むかしむかし、とんとむかし。この前の金曜日くらい、ではないけども1997年の大昔。仕事がものすごくできてヒマだった人がヒマつぶしに考えました。コンピュータネタ、目次へ
稼働中のシステムでトラブルが起こったとき、それはトラブル収拾が一番重要だ。でもシステムに関係する人はみんな状況を聞きたがるのも事実。聞きに来るのはいいとして、呼びつけられたり、電話がかかってきたりして、キーマンがそちらにかかりきりになり実際にトラブル収拾の指揮が執れないこともある。それで収拾が遅れてしまうことも実際起こりうる。なんとかならないかなあ。
現場からの報告、これは電話でないとダメなところはあるから電話がかかってくるのを待っていなければならない。だから電話は止められない。でも状況を聞きたいからという電話がかかってきても受話器はとりあげないといけないから、そうなると肝心な現場からの急報が受けられない。他の人に応対をやってもらうと情報が錯綜して誤解のもとになるし。どうすればよいのだろうかと考えました。この人は顔と性格を除けばいい人だったので、すぐに考えつきました。「重複するから問題がある。状況説明と質問の場所を一つにすればいいんだ。」ならば掲示板を作って、そこに随時状況を書き込んでゆけばよい。質問があれば、質問者にそこに書き込んでもらえばいいんだ。
その人はヒマな上に勉強熱心だったので、Perlでオリジナルの掲示板プログラムを書き、こっそりと社内ネットワーク上にWebサーバを立ち上げました。当時といえど、CGI掲示板プログラムのサンプルなんて探せばありました。ではなぜその人はオリジナルの掲示板プログラムをわざわざ書いたのでしょう。もちろんヒマだからですが、他にも理由がありました。
何時に、どういう事象が判明した。何時に誰がどういう指示を出した。何時にどういう対応策を実施した。それらの記録が自動で残るようにしたかったのです。また、障害事象を関係のない人が見るのはセキュリティ上問題があります。ですから掲示板を見ている人を制限したかったのです。
まあ、当時のことですから、掲示板を見ている人の制限は甘くしか作りませんでした。でも、一覧は分かるようになっていました。また、掲示板として定型のログを残したかったこともあります。このログはあとでトラブル収拾作業として、どこが悪かったか、どこで手間取ったか、などを分析する資料にもなりますので、とても貴重だろうと思ったわけです。
当時そういった画期的な方法は、誰にも受け入れられませんでしたから、そのプログラムはお蔵入りになりました。
そのヒマな人は、今はそれなりに忙しく、同じようなものが必要とされても書く体力はありません。でも、今書くのであれば、Web掲示板ではなく、インスタントメッセンジャーのような形にするだろうなあ、と思っているそうです。
昔のプログラムの欠点は「掲示板を見てもらうには、まず、トラブル発生の連絡を別ルートでしなければならない」「ユーザー権限を分けられない。ReadOnlyMemberとWriteMemberの区別を付けないと、船頭多くして・・・という結果につながるかもしれない」ということだとそのヒマ人は考えたようです。ならインスタントメッセンジャーの形式で、関係者(要報告者)のパソコンのデスクトップに「ドン」と障害報告ウィンドウが開くようにすればよいし、権限者が掲示板参加者の制御をできるようにすればよい、と考えたようです。
なら、今であればインスタントメッセンジャーでしょう、というわけです。機会があって、7年半ぶりに取り出して説明したが、未だに何のことか想像がつかないようだ。とっくに誰かが出して実際にやっているところもあるアイディアだろうと思ったら、そうでもないらしい。で、蔵出ししたついでにまとめなおしてアップしてみることにした。
共通理解となるまでにあと1〜2年はかかるかなあ。そういえば1992年だったか?これからはダウンサイジングで開発する可能性もあるから、ということでルールを作ろうという打合せの第一回。旗振り役の部署はウィルスチェックルールばかりしゃべっている。最後に口を開いた私「重要なのはコンパイラとライブラリのバージョン管理だろう。メインフレームはコンパイル環境が一つしかないが、ダウンサイジングするといくつかに分かれるかもしれない。そのときコンパイル環境が違えば、同じソースから違うものが出来る可能性だってあるんだぞ。」全員キョトン。
数年前にやっと共通理解になったなあ。でも当時理解できてあたりまえだと思うんだ。だって私はそのときUNIXをさわったことはなかったんだぞ。N88BASICのサンプルプログラムをPC98(無印)に打ち込んだことしかなかったんだぞ。そんな人間でも思いついたんだぞ。私の説明、そんなに悪いと思わないんだが「インスタントメッセンジャー」という単語が通じなかったので、もういいや、となんか脱力してしまった次第。