新技術を使うことが目的のアイディア

 みなさん一般に新技術に対して楽観的である。
「Googleがやっているんだから、自分たちでもできるよ」
と素直に思っているようだ。
 自分たちが直接はできなくても、社内にはそういう部署もあるし、いざとなればお金を出せばノウハウを持った会社が作ってくれるから大丈夫だよ。自分たちはアイディアを出すのが大事、なんだそうな。

 Windowsで画面が文字化けしたら、フォントキャッシュをクリアすればいいんだよ。
 なんて言い方はある。今は出来ないとしても検索すればやりかたはすぐわかる。
 それと同じような感覚で
「○○したければAI使えばいいんだよ」
と思っているのかもしれない。この場合はWebで「フォントキャッシュのクリア」を検索する代わりに「Webでクラウドを使う」ことができれば解決策は現れると思っているのかな?

 自然言語処理をしてQ&AをAIに学ばせて、サポートセンターの業務を自動化したい(ようするにAIによるチャットポットですな)、なんて人がいたらこんなことを言ってあげるのも先達の務めだろう。
「その前にITパスポート試験の問題読み込ませて、回答出すものつくれない?」

 「欧米では進んでいてこんなこともはじまっている」という言説に引きずられて肥大化した最新技術に対するイメージはここで急に具体化する。「ITパスポートのテキスト読ませて形態素分析したものをデータベースに読み込ませておいて、それに対して問題文と選択肢を与えると問題文のキーワードと多く一致している部分を探して・・・」うん。考えている考えている。「ん、それはいいんだけど正しいものを選択せよと間違っているものを選択せよの違い、どこで判断する?」
 範囲は本一冊程度。回答は選択式。サポートセンター業務に比してアホみたいに楽である。楽なはずである。しかしながら自力ではそれさえも作れないどころか、どういうシステムを構築してやればいいかすら想像がつかないことに思い至る。
「かなり人の手を介さないといけませんね」
こう反応する奴は比較的マシと言わざるを得ない。「ITパスポート試験」と聞いたところで、システムが何をしなければならないか具体的にイメージできたということだから。

 彼が次に出すアイディアはスケールが小さく見えるかもしれないが、きっと多少なりとも独創的なものになってくれているに違いない。

 新技術を使う効果について考え直す万能のフレーズがある
「それを作るのに〇〇を使った場合と使わない場合、どういう違いがあるのですか?」
 私が最初に聞いたのは〇〇に「SIS」が入る場合であるが、別にブロックチェーンでも構わない。え?セキュリティが高まる?ブロックチェーンって誰がどうしたか丸わかりでしょ。プライバシーがないのにセキュリティが高いの???

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