我が家のプリンタは3年近く前に買ったカラーのインクジェットである。2万円台半ばであった。安くなったものだ。インクジェットプリンタが最初に出たとき、うちの従兄はモノクロ印刷のものをうん十万円出して買って、H98に繋いで静かになったと喜んでいたのだが。さて、かのプリンタで年末にカレンダーを刷っていたところプリンタのインクが無くなった。仕方なく近所のパソコン屋で買ってくる。6447円也。
ちなみに隣に置いてあるプリンタ12800円+sales tax。更に帰省すると父親のプリンタもインクが無くなっていた。仕方なく電気屋にゆく。約8960円。ちなみに同じメーカーのプリンタは9980円。もちろん型落ちではあるが、父親のプリンタより性能はいい。さすがにあほらしくなってインクの購入は中止した。プリンタ本体は1020円か?
それは今までも「修理するより買った方が安い」という言い方はあった。腕時計に至っては「電池を替えるよりも買った方が安い」ということも事実ある。しかし、それらについては技術料の問題が大きかった。大量生産で一挙に作る方が、一個一個故障個所を調べて、あるいは手で電池の裏蓋を開けて作業するよりも安上がりというのは良く分かる。
しかし、プリンタのインクは違うぞ。インクカートリッジという製品自体は同じく大量生産品だ。更にはプリンタのインクを取り付けるという手作業は買った方が行う。何でこんなことが起こるのだ。
製品として売られているプリンタは、プリンタとインクをセットしたものであるから、それぞれ単品で買うより合計額が安くなる。これは納得。でもプリンタ単品が例えば差額の倍の2000円で売られているということはないよなあ。
かくして、プリンタとカートリッジの価格差がコストからは説明できないことが判明した。では、今度は需要と供給の方面から考えてみよう。
プリンタは型落ちがあって需要が弱くなる。従ってどんどん安くなるが、インクは型落ちがないので定価に近い額で販売される。これも分かる。ならばみなさんプリンタの生産を抑制してインクカートリッジの供給に尽力した方が儲かるはずである。なのにしない。競争が激しく、更に技術開発費の割合が大きいプリンタの生産をあきらめて、カートリッジを専業となる会社を作ればさぞや利益率が高くなるだろうに。そういう会社もない。
ただし、この疑問が生まれる背景には1つの仮定が敷いてある。インクカートリッジの需要があるということだ。ひょっとしてインクカートリッジの需要なんぞ無いのかもしれない。インクが切れると普通は皆さん新品を買い、インクカートリッジを買うのは年賀状を刷っている途中でインクが切れた場合に限られるとか。。。
それは、ようやくレイアウトが決まり、郵便番号もきっちり枠の中にはいるように調整した後では、インクが切れたからといってプリンタを替えて微調整するのは面倒だわな。そんなわけで、年賀状を作るときはインクの量を調べて、切れそうだったら新しいプリンタを買う、というのが経済的に正しく、またメーカーも想定している動作であることが判明した。
となると、雑誌の特集「プリンタ徹底比較」ではプリンタに付属のユーティリティでインクの残量が計れるかどうかがチェックポイントになるかなあ。更には、インクを交換してから今までに印刷したドキュメントの明細を覚えていて、残り印刷可能枚数の目安を出してくれるものがついていれば、安心してプリンタを買い換える決心がつくことになろう。
プリンタメーカーはこういうところで差別化を図ってもいいんじゃないだろうか。
しかし、捨てる時期を判断させるための機能なんて、、、なんて淋しい機能であろうか。では次にこの「買い換え時期を計る機能」が雑誌の特集とかで比較項目となるかどうかについて考えてみると・・・考えるまでもない。プリンタをたくさん買ってもらった方が雑誌もメーカーも喜ぶのだからむしろ積極的に取り上げるべきなのではなかろうか。
雑誌が取り上げられない項目であれば、誰かがホームページで「使っているプリンタユーティリティの機能比較をやるぞ!」とぶちあげてくれると面白いかな、と考えてみたが。
上の論の欠点。コンピュータネタ、目次へそれでも論を進めた理由は「個人に情報が集まる時代」を考える上でのいい例ができたかなと考えたから。
- 型落ちで投げ売り状態となったプリンタについての議論をプリンタ買い換え一般の議論にすり替えている。
- プリンタを買った以上、インクについて消費者は選択の余地はないから、高値を維持しているだけだという当たり前の議論を抜かしている。