政権交代がIT産業にも徐々に影響を及ぼし始めたようだ。コンピュータネタ、目次へ
仰天したのは「パッチを当てないと一定日時経過後に停止する」という合衆国製品の仕様が実際に動作し始めたこと。今まで聞いたことがなかったぞ。
つまり、自社製品が共産圏やテロ組織に流れてもやがて使えなくなるように、というセーフティ機能が、同盟国のはずの日本にも適用され始めたということだ。
民主党政権と合衆国政権がギクシャクしているのは知っていたが、ここまで問題視されているとは知らなかった。しかし、一応彼らも日本で商売やっている以上、次の判断はされても仕方がない。「それ、コンピュータウィルスだよ。」
多分、本当のところは「保守契約を結んでくれないところに対するいやがらせ」だと思うんだが、そうであっても潜伏機能を持った悪意のあるプログラムなのでやっぱりコンピュータウィルスと判断されることになる。
というわけで、相手が犯罪をやっている以上、守秘義務に囚われることはない。
が、ここで会社名や製品名を書くと、商標権を矛に訴えられるかもしれないのでさすがにカット。国際事務機の弁護士は優秀だからなあ。(と分かる人には分かるように書きながら訴訟主体の体力で、公平性がゆがめられることをさりげなくアピールし、伏線とする。)労働者の保護強化も飛び火している。偽装請負と判断されることが増えるんではないか、という懸念が増殖しているらしい。まあ確かに従来から納品前の仕様書やプログラムのレビューに参加するのは問題があるという問題点は指摘されていたんだが。
が、これを杓子定規に適用した場合、下請法とバッティングする。納品後60日以内に代金を払わないといけない、というあれである。つまり、出来上がりがどうなっているかを納品までチェックできないというリスクが巨大化してきたということだ。
まあ、納品物が要求水準に達していなかった場合、裁判所に訴えれば済むことなんだが、相手が中小ソフトハウスだった場合、費用的にも人的にも裁判を維持できない。
裁判を使って、相手を潰すというのは合衆国ではよくあることらしいが、あくまでこちらは利害共同体として相手を見ている。(又聞きだがLotusはマクロの互換でBorlandを訴えたとき、会社ごと潰す意図だったことを認めていた。タバコの害でタバコ会社を訴える市民団体ははじめから潰すつもりで訴訟を仕掛けている。)もっとも下請法で代金支払60日以内、というのは発注者と受注者の資本金の差が大きいところに適用される規定である。そんなわけで、資本金が大きく、かつ下請けとなる外注を出すソフトウェア開発会社は、会社を「資本金が大きい会社との契約主体」「資本金が小さい会社との契約主体」の2つに分割する、ということが(ひょっとして)必要になる。
脱法行為とみなされそうだが、そうするしかないじゃないか。会社を2つに分けて、不良資産人材等を、資本金の小さい会社に集め、民主党政権がつぶれたところで、小さい会社のほうを潰し、すっきりする、という道筋を見せることが出来れば、実際にやってしまう会社があるだろうなあ。幸いなことに、この手のアイディアについて問い合わせが来たことはない。