パソコンの信頼性が家電を上回った話

 年末になると、何か新しいものが買いたくなるのは私に限らないことと思いたい。
 もっとも最近は緊縮財政が続いているので、あまり悩むこともない。(地球温暖化で世界の富の20%が失われるという調査結果が出たが、それを「なーんだ、そんなものか」と聞き流せる程度に賃金がカットされていたのがその理由。バブルの時期にマンションを買った人は評価額20%減で済むなんてうらやましいと考えているだろう。)が、つい買ってしまった。カノープスのテレビキャプチャーユニットである。白箱ながらkakaku.comの2/3の価格。それになんてったってカノープスである。私だってブランドには弱いのだ。

 うちのビデオはローエンドながら、一応テレビ番組をハードディスクにため込んで、DVDに焼いて保存できるタイプである。しかしながら購入当初からDVDを焼く時にエラーが頻発し、1/3〜1/2程度しか成功しない。やがて全然焼くことが出来なくなった。もちろんピックアップのクリーニングはやっている。これだけでも十分腹が立つことであるが、焼くのに失敗したときに「エラーで中断しました」としかメッセージが出ないのはプロとしてゆるせん。フラグメンテーションが多くて、ハードディスクのヘッドの移動時に間が空いてバッファーが空になりついていけなくなったのか、ピックアップが汚れているのか、単に媒体不良なのかこれでは分からない。誰だこんなエラーメッセージを出力するようシステムを設計したアルバイトは。組込みシステムは要求がシビアなので、プログラムが大変だという話を聞くが、それは根拠のない言い訳だったようだ。それ以外にもこのビデオ、立ち上げには時間がかかるし、上記のようなエラーを起こすと、ディスクの取り出しが出来なくなって、電源のOFF/ONが必要になるし、文字入力が苛つくのは勘弁するとしても、何かをやり直そうとすると、一度初期画面に戻り全部再入力というのはモードに頼った怠慢だ。マイクロソフトの製品の品質がいかに高いかを実感するのはこういうときである。マイコン時代、シャープのX68000は名機と聞いていたが疑わしいものだ。確かに改造すると良くなったらしい。まてよ、改造の余地があるということは完成度が低かったということか?それなら納得がいく。(だれかウォズの魔法使いが作ったAppleUを改造した人の話を聞いたことがありますか?)

 というわけで、ビデオに録画してもDVDで残せないがゆえに「パソコンで録画」をやらないとなあ、と思っていたのだ。そこにカノープスの特売品。これは飛びつきました。

 心配だったのはWindowsXP対応で2000は不可と店頭で表示していたこと。サブで使っているWindows2000のPCを使っていないアンテナのジャックの近くに設置して録画しようと目論んでいたのだ。メインのデスクトップPCはWindowsXPではあるが、アンテナのジャックと離れている。しかし何かピンと来るものがあった。相手はカノープスだ。最悪、Fケーブルを長々とひっぱってくればよい。そんなに広い家ではない。

 制御ソフトをインストール。インストーラーはOSのバージョンチェックなどせずにするすると進行。さすがカノープス。なんかあってもなんとかできる人間が使うだろうとユーザーを信頼している(ユーザーに甘えているという感じはしない)。早速テレビ受信。問題なく可能。少々液晶の反応速度が鈍いかな?というパソコン側の事情を感じる程度。予約録画。無事終了。問題はパソコンをインターネットに接続していないというこちらの事情により全部手入力ということ。時計合わせるのも大変だし。おまけの編集ソフトの操作性に言いたいことはあるし、マニュアルには録画した番組ファイルとの連携について全く触れていないので、オイオイ、という気はするが、まあよかろう。
 まだ全機能を試したわけではないし、全機能を使う予定もないのだが、予約取消をすると、OS再起動をしないと予約のやり直しが出来ないという問題は見つかった。まあ、OSが違うことを考えれば、全然許容範囲である。少なくともシャープの家電用ソフトより遙かに使い勝手がいい。ここで組込ソフトの技術者で「そりゃそうだよライブラリはパソコン用の方が充実しているし、家電のハードウェアはコストダウン要求が厳しいし」と思った人がいるかもしれないが、だとするとその人は「だから私は使い勝手と信頼性を求めて、ビデオデッキではなくパソコンを使うのだ」という言い分を了解してくれるに違いない。パソコンは不安定で使いづらく家電の世界では太刀打ちできない、というのが定説だったハズなのだが、いつの間にかこんな風になったんだね。

 というわけで「のだめカンタービレ」が録画できるぞ。但し副作用。見過ぎるとベト7の第二主題を聴いている途中に「この番組の提供はトヨタ、エステー化学」という幻聴がするようになるかもしれません。最初のデートで聴いて、結婚式にまで使ったほど気に入った曲なのにえらく俗っぽくなってしまった。(ショスタコ7番までは落ちていないが。)

 「のだめ」が終わったら今までDVで撮ったビデオを(VictorのIEEE1394は動作保証外なので家電メーカーらしく動作しない)取り込むのにも使えるぞ。というわけで作業は面倒だろうとうんざりしかけなのですが、これが1万円!満足度は高いのでありました。
 ちなみに型番はMTVX2005USBです。言うまでもありませんが型落ちです。その証拠に宣伝文句にSONY製チューナーを使用とあります。今ならSONY製使用などと書くわけがありません。まあバッテリーではないから書くかな?

 今回得た新知識。ビデオの予約録画をするためには、タスクスケジューラーが自動で上がるユーザーIDでログインしておく必要があるらしい。タスクスケジューラーが自動で立ち上がるためには、Administrator権限で、かつパスワードが設定されている必要があるみたいだ。それであのサーバーとかあのサーバーはAdministratorでログインしてからCtrl+Alt+Deleteでロックしておかねばならなかったのね。Administratorのパスワードを使うと管理がややこしくなるのに何故、と不満を感じていたが、そういうことだったらしい。


 全然関係ないが、ハリセンつながりで、
 コンクールで「ペトルーシュカからの三楽章」を弾かせてはなりません。
 あの曲はルービンシュタインのコンサート用の曲です。楽譜通り正確に弾くべき曲ではなく、その場の雰囲気に合わせてウケを狙うことを前提としたショーピースです。(従ってのだめの演奏は360度回って正解といえば正解。ついでにストラビンスキーはメロディーが作れず主題は他の曲から引用していたから、一歩間違えればああゆう曲にも成り得た)
 この曲、ストラビンスキーの貧窮をルービンシュタインが援助したことへの返礼としてストラビンスキーが献呈したという美しい話を信じていましたが、少々違うようです。ルービンシュタイン自伝によると順序は逆。ストラビンスキーがピアノを打楽器として扱っていたので、ルービンシュタインがピアノを前に説得。納得したストラビンスキーが「では君のためにペトルーシュカを編曲しよう」と書いてくれたのが真相のようです。(Wikipediaではルービンシュタインの自伝は「華麗なる旋律」しか触れられていないが、30才以降を綴ったものとして続編が出ていた。)
 さすがのドラマ「のだめカンタービレ」も終盤は詰め込みすぎ。コンクール本選、病気で1曲しか仕上がらなかったことを聞いた千秋が「いや、弾ける曲がもう一曲ある」とエントリー書き換えを依頼。Sオケ/RSオケを緊急招集し、本選2曲目で舞台へ。もちろんラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。驚くのだめに「自由に弾いていいから。(俺様が合わせてみせる。)」の決めゼリフ。準備なしで本番なんて野暮なつっこみはなし。あとはフラッシュダンスのエンディングを参考にしてくれると収まりがいいのだが。
 まあ、最後サントリーホールというのはスポンサーの意向を抜きにしても悪くはないかな。ピアノ協奏曲を聞いた限りでは独奏楽器とオケが分離して響くので、曲によっては向いているかもしれない。
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