ウィルス対応メールルータ

 コンピューターウィルスに感染した奴を上席の前でなじったことがある。
「ユーザーなら添付ファイルを不用意にダブルクリックした!で怒ったんで済むがお前は情報技術者なんだからそれでは済まない。どうしてこんな手に引っかかったんだ。1ヶ月くらい前からこんなウィルスが増えているぞ、ってニュースサイトにも上がっていただろう。もっとアンテナを高くはって、これが危ないぞ、とすぐ分かるようにならんでどうする。」
 あとでお礼を言われた。僕が「アンテナを高くはる」なんていうありふれた表現を使った理由が分かったらしい。こういう怒り方を上席の前でしておけば、上席も「添付ファイルをクリックするな、とあれほどいったろう」でなく「もっとプロとしての自覚を持って」という怒り方に変わる。不注意を怒るのではなく成長を願って怒っていることになる。本人だってその方がすなおに反省できるだろう。

 思い切り忘れていたこの事実、自分が引っかかりそうになって思い出した。メールルーターからのワーニングメッセージ、アドレスがないですよと、いうもの。あれっと思いながらダブルクリック、数秒後「こんなの書いた覚えがないぞ!」反射的に電源ブチ!
 アドレスが見つかりません、というワーニングメッセージを装って添付ファイルを開かせるという手口のウィルスが数年前にはやったんだった。

 それにしても何で開いてしまった?この手口を忘れていたからだが、タイトルも分かりにくかった。送信者「メールルーター」が日本語で、件名は英文。英文の内容がよく分からなくとも「メールルーター」のメッセージなら害はなかろう、タイトルだけでは分からないからともかく内容を読んでみよう、そう思ってしまったわけだ。
 あっちゃー、と思いつつ少し不満。メールルーターソフト、なぜ日本語化していない。いや、いいんだけどね。でもこれ社内ネットワークが出したものらしい。メールの件名を見て社内ルータの出したメッセージとすぐ分かれば、逆に外部からのエラーメッセージを装って出したメール、容易に判断がつくじゃないか。
 それはインターネットメールだからデフォルトは英語、それは分かる。でもイントラだろ。日本語で問題ないじゃないか。その証拠に送信者は「メールルーター」と日本語で記載されている。だいたいメールヘッダーに文字コードが日本語である旨書かれているのだから日本語で返せばいいという判断は可能だろう。

 と、結局ウィルスではなかったが(随分前のエラーメッセージが届いたというだけ)メールルーターのソフトのベンダーの職務怠慢に少々ぶつぶつ言いたくなった次第。
 当然、そのへんを多言語化(ないし会社ごとのメッセージカスタマイズ)している製品があれば、地味だがこういうメリットを打ち出せばいいかな、と。。。なんであの時思いつかなかったのだろう。

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