突っ込みどころはいろいろあるのだ。コンピュータネタ、目次へ
香港とシンガポールにデータセンターが集中しつつあるという話。
サブタイトルが「アジアのクラウドの中心地はシンガポールと香港」なんてね。
クラウドは分散しての処理を指しているのに物理的に集中させてどうするんだ。IT投資というものを無意識的にデータセンター建設に限って見ているのは視野狭窄ではないか、とか。だいたい地価の高い都市国家にデータセンターを作るのはどうだろうか、など。が、不景気の今だからこそ前向きに捉えよう。
この2つの都市国家ともネックになるのは土地代というより「電力」じゃなかろうか。
データセンターに必要な巨大な電力をどうやってこの都市国家が確保するのか?である。
ここで両者とも青くなる。特に香港が問題。ラマ島の火力発電所を増強して、という計画であろうが、やはり危うい。Googleさえ無視した中国の機嫌を損ねると「電力停止」となるリスクがある。こんなところにデータセンターを作るという発想はそもそもおかしい。
シンガポールは発電を国内でまかなっており、政治的にも安定しているのでそこまでのリスクはないが、厳しいことは厳しい。何とかできまいか?マラッカ海峡の潮流でも利用して発電するかねぇ。できなくはなさそうだ。ただしエネルギーが低密度で、発電量が上下するという自然エネルギーの宿命がある。24時間、安定的なサービスを必要とするクラウドサービスには向かないだろう。
が、データセンター向けと割り切れば、できるかも。
つまり連続稼動を宿命とするデータセンターは、他の設備に比べ停電への対応力が大きい。蓄電池もあるし、CVCFもある。場合によっては自家発電装置も備えている。これをはじめから当て込んでしまえば、不安定な電力供給であっても「データセンター向けであれば使える」といえるのである。
幸か不幸かシンガポールは電力が自由化されている。ならばデータセンター進出企業と電力会社が連携して、まあ政府支援も要るだろうが、自然エネルギー活用の大規模な取り組み、ってのができる。
たしかに某北欧の一部で100%自然エネルギーというのを宣伝しているが、蓄電池や電力の一時的な移入という形で周囲に負担をかけていることは小学生でも理解できる程度に無理がある。データセンター群では、確かに100%自然エネルギーは無理だが、参加するコミュニティの間で需給が完結するわけだ。このほうが現実的であり、参考にすべきことも多いだろう。つまり他にも通用するノウハウが取得できるわけだ。
データセンター進出企業、シンガポールとも悪い話ではない。コストはかかるが宣伝にはなる。少なくとも自動車のバッテリーを家庭内の蓄電装置として利用しようという程度には現実的だと思うがいかがだろう。問題は、シンガポールが赤道直下の熱帯ということだ。冷房用の電力がひじょーにかかる。Googleはその辺を考慮して冷涼な土地にデータセンターを作った。シンガポールは、香港もだが、不利、というかなんでそんなところにつくるの?気は確かか?のレベルである。
客観的に、アジア地域では北海道が一番適していると思うんだけどなあ。
多少はエコなことも考えよう。「地熱発電」でも利用しますか?・・・キツイなあ、Googleのデータセンターの電力消費量を賄なおうとすれば北海道電力森発電所が5ついる。
しかし、データセンター誘致の巻き返しを図るには、エコという看板は有効だと思うがどうだろう。これでも日本のことを考えてはいるのだ。