オフラインファイル戦記

 平和の維持には手間がかかる。その手間を「コスト」と表現してはならない。「コスト」なんていうと、削減したくなるではないか。「平和の維持にこれだけコストがかかっています」と言うと「もう少し安くならんか」と答えるのが条件反射というものであろう。
 なわけで、さすがの私も疲弊感で少々おとなしくなっていた。

 時々、神はいるのではないかと思う。ただしあまり私のことを好きではないらしい。要するに平和維持にバテていたところ、直撃弾をくらったのである。ちゃんと起こしてくれたのはよい。僕への直撃弾であれば、少々ダメージはあっても被害はない。おかげで広まる前に手は打てる。平和は維持できそうだ。しかし、もう少しなんとかならんかね。

 Microsoft Windowsには「オフラインファイル」という機能があるそうだ。共有フォルダの中身をローカルに自動でコピーしてくれるので、出先でもネットワーク上のファイルが使えるし、レスポンスはいいし、便利なものらしい。
 しかし、セキュリティという点では問題がある。LAN端末のローカルドライブに極力データを置くな!というのが最近言われていることではないか。なのに、ローカルにファイルをコピー可能な設定にMS-Windowsって、なっているのね。

 これってセキュリティホールだよね。なのに「オフラインファイルはセキュリティに問題があるから使うな」という社会通念が出来ていないようだ。Googleで「オフラインファイル」+「セキュリティ」で検索しても、そういう主張のページは・・・ヒットするかもしれないけど、、、ないなあ。個人サイトはもちろんとして、ITProも@ITも便利だと持ち上げている。あ、珍しくマイクロソフトが言っている《新しい共有リソースを作成するときは、既定によりオフラインアクセスが許可されます。これは、セキュリティで保護された共有リソースを、セキュリティで保護されていない可能性のあるコンピュータ上にオフラインで格納できるということです。最も強力なセキュリティを実現するには、ユーザーがファイルをオフラインで格納できないようにします。》

 まあよい。応急処置を考える。[コントロールパネル]-[フォルダオプション]で表示されるダイアログボックスの「オフラインファイル」タブを開く。
 普通に考えれば「オフラインファイルを使えるようにする」のチェックを外して、現在あるキャッシュをクリアしておしまいにするのだが、どうしても気になった。そこまで設定を変えてしまうと、ネットワークドライブを実現しているミドルウェアで整合性がとれなくなってしまうのではないだろうか。だいたい常識的に考えて、オフラインファイルを使えるようにはしないはずだ。セキュリティ上問題があるからね。ならば、なんらかの理由があり、それがミドルウェアの制限ということは十分に考えられる。
 というわけで、オフラインファイルは使えるようにしたままで、キャッシュのサイズをゼロにすることを考えた。(クライアントサーバー型のシステムで苦労した人間は、この発想分かってくれると思う。)もちろん、キャッシュは初期化。
 でも、再起動するとキャッシュのサイズが元に戻ってしまうのね。

 仕方ない、オフラインファイルを使用禁止にして、ファイルの削除をやろう。げげ、削除してから、適用するまでのわずかな時間で、結構な量のファイルがキャッシュにコピーされてしまう。しゃーない。ファイルの手動削除。(\\システムフォルダ\CSCを空にする。)どうやらオフラインファイルを使用禁止にしても、サーバーのファイルは無事に使えるようだ。
 ああ、めんどかった。しかしまだ道半ば。応急処置の手法が分かった限りは他の端末も確認しないとの使命感。ただし寝た子を起こすのは避けたい。(いままでキャッシュファイルを使っていなかった人間が、使えるならと使い出すのは避けたい。特に低速の回線を使っている人には朗報だろう。)
 そこで、メールで最低限の問い合わせ「ファイル削除の確認」ダイアログボックスを見てもらって、そこに「現在、削除できるオフラインファイルはありません」のメッセージをあるかどうかを返信してもらうこととした。
 もちろん近所でオフラインファイルが作られている確率をリサーチして、案外少なそうだ分かったところで、捜索範囲を広げ全体の件数を見込む。問題があっても、個別に対処したので済ませられそうだと判断したうえでのことである。

 平和のコスト、十分節約していると思うんですが。

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