プロ野球オールスター戦が愛媛県松山市で行われたが、あの「坊ちゃんスタジアム」という名称、何とかならんものかね。松山人はやたら「坊ちゃん」という名称を好むことはアド街ック天国でも紹介されたが、なんでまた野球場にまで「坊ちゃん」なのだろう。しかも3万5千人しか収容できないのに「スタジアム」。
例えば坊ちゃんの中に野球をやっているシーンが出てくるとかあればまだ理解できる。しかし松山で野球というとニュースでも紹介されるエピソードは、歌人正岡子規が「野球」という日本語を作ったということではないか。ならば、野球場の名前は、シアトルマリナーズの本拠地も有名になったことだし、正岡子規の号をとって「ホトトギスフィールド」などとするとピッタリじゃないの。
子どもがまだ小さいので、例によって学童の夏休み時期を外して短いながらも夏休みをとった。で、またもや箱根の温泉につかりに行った。ちなみに子どもは富士山に深い感銘を受けたようである。コンピュータネタ、目次へ温泉につかるとき、貴重品をどこに置いておくかは結構な問題点である。で、この宿は大浴場の前にSAFETYBOXというのが置いてあった。小さな貸金庫の集合体で、物を入れた後、暗証番号を登録し、物を取り出すときはその暗証番号を再び入力する必要があるというものである。なるほど便利だ。設計思想は間違っていない。
が、実装がおかしかった。暗証番号を登録するとき「確認のための再入力」を求めてこないのである。しかも暗証番号入力はテンキーでなくタッチパネル。これでは押し間違えても分からない。
案の定、物が取り出せなくなった。多分誤認識されているんだろうと「1」の代わりに「4」を入れたりと悪戦苦闘したが、さすがに5回ほど間違えると使用不能になった。(こういうところはきちんとプログラミングされている。)
「すわ、泥棒か!」とフロントからだれか飛んでくるかなと思ったが、その気配は無い。オンライン監視はされていないようだ。そういえば、ものを預けたときのレシートが妙だった。発行日付が軽く4ヶ月遅れている。つまりこれはメインコンピュータとオンライン接続されていないことを意味している。少なくとも時刻調整の仕組みは無い。まあ、フロントに事情を話して物は出してもらえたのだが、これは当方にもそれなりの教訓を与えてくれた。
プログラマが正気であったとするならば設計のときに暗証番号の確認入力を求めることを考えたはずだ。Microsoft Windowsですらそのくらいのことは考えているのだ。
ではなぜ、確認入力をさせなかったか?おそらく利用者が理解できないと考えたのだろう。湯治に来ている年代の方々に、そのような操作を求めるのは、確かにつらいところがありそうだ。
しかし、誤入力を防ぐための機能は何もつけられていない。「暗証番号を押し間違えたとしても、修正することができない。そもそも暗証番号をどう押したかすら分からない。」これでは駄目だ。
要するに説明の難しい機能は必要なものであっても省くが代替策はとっていないということだ。これは怠慢といわれても仕方なかろう。こんな会社がセキュリティをやっているつもりとはね。
ただし、このSAFETYBOXとやらを作った会社、妙なところだけセキュリティに気を配っており、製造元名も連絡先もどこにも書いていない。まるでMicrosoft。かつて「パソコンの時計は遅れる」という文章では、「コンピュータの時計は進むより遅れるほうが問題が少ないので、どうせ狂うのなら遅れるほうに狂うよう調整している」ということを書いたが、組み込み機器ではそうでもないと考えた。このような「ロッカー」であれば、普通「最大預け入れ期間」が定められているので組み込みコンピュータの時計が遅れてしまうと逆に困ることがありうる。時間を進めて時計を調整しようとすると、本来規定預け入れ期間内の荷物であっても、時計を調整したとたん預け入れ期間を過ぎてお客様に迷惑をかけてしまうのだ。
そんなわけで、この種の機械、一度時計が遅れてしまうともはや直すタイミングが取れないことに気がついた。ロッカーは一年365日/24時間がサービスタイム。毎晩12時に時間を合わせるといった仕組みを導入時から作りこんでおかないとオーバーホールの時しか直すチャンスは無い。
かくして教訓。年中無休で絶対時間を見ておく必要のあるシステムは導入以前に時間を直す仕組みを作りこんでおきましょう。