医療従事者に拍手をする運動。コンピュータネタ、目次へ
私に限って言うと応援はするが、幸い、感謝をする必要はない。自分も家族も親戚も知人も、皆元気である。
もっと言うと感謝をしなければならない相手は、別にいないかい、と思っているのだ。
言うまでもなくインターネットのサーバー管理者である。世間ではみなさん、当たり前のように
「ネットを通した在宅勤務」「ネットを通したリモート授業」「ネットを通したオンライン飲み会」「ネットショッピング」
で、この自粛期間を過ごしているが、そのネットを維持するために無理している人がいるのだよ。ただでさえ過労死寸前といわれているのに、コロナ以後想定していた何倍ものデータ量が飛んでいる(はずである)。これを何事もないかのように通さねばならない。
そもそもインターネットというのは、分かりやすく昔の電子メールの仕組みで説明すると「あて先は分かるんだけど、どう送ったらいいかわからないからよろしく」と見ず知らずの人の手紙が自分のポストに入っていたら、「ついでに送っておいてやるか」という隣人愛、いや人類愛で届いていたわけであって(いつの時代の話を、といわれそうだが今でもパケット一個一個について言えば似たようなものである)、基本的にはボランティアなのだ。
Windows95が出た当時は、日本と合衆国の間には、たしか慶応大学が引いた1Mbpsの回線しかなく、そこに「インターネットで世界の情報が手に入る」と言われてその気になった人がよくわからないまま押し寄せ、研究に(研究費に)支障が出るようなことになっていたそうな。これを聞いても「でもプロバイダ(携帯電話キャリア)にちゃんとお金を払っているから」と思った人がいるかもしれないが、多分その人たちは「医療従事者もちゃんと給料もらっているから」という理由で感謝の必要を感じていないに違いない。
まずいことにここんところ「インターネットを使うマナー」というのが崩壊の一途をたどっていることがネットの負担を増やしている。回線に、回線の使用料を負担している人に、サーバーの面倒を見ている人に、余計な負荷をかけないようにと、メールの文面はできるだけ簡潔に、フッターは最大4行、チェーンメールはご法度、といったルールがあったはずなのだが、今ではツィッターを中心にチェーンメールの嵐である。「拡散希望」なんて書くやつは即座にインターネットから締め出されてもおかしくないのだぞ。実行は簡単。サーバー管理者が該当IPアドレスのルーティングを止めればよいのだ。その程度の自衛策すらとらずにサーバーが止まらないようにメンテしている人って感謝してもし足りないと思いません?キャパシティぎりぎりで動かしているサーバーをサイバー攻撃から守るだけでも大変だというのが想像できないかな。というわけで「サーバー管理者に感謝の意を」という運動をしましょう。
ただし拍手してもらっても、本人はサーバールームの中だし、ブルーインパルスを見上げるような余裕はない。なので
「世界で時間を決めて、1日1時間、インターネットの利用を控える。」
すごく仕事がやりやすくなるに違いありません。ほんと。その間OSから止めていいってことだから。(ルートDNSサーバは動いていてもテーブル更新を止めるのよ。)少なくとも、ネットを当たり前のように使うのではなく、感謝しながら使うという気持ちは、皆に持ってほしいなあ、と思うのでありました。