不幸な話

 ある日パソコンの電源を上げたところ、MS-Windowsのロゴ画面が現れたあと、真っ青になった。
 "Check your hard drive to make sure it is properly configerd and terminated"とか表示。 どうやらハードディスクが飛んだらしい。
 最大手のメーカー製パソコンなんだけどなあ。

 セーフモードでも起動しない。
 Ctrl+Alt+Deleteすら効かない。
 BIOSをフルブートにしてメモリチェックをすると、これは正常。
 BIOSよりIDE DPEセルフテストを実行すると、0%のまま停止。
 「テスト失敗:ドライブを交換してください」
だとさ。

 さすがの私も慌てた。フルバックアップは8月始めからとっていない。
 今日のお仕事アーカイバでとったバックアップもあるが。バックアップ媒体(FD)をテキトーにローテーションさせているので(医者の不養生という)、HDDまるごと吹っ飛びはきつい。なにしろOSさえ起動しないのだ。

 まずはNortonSystemWorks2002でCD-ROM起動を試みる。上手くいけばDiskDoctorでデータは救えるぞ。
 ダメ。全くディスクにアクセスできないらしい。本当にNortonSystemWorksって役に立たないねえ。Symantecには随分だまされた。ホームページ作成ソフトをおまけに送ってくれるとかいうのでVisualCafeも買ったのに、ユーザー登録しても送ってくれない。
 よし、これからはSymantecをぼろぼろにけなすことにしよう。MS-Windowsはまだ動くという代えがたいメリットがある。MS-Wordだって、行頭が揃っているかを気にしなければ文章は書ける。MS-Excelだってこまめに印刷プレビュー画面を使えば、表くらいは完璧にできる。これだけでも大したものだ。インストールして初めて使えないことが分かる、という仕様は何とかしてほしいものだ。
(最近、こういう感想を持つようになった。Microsoftがまともに見えるほどパソコンソフトはひどい。ケータイ・リンクもデータのバックアップはできるが、書き込みができないしなあ。できるのかもしれないが、いつまでも作業中の画面では、できないのも一緒である。たとえば「セキュリティロックがかかっていて書き込みできません。解除してください。」くらいのメッセージは出さないと、こっちは「なんだ、使えないのか。ホームページやパッケージに書いていることは嘘だな」と判断せざるを得ないのだ。確かにMicrosoftはNT4.0では、インストール途中で「HPFSはサポートしません」と初めて表明したという過去の悪事はあるが、それでも言うだけましというものだ。)

 ダメ元でknoppix3.2の日本語版でCD-ROMブートをかける。なんと起動した。起動するということはCPU周りに問題はないようだ。しかもBIOSさえもあきらめたハードディスクも認識している。ファイルもものによっては開く。壊れたファイルもあるようだが、何とかなりそう。
 さすがはknoppix、見事なデバイス認識力である。当方、よいしょ、よいしょとファイルを拾ってゆく。作業中にOpenOfficeでファイルの内容確認もできる(但し文字は化けまくり。文字コードが違うから仕方がないとはいえ、予備知識のないユーザーにLinuxとMS-Windowsで同じアプリが動きます、と言っちゃうと誤解するぞ)。
 よし、これだけ救い出せれば何とかなるぞ。

 なわけで何とかなりました。私が使ったのはLinux magazine for beginners2003の付録についてたCD-ROM。knoppix、同じバージョン3.2でもリビジョンによって違いがあるようで、ブートしないものがあった。
 knoppixの日本語版、使用していたフォントの著作権問題で一時配布中止になったが、どうやら配布再開。えがったえがったえがった。特筆すべきものは、フォントデザインをパクられた側の日立が「使っていいよ」と言ってくれたこと。なんと寛大な態度。これなら日立のLinux事業、信頼できそうだ。途中で自社の有償UNIXに変えないとサポートしません、などと言い出すことは絶対になかろう。感心した私は、洗濯機を日立製に買い換えた。

 かくしてデータは救えたが、今度は別のパソコンが起動しなくなってしまった。フリーソフトを書くのに使っていたPentiumII-350の古い自作機である。こいつはBIOSすら動かない。しゃーない。ドライブを外して廃棄。さて、このドライブの中身どうしよう。

 いずれにせよ、ものすごーく機嫌が悪化した。こんなときには、ヤケ買いである。というわけで買ったのがトラックボール。ずっと前だがサンワサプライのトラックボールを使っていたことがあり、とても気に入っていたのだ。ボールは非常に大きく、手のひらでコロコロさせてポインタを動かす。手を浮かせてしまえばそれ以上ポインタは動かないので、ダブルクリック楽々。1ピクセルごとに動かすという細かい作業もできる。ところが最近魅力的な製品が無かったのだ。

 しかし、海の向こうで高級トラックボールメーカーKensingtonがExpertMouseを出したとか言うではないか。ただし今手に入るのは並行輸入品。でもWPC Expoに行くと日本代理店である七陽商事のブースに、、、ありました。かくして私は、国内保証付きのKensington ExpertMouseをいち早く購入してしまった次第。このいち早くというのがいいね。国内版の発売は年末か・・・ひょっとすると年明けか、という予定らしい。ストレス解消のための買い物には、レア物という感覚がなによりのスパイス。そういや最近マウスを持つと指に痛みが走るようになったし、いい頃合かな。

 しかあし、かかあし、やっぱりマウスの方が早いなあ。慣れてるせいもあるが。目標までカーソルを持ってゆく角度を決める際は、机の上でマウスを滑らせる方が、ボールの回転方向を決めるより、やはり直感的なのだ。

 でもトラックボールはお年よりや初心者には良いかも知れない。ポインタの位置が決まれば、クリックの時に余計な力がかかってポインタがずれることはない。ドラッグもドライバの設定で要するにMacintoshのRelaxFinderのようなことができるので、楽。ついでに言うと机の上の占有面積も狭い。本体はでかいが、マウスパッドより小さい。
 価格はそれなりだが、もっと普及してもいいのではないかな。

 当方は、試行錯誤の結果、左上のボタンを[Drag]、左下を[左クリック]、右上を[右クリック]、右下を[ダブルクリック]として使うことに決定。本当は右下を[Enter]にしたかったが、ドライバが対応していないの。

 時折、機器メンテの専門家の作業を見ることがある。この人たち、作業中にマウスを裏返しにするのね。インストール中、キーボードやマウスで余計なことをしないというのは鉄則ではあるが、マウスを裏返しにするとは、さすがである。誤操作の可能性は限りなく低くなる。ちょっとしたことだがすごいノウハウ。
 トラックボールを使うと、この作業をしてくれる人の工夫に対して「申し訳ないなあ」という自責の念に駆られることが・・・無いなあ。いまのところお手を煩わせせずに済んでいる。

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