私は自分より劣った人間を尊敬できるほど人間が出来ていないので、他人のすべきことまでやってしまう。もちろん、人の上に立つ者、自分より劣った人間を尊敬して仕事を任せなければならないのだが。実際には難しいだろう。だからといって自分ならすぐできるんだけど、忙しいからこれやってね、なんて気持ちで人が動いてくれるわけがない。よくあるのは下の人間のほうが優れている場合だが、これに気がつかないまま偉そうに指示していると組織が動くわけがない。動くかもしれないが少なくとも変化には対応できない。コンピュータネタ、目次へ春の情報処理試験ではシステム監査を受けるつもりでいるので、練習も兼ねてコンピュータへの登録内容を確認していたときのこと(自社開発ではなく、ポピュラーなパッケージで、当社にも導入されていることはそこのホームページに行けば分かるのでここに具体的システム名を書いてもいいが、この程度のことでややこしくなるのは嫌なので具体名までは出さない)。
けったいな字を見つけた。人名漢字である。JISに入ってないので、コンピュータでは表示できない。厳密に言うと、データの登録ミスである。杓子定規に指摘事項1件!
調べてみると、きわめて珍しい苗字らしく、電子電話帳で1件しかない。この漢字を使った苗字は、15くらいあるが、1つを除いていずれも1軒づつである。家族として続いてきたにしては少なすぎる。徴兵逃れのために戸籍の漢字に点を入れて変造した奴らが何人かいたな。
まあ、僕も本人の手書きの紙がなければ見落としただろうが、、、どうしよう。指摘するだけが能ではない。指摘しても直しようのないものをどうするかも意見交換会の機能である、とシステム監査の教科書にも書いてある。しかし指摘しないためには、根拠が必要だ。
仕方ない、いいじゃん、という声が聞こえてきそうだが、もしここで、このシステムのマニュアルに「人名外字の場合は、サーバー側で一括して登録しますので、個別に連絡下さい」の指示があればどうする。指示に従っていない、ならば監査指摘とするのが妥当だ。人名外字のフォント、決して珍しいものではない。年賀状ソフトのオプションで売っていたりする。住基ネット、の登録ガイドラインあたりがあれば、無い字はしゃーない、書いてそうだ。あればその方針に従いました、と理由付けが出来る。が、ないんだな。フォントまで作った住基ネットプロジェクトなんだから、もっと情報開示しろ。
適当なところで調査を切り上げて主管部署に問い合わせて「問い合わせ中、あとよろしく」で明確に責任逃れするのが楽なんだが、監査担当がそれをやるわけには行かない。「JISに無い漢字をどうするかについて、例がない」が分かれば、そこから先は自分でやらないと。主管部に連絡しても何らかの根拠を探し回るとは思っていない。
で、援用できそうなもの、見つけました。平成17年の総務省資料「電子自治体に関する総務省の施策展開」にある
《はい。これを参考にしました。当該システムが他のシステムと連携する必要があることを確認し、あり、と判断されたのでJISだけを使用せざるを得ないと判断しました。というわけで、厳密には登録間違いだがやむをえないと公明正大に主張。》
- XMLタグ設計ルール(概要)
- ○人名及び地名用漢字の扱い
- 情報交換用の符号化文字としては、JIS X 0213:2004の範囲の漢字だけを使用することを原則とする。
- ただし、JIS X0213:2004で包摂される字体や字形の区別が必要な場合は、XMLの要素 を用いて情報を付加する。
よろしいですね、社会のゆがみはいいわけを求める(after星新一)。あーめんどくさ。これが「保存期間を定めていない帳票」なら、該当する商取引の時効+1年程度を目安に考えました、と胸張って言い張れるんだろうけどね。
この言い逃れ方、主管の人に教えたほうがいいかなあ。。。総務省資料といういいわけ根拠、これが公式なイイワケ根拠になるといいわけが社内文化になってしまいそうでそれが心配。どこがまずいかというと、この業界、オフショア開発で中国の方にどんどん仕事を任すようになる。少なくともブリッジSEは登録しないと・・・ということになりそう。すると人名漢字を登録できないのが当たり前になる。ならば、やっぱりその時どうすればよいか、いつまでも「珍姓」対象のイイワケでは通用しなくなるだろうな、ということ。
これがJISコードに代わってUNICODEが普及するきっかけになるかもしれん。UNICODEを使えば中国人名を当たり前に登録できるからね。以上、少々分かりにくいが、それは社内の手続に関するかもしれない部分をカットしたから。ついでにその珍姓も。「人名外字登録ができなくて、イイワケを考えました」なら一般論だが、手続きに従って、などといえば内部情報が絡むと言われかねない。また、珍姓なので氏名がそろわなくても個人が特定できる可能性がある。
好き勝手書きまくっているように見えて、止めるべきところは押さえているつもりだ。