MacがUNIXになったから

 AppleがMacOSXのカーネル部分をオープンソースにしたと聞いてからもやもやとした感じがぬぐえなかった。なぜ?理由がない。
 どっちかというとビジュアルシェル、というかデスクトップ環境のAquaをオープンソースにしたほうがみんな喜ぶのに。。。

 で、気が付いた。そんなことは絶対にないと思うけども、MacOSXが本当にUNIXカーネル+GUIだったとしたら。そして、本当にAPIがクラス化されたオブジェクト指向OSであるとしたならば。
 ひょっとして、他のUNIXベースのカーネルの上にAQUAだけインストールできるんじゃないだろうか。あるいは、宣伝されないがMacOSXのおまけについているNextStepの開発環境が移植できるのではないだろうか。
 つまり他のUNIXにMacintoshのGUIを載せることが出来るのでは、ということである。これは凄いんじゃなかろうか。古さの目立つ(らしい)CDEに代わってGNOMEをUNIXの標準デスクトップ環境にするという動きがあるようだが、それは、使えるものならMacintoshのGUIが使いたい。

 ならばカーネルをオープンソースにしたことが効いてくるのだ。Intelプロセッサ上で使いたいとなれば、ソースを見て移植すればよいのだ。MachOSXが利用したカーネルはMachで、これ自身は既にIntelを始め他のCPUに移植されている。だったら何とか移植できそうだ。だいたいNeXTSTEPだってIntelに移植されていたんです。それどころかSparcにも。ひょっとしてLinuxカーネルを改造してAPIを共通化すればLinuxのうえでAquaが動くかもしれない。

 するとAppleはMacOSXをがんがん売ることが出来る。MacOSにしては不思議なくらい安いのだ。謎だった。ちなみにあれって、システムディスク持っていかないと買えないんでしたっけ。とくにそういう表示はなかったが。。。とすると、あの価格はお客さんがGUIの分だけだと割り切って買ってくれる程度であると意識して付けたのではないか。そしてその値段で、誰にでも売るという戦略を既に選択しているのではないだろうか。

 オープンソースの動きは、OSをあらかた只にしてしまった。それを前提にOSで商売をしようとすると、GUIを売るというビジネスモデルも考えられるだろう。もし、Appleがそれを実現しようとしているのだとすれば、これはすごい。

 さらには、NextStep譲りの開発環境。これはMacのGUI(というかウィジェット、ですかね)で企業マーケットに切り込んでゆく大きな武器になりそうだ。スティーブ=ジョブス自身がかつて言っていた。企業は競争力の源泉であるカスタムアプリケーションを自ら作るものだ。そのための最適な環境がNextStepだと。(SUN主催のセミナーでNextのCEOとして講演した。ちなみに私はそのとき質問したついでに握手してもらった。)
 となると、企業がMacOSを買ってさまざまなハードウェアに載せ、自社開発システムを組む、というのが2年後には普通になるかもしれない。

 まあ、夢物語だろう。そこまでMacOSが理想的に実装されているとは思えない。
 しかし、これだけはいえる。Appleは1年後、確実に世界一のUNIXベンダーになっているはずだ。
 PowerMacを作ったとき、瞬く間に世界最大のRISCワークステーションベンダーになったようにだ。

 スティーブ=ジョブスはAppleを辞めてNeXTを興した。そのとき作ったのはUNIXベースのワークステーション、そして美しいGUIと見事な開発環境だった。そして金融機関を中心に企業に売り込んだ。
 MacOSX、なにやら随分似てないか?売り込み先はまだ分からないけども。

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