ふたりめの子どもが生まれたということで、当方の両親がこっちにやってきた。
そういえば父親のパソコンは、設定してそれっきり。相当気になるので、その際持ってきてくれるようにと頼んだ。
父親もMS-Windowsのウィルスとかセキュリティホールとかが気にはなっていたようで、ちゃんと持ってきてくれた。まずは、マカフィー・ウィルススキャンのアップデートを行う。・・・「すべて最新です」のメッセージが表示された。うちの父親もきちんとやっているじゃない、と感心しつつも{いちいちアップデートなんかやるわけがない}という陰の声が聞こえたのも事実。
よーく、よーく調べてみると最終更新日付が・・・ああ、やっぱり私が当初設定したときから手を付けてない。なら、さっきのメッセージどうして出たのかなあ。
ともかく、プログラムがどっかこわれているかもしれないので再インストール。再度接続。アップデート。おお、いきなり「すべて最新です」が出る。明らかにプログラム本体がおかしい。まてよ、このウィルススキャン、ソースネクストが発売していたけども最近発売元が替わったなあ。で、アフターサービスというかインストール後一年間の更新権までチャラにしたのか???ホームページを見ても特にそういうことは書いていないが。
いずれにせよ、許し難いバグだ。セキュリティに関するプログラムなのだから、穴が開いているにもかかわらず、開いていませんと表示するのは、ソースネクストやマカフィーがなんと言おうがバグ以外の何物でもない。(もし仕様であれば、それは金を出して売るほどのものではない。)
本来は怒り狂うべきなのだろうが、そんな時間はない。製造元のマカフィーが悪いのか、販売元のソースネクストが悪いのか、切り分けるまで待っていられない。
とりあえず、ウィルススキャンの使用権は当方にあるはずである。これを根拠に無理矢理アップデートした。一応新しいパターンファイルは読み込んでくれているようだ。その証拠に父親のパソコンから那智さんのファイルが見つかった。ちょっと冷や汗。が、レジストリを見ると発症した痕跡はない。よかった、人様に迷惑をかけたということはなさそうだ。やはりIEもOutlookも削除し、さらにプレインストールのMS-Officeすらアンインストールしたのが効いているのかしら。
まあ、パッチを当てまくり、ファイアーウォールも設定して一安心。で、何に使っているか聞いてみると、やはり超高級電子メール専用機となっているそうな。とはいえ、電子メールで送ってもらったワープロのファイルを編集したりしている。(OpenOfficeは入っている。)表の罫線を書き換えるのがすごく時間がかかる、などと言っている。まあ万年初心者ながら、それなりかな、という感じ。少なくとも文豪miniは使いこなしているのだし。
でも聞いているうちに、作った文書をフロッピーに保存する方法が分からないことが判明。えっ!
そこで思い出したことがある。そういえば十年以上前、みなさんMS-DOSが分かりにくいと言っていたなあ。そのころはファイルという概念、階層的ディレクトリというファイル格納方法が分かりにくかったのだ。MS-DOSは要するにファイルを階層的ディレクトリ構造で保存する仕組みである。コマンドという奴も、要するにファイルの作成・複写・削除のためにあるのだ。
あとMS-DOSでできることといえば、プログラムファイルをメモリにロードするくらいなものだ。MS-DOSなんて所詮はこんなモノである。
でも、十数年前、みなさんこれが分からずにつまずいたのだ。MS-DOSにGUIがついたからとはいえ、この辺の仕組みが簡単になったわけではない。なら、やっぱり父親もこのへんでつまずいているのではなかろうか。なわけで、階層的ディレクトリを説明。なるほど、と本人納得していた。おかげでFDにファイルを保存することができるようになった。(ちなみにマッキントッシュは、MS-DOSでは一緒くたにファイルと呼ばれているプログラムとデータをきちんと分けて呼んでいた。)
うーん。とここで考えてしまった。ファイルという概念および、階層的ディレクトリという手法。なぜ、これがWindowsの入門書に出てこないのだろうか。
本屋でパラパラと入門書をめくってみると、だいたいは、
1.Windowsとは
2.起動と終了
3.日本語入力の仕方
4.インターネットに接続しよう
5.電子メールを書こう
というパターン。ファイルがどうのこうのというのは特に切り出されていない。
つまり、こういう入門書で勉強した人は、起動して、インターネットに接続して、電子メールを送受信して、それでおしまいである。多少はワープロソフトに日本語で文章を入力し、My Documentのファイルにファイルが保存されるに任せることができるかもしれない。
もっともここまでできるためには、2つの大きなハードルがある。一つ目はキーボード入力であり、もう一つはメールのやりとりの相手を捜すことである。そんなわけで、ファイルという概念、および階層的ディレクトリは人づてに口承されることとされているようだ。まあ、入門書を書く人のキャリア(一世代以上前のアーキテクチャでコンピュータをとらえてきた)を考えると、ある程度やむを得ないかもしれない。MS-DOSの入門書を書いた人とMS-Windowsの入門書を書いた人の知っているコンピュータのイメージは異なっているのだ。
MS-DOSの時代は、メインフレームやUNIXの経験者が入門書を書いていたが、今は下手するとWindows3.1時代はティーンエージャーだった人が書いている。ファイルや階層的ディレクトリなんて慣れてしまえば条件反射だから、あまり気にしていないんじゃなかろうか。出版社としても地味なファイル操作に紙数を費やすよりも早めにインターネットが出てきた方が部数は伸びるだろうし。(メインフレームにとってファイルという概念はきわめて多様で理解しにくい。みなさーん、ISAMファイルをネットワークで使うときの問題点って分かりますかあ、下手に作るとユニークキーをローカルにコピーしないといけないんですよお。一番単純なSAMファイルだって、きちんとLengthを決めてからアロケートしないといけないんですからね。そんなわけでメインフレーム経験者は「ファイル」の概念を、間違っても忘れることはないのです。)
でもX-mediaの入門書はファイルとディレクトリに紙数を割いています。高く評価。というわけで当方は、今後X-mediaの本を薦めることに決定。なわけで、中高年、特に定年後パソコンを始めるとなれば、周囲に「ファイルとディレクトリの概念が分かっている人」がいるかどうかが、熟練できるかどうかの決め手になりそう。なんとなく情報リテラシーの地域格差(デジタルデバイドともいう)が広がるきっかけになりそうである。
たとえばこれが若年層なら、回りに誰か知っている人がいるだろうから、問題とならないような要因であるが、中高年だとかなり致命的な条件となりそうだ。
ブームに乗ってか、パソコン関連知識のトリビアという本が2冊出ていた。ちなみに書名に著作権はないので(そりゃそうだ「現代経済学」なんて書名に著作権が認められたら大変だ)、「トリビアの泉〜パソコン編」という名称を付けても法律的にはOKである。コンピュータネタ、目次へ
しかし載っているのは「そんなこと常識じゃん」という知識だらけである。ビル=ゲイツの父親がビル=ゲイツ:当たり前。Excelは元々マッキントッシュ用ソフトだった:間違いじゃないけどマニファクチャラーズ=ハノーバーのファームバンキングソフトというほうが「へー」だと思うんだけど。CDの録音時間はベートーベンが決めた:ちがう、カラヤンが自分の演奏は納められるが、フルトベングラーの演奏は収まらないように決めたの。どうせならUNIXはオーディオアンプであるとか、、、いずれにせよ、著者、編集者とも当方のホームページを読んでいないことだけは分かった。
しかし、この程度のことを「へー」に分類してしまうとは。著者、編集者のキャリアが窺い知れる。だから気にしているのだ。入門書のレベルを。入門書は一番よく分かっている人が書くべきものではないのかなあ。ちなみに当方、セーラームーンの舞台の一つ「ひ川神社」が麻布十番に実在するのを知って「へー」。マニアにとっては当然のことなんだろうけどね。
ついでに、あまりにも有名で「へー」にならないものというカテゴリがあったとして、グランプリを決めるとすれば多分これだろう。「楽聖ベートーベンは、耳が聞こえなかった。」