AppleKeyboardをMS-Windowsで

 デスクトップパソコンを使う上で、一番の問題となるのは恐らくは設置場所の大きさである。(そのほかにも、消費電力の問題とかがあるが。)

 仕事場で「デスクトップを割り当ててもいいよ」ということになった。ディスプレイの大きさと明るさの誘惑に惹かれデスクトップの導入を依頼したのだが、設置場所をどうやって節約しよう。
 ディスプレイが大きいのは仕方がない。本体は省スペース型デスクトップを用意してくれるそうなので(感謝)いいとして、問題はキーボード。適当なのはないかなあ。キータッチにこだわる私としては、非常な難問である。

 IBMの101キーボードはばかでかいので論外。今一番気に入っている東プレRealForce106も事情は同じ。これを機にKENESYSのErgoKeyboardを使うという手もあるなあと思ったがいくら何でも変態扱いされる。(まあ、いずれ使ってしまいそうな気はするが。)
 HappyHackingKeyboardの最高級品が、東プレと同じ無接点を使っているということでちらっと頭をかすめたのだが、約25、000円という値段は二の足を踏ませるに十分である。それに折角ならテンキーがついているやつがいい。かといっていかにも省スペースでござい、とごてごてしているのはかっこわるい。

 などと考えていると、自宅のパソコン台の下に埋もれていたAppleKeyboardが目についた。左手前に色つきのリンゴマークの付いた大昔の奴である。以前知り合いがVxを廃棄したときに貰ってきたものだ。
 テンキー付きでは小型。キータッチもまあまあ。US配列でControlキーはAの隣。それになんといってもおしゃれである。
 ただしファンクションキーがない。これがないとかな漢字変換の時困るのである。しかしMac版ATOKはCtrlキーと「U」「I」「O」「P」「@」の組み合わせでF6〜F10の変換を代行していたような記憶がある。でATOKの設定を見てみると、なんだMS-Windows版でもサポートされているじゃないのこのキーアサイン。
 で、不本意ながら手癖の方をキーボードに合わせることにした。(私はキー配置にはそれほどこだわらないのだ。)

 では、とMachintoshのADBポートをUSBポートに変換するアダプタを買いにゆくことにする。こういうものは秋葉館にゆくと何とかなると昔から決まっている。しかし秋葉館が中央通りに面しているとは、時代も変わったものだ。  で、見つけたのがGriffinのiMateというADB→USBアダプタである。お値段5,980円(並行輸入品)。うーん思ったより高い。この価格なら、それなりに気の利いたキーボードが買えてしまうではないか。
 こわごわと店員さんに聞いてみる。「これを使ってAppleKeyboardIをMS-Windowsにつなごうかと思うんですが、やっている人ってご存じですか?」
 聞いたことないそうな。よし、やるしかない。少なくともホームページのネタにはなるぞ。なんといってもAppleKeyboard、おしゃれである。この「おしゃれ」という言葉、コンピュータ業界では「死語」となりつつあるのだ。

 そもそもコンピュータ業界の用語はださい。これはIBMから脈々と続いた悪しき伝統である。まずはIBMという名称が悪い。International Business Machines、要するに「国際事務機」の略である。
 その他IBMのネーミングセンスときたら、「PL/I・・・Programming Language 1」「OS/2・・・Operating System 2」「APL・・・A Programming Language」・・・論評を避けよう。
 では、UNIX陣営というと、おしゃれにしようとしたはいいが、あか抜けきらない面があるのは否めない。(GNUといった再帰的名称とか。たまご・・・たいへん またせて ごめん。Wnn・・・Watashino Namaeha Nakanodesu。)しかたなく「読み方を変えて」世間一般と差別化を図ろうとして逆に狭い枠に閉じこもってしまう。(Googleは「ゴーグル」でいいじゃん。「Yahoo」は「ヤッホー」でいいじゃん。ついでに「Mobile」はモービルでいいと思うんだけどな。)

 唯一、おしゃれなのが「Apple」なのだ。そう言い聞かせて、人柱となるべく「iMate」購入。

 ADBケーブルとかを引っ張り出して、ともかくAppleKeyboardをValueStarに接続。2〜3分かかったが、キーボードを認識。使えるようになった。
 ともかくもアルファベットやEnterキーは使える。

 ここでキーボードドライバを101英語キーボードのものに変更しようと思ったが、、、え、キーボードドライバの選択メニューがないの?WindowsNT4.0では確かあったんだけどな。で、いろいろ検索してみると(便利な世の中になったものだ)、Windows2000以降はレジストリを書き換えないと使えないのね。(こちらのサイトにお世話になりました。)

 とりあえず使えるようになったぞ。
 が、すぐに不満。
 かな漢字変換のON/OFFがいまひとつ。101キーボードの場合は「ALT」+「~」で行うのだが、「~」はスペースバーの左についているからいいとして、「ALT」がOptionキーに割り当てられている関係上、キーを一つおいて叩くというのは面倒。(AppleKeyboardは、手前のキー列が「Caps Lock」「Option」「Apple」「~]と並んでいる。)というわけで、「Option」と「Apple」を交換。この時にはKeySwapというソフトにお世話になりました。
 かな漢字変換の都度、手首が移動するが、まあしゃあないわ。

 さてAppleKeyboardは、様々なキーが省略されている。「PrintScreen」が省略されていても、今のところ不便はないのだが(これが、操作マニュアルを作る仕事だったら大問題である)、どうしても困るのが「Delete」キーがないということ。
 あるだろうって?いや、あれね。「Delete」って書いてあるけど、BackSpaceなのよ。そこで再びしげしげとキーボードを眺める。テンキーの左上の「Clear」キー。これにDeleteを割り当てよう。と、再びKeySwapにお出まし願う。(これがChange Keyだとうまくいかないんだわ。)

 ところがところが、また問題が生じたのだ。この「Pause」キー、実はNumLockキーとして認識されていたらしく、今度はテンキーが効かない。MS-Windows起動時に自動的にテンキーが効くようにしているのだが(やりかたはここ)、NumLockキーがないとちゃんと動いてくれないようなのだ。これには困った。仕方がないので、NumLockキーをCapsLockキーに割り当てた。

 悪戦苦闘の末、なんとかAppleKeyboardでMS-Windowsを使うことが出来るようになった。確かにPageUp/Downキーはないし、Home/Endがないのも不便といえば不便である。Alt+F4でアクティブウィンドウを閉じられないというのも痛い。
 しかし「おしゃれ」という特性には変えられない。ともかくこれで行くことにした。

 まあ、小さい問題はいくつかある。キーの突起が「D」と「K」の上にあるので、ついついホームポジションがずれてしまうとか。おもわずショートカットを叩こうとした指が空を切るとか。
 しかし最大の問題は「AppleKeyboard、実はそんなに小さくない」ということだろう。このキーボード、マージンの部分がずいぶんと大きいので、普通のテンキー付きスペースセーバーキーボードと大きさがほとんど変わらないのである。
 これで「音が大きすぎる」などと周囲からクレームが付くと、目も当てられないなあ。
 ああ、なんとおしゃれの道は険しいのだろう。

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