Microsoftが賠償すべき相手

 Microsoftが司法省と和解したらしい。
 圧倒的にMicrosoftが有利な条件だ。和解内容はWindows3.1の時のものを髣髴させる。つまり実効性がなさそうだということだ。だいたい目に見える形で足かせをはめなければMicrosoftが約束を守るわけがない。(ユーザーに対する約束にしてもしかり。ちゃんと約束どおりChicagoを出してくれ。4MBのメモリで十分、完全な32bitで、過去の資産が全部問題なく動くという奴。)
 そんなわけで監視委員会を常設するということだけは司法省のポイントとしていいかもしれない。

 まあ、この条件で何らかの動きが出てくるかを考えてみた。ふむふむ、内容は良く分からんのだが(まだ週刊アスキーも出ていないし)技術情報の一部開示というのが引っかかった。なんで?
 こういうことだ、ひょっとしてMicrosoftはWindowsの(必要な)技術情報を開示しないことによってアプリケーションを開発する他社を不利な状況に置いてきたとMicrosoft自体が認めているということ?だとするとそれによって被害を受けた人からの損害賠償の対象にならない?
 例えばLotus社は「1-2-3は不当に不利な立場に追い込まれたために、十分享受できたはずの売上・利益を得られなかった。よって保障しろ」とMicrosoftに請求できるんじゃないだろうか。Microsoft自体は不法に不利な立場にLotusを追い込んだと公式に認めたようなもんだから抗弁のしようがない。
 もっと文句を言いやすいのはBorlandかな。「おかげでQuattroProが1億2千万ドルでしか売れなかった。当然得られたはずの売却額との差を保障しろ」。Novelは更に額が具体化する。WordPerfectを買収した額と売却した額の差分は明らかな損害として見積もっていいのではないかな。

 しかし、最も被害を受け、更に最も世間の同情を引きそうなのは一般の株主である。
 「Microsoftに不法な扱いを受けた会社の株を持っていた。その会社は株式交換で買収された。Microsoftが法を守っていれば、もっと有利な条件で株式交換できたはずだ。その差額を賠償しろ!」むちゃな話だとは思わない。

 個人的な意見としては、自社の製品をOSにバンドルすることが悪いとは思わない。独占企業であってもそれは同じだ。ただし、バンドルソフトが自社のシェアアップ=他社製品の排除という目的を持っているから悪くなる(それが目的でないというなら、MS-OFFICEをバンドルしてくれ、OSの一部だし、消費者のためになる)。独占してから契約形態を自社有利に書きかえるor値上げするから違法になる(それがキャンペーン価格であっても値上げしてはならないはずだし、アクティベーションの追加なんてもっての他だ)。それが独占禁止法という奴だと思うのだ。
 OSといういわば公共財を提供するメーカーの社会的責任というのは次の問題である。そのためには、例えばバグで情報が漏洩したら・・・MS自身による情報収集も含む・・・賠償するなどの条項が必要となろう。

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