創業者が今でも原発推進者の会社が作った節電法

 マイクロソフトが環境になって、命に別状のないところにだけなら使えなくはない、という合意が出来てから、特にあーだこーだと文句を言う奴は少なくなった。
 やはりビル・ゲイツは噛み付くだけの価値がある大物だったということもあるだろう。今のマイクロソフトにそれだけの奴はいない。ところでビル・ゲイツは原子力発電にも熱心で福島以後も「次のバージョンの原子炉(TWRというらしい)は凄い」と言っているらしい。どこかで聞いたような言い回しだ。この調子だと死の灰(原子力発電で必ず出る放射性廃棄物)の処理はメーカーの責任(電卓の調子が悪かったらソフトを書いたところではなくて電卓のメーカーに言うでしょ)と気にも留めないことだろう。

 というわけで、マイクロソフトは引き続き電気をバカ食いしてくれるよう重いOSを作り続けるのだろうが、なぜか「Windows PC 節電策」なんてものを出してきた。批判をかわす意味もあろうが、すこしは奴らも社会貢献活動をするつもりになったのだろうか。読んでみると期待は期待通り裏切られた。ようするに「Windows7に乗り換えましょう」ということが言いたいらしい。

Windows PC 消費電力検証結果レポート」のほうを読むと、一応「検証用 Windows PC 仕様」として、
Windows7は2010年モデル。
WindowsVistaは2008年モデル。
WindowsXPは2006年モデル。
をあげている。

で、検証結果の第1番目は、消費電力基本情報: アイドル時の消費電力 で、
OS消費電力(W)
WindowsXP Desktop102
WindowsVista Desktop80
Windows7 Desktop52
WindowsXP Note36
WindowsVista Note31
Windows7 Note16
おお、Windows7は低消費電力ということになっている。これだけ見たらこれを機会にWindows7に乗り換えようかなという気になる。

 しかしだなあ。アイドル時というのは「何もしてないとき」つまり電源が入っているだけのときなのだな。つまり「ハードウェアの素の状態」なのだ。(ついでに言うと、スクリーンセーバーの動作時、をレポートしてくれているところで分かるが、画面描画の負荷はゼロ。バックライトもつけてない。)
 つまりこれは単純に「ハードウェアの消費電力の差」を表しているわけだ。
 したがって、この上でOS上の消費電力の差、を測っても有意な結果を得られるわけではない。だいたい、「シャットダウン/再起動を行う間隔が1時間45分以下なら、スリープ(スタンバイ)の方が節電になる」とか「輝度を下げると節電になる」という結果のためであれば、OSを換えて実験する必要は無い。

 というわけで、マイクロソフトのレポートは
ハードウェアの発達による節電効果にOSのラベルを貼って、最新OSの方が節電になります、という印象を与えようとしたものになっている、わけだ。
 それにしてもハードウェアの省エネ性能は高まったんだなあ。ちょっと感心した。

 ただねー、納得できることが一つだけ。Windows Vistaって、本当に重かったんだね。
 実はね。Vistaの実験プラットフォームとして使ったNoteと7のNoteのCPU。最大消費電力は35Wで変わらないんだ。。。ひょっとしてバックライトが光電管かLEDかの違いで、この差を出してるんですか?

 こういう会社であるマイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツは相変わらず「福島以後もやはり原子力はキロワット時あたり死傷率で石炭より安全」と主張しているらしい。
 まあ、発電所内の死傷率だけを比べればその通りかもしれないね。私だって悪魔の計算は得意だ。石炭火力のすすで咳き込む人も、被爆で死ぬ人も「死傷率」の分子としては同じ1人ってことでどうかな。

 核分裂の生成物(放射性セシウムとか)つまり死の灰は処理方法がない、のだから核燃料ライフサイクルを考えると果てしなくリスクが高いのだがなあ。何万年って期間になるんだから、掛け算するとすごいぞぉ。原発推進派は、この問題を最初はどうやって解決できると思っていたのか是非教えて欲しい。皮肉じゃなくて本当に知りたいのだ。ぼんやりとでも解決策が想定されていたのなら聞いてみたい。「死の灰は数十年にわたって熱を出す。高い温度ではないが、低温でも発電する技術が出来れば無害になるまで保管するあいだに取り出せるエネルギーが利用できるから捨てなくても済む」くらいしか僕には考え付かない。なんだ、小学校5年生から進歩してないや。

 あ、そーそ。愚痴聞いて。
 猪苗代湖に旅行に行こうとしたら家族会議で却下されたんだ。残念だ。これで一生行けないかもしれない。嫌なことを考えているんだわ。日本は高濃度の汚染水を海に捨てた。領海は内水面と主張して、他国に十分な事前連絡もせずにね。
 やがて他国の海岸に希釈されたとはいえ汚染水が到達したとき、賠償問題とか出てくる可能性がある。より具体的には水揚げした魚で生体濃縮されていたらどうする。買い取らなきゃいけないんだよ(核汚染された魚だからね引き取らなきゃ駄目)。どう処理する。どう責任を果たす?そうなると、けじめとして高濃度汚染水を本当に「内水面に」捨てなければならなくなる。さあ、どこになるか、ということ。

コンピュータネタ、目次
ホーム