」とすれば飛びついてくるのではないだろうか。(顧客毎にFAXで受けるか電子メールで受けるかの管理も送信代行会社が行わなければならないが。)しかもFAXの多い金融機関というとだいたい大手である。もっとも音頭をとるためには、ある程度の知名度のある会社がFAX送信代行サービスをやっているのでなければ無理であろう。少なくとも冒頭に上げたFAXCASTでは駄目。

 ちなみに、このFAX送信代行会社、将来性は抜群である。
 つまり大手金融機関の貸借通知を代行することによって、事実上貸借通知システムを運用していることになるわけだ。しかも回線は公衆回線か専用線かはともかくつながってはいる。
 ならばそれを発展させて「では、資金貸借の約定も代行します」と言える時が来るかもしれない。むしろ積極的にやりたいと思うのではなかろうか。丁度外国為替ディーリングをロイターのシステムでやっているように。
 もちろん業務範囲は金融機関の間の短期貸借に限りません。お望みでしたらCPでもNCDでも。。。

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