ある国にコンピュータに非常に詳しい元首がいるらしい。コンピュータネタ、目次へ
unicodeのどこにハングル文字を入れればよいか元首自ら気にしていたそうだ。(自国に決める権限がないのを知らないのは、まあご愛敬。)また、実メモリを安易に増やさず、ディスクをメモリの代わりに使うことを検討するように、と仰ったらしい。
こまかい突っ込みはおいといても、確かになかなかの知識である。ITを「イットってなんだ」と言った森元首相に見習ってほしいくらいだ。
ただし気にしているのは噂によるとこのお方は独裁者だということ。つまり、独裁者に対しては周りのものが必要以上に気を遣う。
まずはunicodeにハングル文字のエリアが確保された件であるが、これはよかったとしよう。元首の仰るとおりにエリアを確保しておきました。ご相談申し上げませんでしたが、ハングル文字を収録できるほど連続したエリアがあいているのは一カ所しかございませんでしたので、と報告すれば、担当者の首は安泰だ。
エリアが確保できたのは仮想敵国(だよね)のおかげだという事実がばれると後が怖いとしても。しかし、ディスクをメモリの代わりに使う・・・というのはちと怖い。これは最近のOSであれば必ず備えている仮想記憶の話なのであるが、ようするにWindowsでいうとスワップファイルを使えということである。で、スワップファイルを使うと・・・皆さんご存じのようにコンピュータの処理は遅くなる。
ディスクをメモリの代わりに使う、というのが彼の国が独自OSを開発する際に、仮想記憶を実装するということであれば全然問題ない。でも下々の者はこの発想をアプリケーション開発の部分にも適用してしまうのではないだろうか。何しろ独裁者の方が言われたのだ。何かのアプリケーションを開発したはいいが、稼働させるためにメモリを増やしてくださいなどと言うと、元首の言うことを聞いていないのか!と処分される可能性がある。
かくして各アプリケーションは、何が何でも実メモリを消費したくないと、独自に仮想記憶を実装することになるかもしれない。いかにもアプリケーション間の相性が悪くなりそうだ。
さらに怖いのは、おふれを守りたいがために、不要であるにも拘わらず仮想記憶を使うアプリケーションが出来ることである。「ちゃんと元首の仰ったことを守っています」と言いたいがために。すると、動作速度はとてもとても遅くなる。お願いだからこんなアプリケーションで弾道計算をやらないでほしい。リアルタイムの制御は不可能だ。計算をしようとしてもいつ結果が帰ってくるかも分からない。
いや仮想記憶を使うのはまだいいとしよう。もっと怖いのは、スワップファイルを使うことが目的となって、その目的を実現するために採用するOSをディスクを使用するものに決めてしまうことだ。組込用リアルタイムOSを使うべきところでも、無理矢理にディスクを使うOS、例えばパソコン用OSを採用するなどとなると怖い。
ミサイルに使用するOSってリアルタイムOSでないと普通はまずいような気がする。確かにディスクを使うOSはリアルタイムOSではないとは限らないけども、アプリが作りやすいからとパソコン用OSを使っちまうんではないかなあ。それもMS-Windowsを。そうなるとOS起動中にミサイルが目標地点に到達してしまうなどという笑えない出来事が起こってしまいそうだ。でも頼むから、ライセンスは正規のものを買っていただきたい。そして使用前に、きちんとアクティべーションしておいていただきたい。でないとミサイルが飛び立ったはいいが、アクティべーションされていないからと言うことで、動作しないかもしれない。
ミサイルは飛び立ったときが初回動作時である。それまでにOSを立ち上げてアクティべーションをかけておく必然性は、ひょっとしてないのだあ。以上、入り組んだ冗談でした。冗談であったほしいなあ。