王様に恩返し(日本語直訳ロックの集い)

 学園祭でギターを抱えたことがある程度に目立つのが好きなら、誰もが一度くらいは受け狙いでやったことはあるだろう、英語圏のロックを日本語に訳して歌うという奴。一躍メジャーにしたのは数年前ちょこっと流行った「王様」であった。
 この人どこが凄いかというと、照れもせず堂々と一生懸命歌っているという真摯な態度、そしてツボを心得た日本語訳である。

 只の直訳がギャグになるポイントを心得ているわけだ。というか王様を聞くまでそういうポイントがあるということすら当方は気がつかなかった。Rock'n'Rollを「ユラユラグルグル」と訳すあのセンスは並ぶものがあるまい。
 当方も影響されていろいろと訳してみた。中学校の時とかちょこっとやっていたので比較的入りやすい。こういうとき"Oh yeah,why do you make me blue?"を「なぜ、君は冷たいの?」と訳してはいけない。「なぜ、僕を青くする」と訳さなくては笑いがとれない。

 王様のロック=スピリッツもなかなかいいぞお。出世作「深紫伝説」のイントロはアルバム「24カラット」でしか聞けないSpeed Kingのオルガンソロ。パープルフリークの泣き所を押さえている。最初のCD(だよね)唯一のオリジナル曲「王様の恩返し」(ZEPのパクリというのはおいといて)も共感するものがあった。

 しかし、苦言。続いて出たCD「王様の宝箱」はいただけない。「深紫伝説」のレベルが維持できないのは仕方がない。ライナーノーツにいろいろ書いているのが嫌なのだ。グランドファンクレイルロードへの思い入れは分かる。まじめに書いているのも分かる。でも文字で書いたのが良くない。文章では伝えられない気持ちだから、あなた歌っているんでしょう。
 しかも、自覚しているはずだけど純粋に音楽として聞いた場合、水準に達していない。
 例えばレノンのimagine日本語訳を忌野清志朗の直後に歌えますか?できないから笑いをとっているんでしょ。(清志朗にはブームタウンラッツのSomeone's looking at youを日本語で歌ってもらいたい。「だれかがきみをみてる、いつでもきみをみてる。みてるんだ、いつだってさ」声の質がピッタリ。)
 そうそう、ライブで「深紫伝説」をするとき、どうしてイントロに「高速道路の星と呼ばれる曲」とかぶせない。
 Jumping Jack Flashを「飛んでるジャックの稲妻」と訳すのも笑いとしては正解かもしれないが、私としては「一九が枕のホンイツ、イッツー、はったり・はったり・はったり」としたいなあ。(Junping Jack FlashはポーカーでJackの飛んだフラッシュ。いかにもロイヤルストレートフラッシュっぽいのではったりの代名詞なのではと想像している。これを麻雀に訳すと。。。)

 気持ちは良く分かるんだわ、でもね「王様の恩返し」で「とっても遠くへ飛んだ、おいらの鉛の飛行船。ビューン」と歌ったので充分です。ライナーノーツで発言なんかしなくていいんです。
 下手だし、ルックスも悪いから、だから変な衣装を着て笑いをとりながら歌う、そうまでしてでもロックが歌いたい。その気持ちは痛いほど良く分かる。そのスピリットの熱さが、私はたまらなく好きだ。
 だから演奏家/声楽家としては一流とは言い難いけど、あんたミュージシャンとしてはかなりのものです。売れたCDの枚数に見合うだけのものはちゃんと持っている。

 王様がテレビでLet it beを日本語で歌っていた。「なすがままに、あるがままに」と訳していた。なるほど「Beatlesで英語を学ぼう」という本を読んで勉強したのね。そういう意味で私の同窓生だ。私も"Help! I need somebody."を「助けて!誰か来てくれ」と歌う。でも私偉そうに書いてますが、ギター、弾けなくはないけど下手です。(昔、道具を選びまくってHighway Starのソロが何とかなった程度。)


 Hewlett Packerdの2001年カレンダーは"Mother Nature"というタイトルである。Beatlesフリークの私は「"Mother natures sun"(Beatlesの曲名)だったら飾るのに」と思っていた。でも考えたら"SUN"なんて、絶対書けないわよね。HPとしては。かくして、当方はこのカレンダーを採用することとした。
 ちなみに「SUN」は"Stanford University Network"の略だと思っているが、ホントなのだろうか。

 以下、分かる人には分かるもの。王様の二番煎じ「女王様」は自分を笑いものにしてでも笑いをとろうという真剣な態度に欠けている。ボヘミアン=ラプソディー、下手じゃないんだが、笑いをとろうとして笑いをとっているところがイマイチだ。仏教に訳すというアイディアは秀逸だからそこは素直にパクらせていただいて。
 かあさん、人を殺したよ。彼の頭に銃当てて、引き金引いたら彼死んだ。
から初めて、だんだん追いつめられながら、死刑を避けたい必死の形相。
影がトコトコ来るのが見える
アーメン・ソーメン踊ろじゃないか
雷ゴロゴロ、僕とっても怖いな
親鸞、親鸞、親鸞、日蓮、最澄

僕は貧乏、誰も愛してくれない
彼は貧乏、貧乏な家に生まれた。何とかお慈悲を閻魔様

簡単に行く簡単に来る簡単に行かせて
なんまんだぶ、おー僕を行かせないで、彼を行かせて!
なんまんだぶ、僕を行かせないで、彼を行かせて!
なんまんだぶ、僕を行かせないで、彼を行かせて!
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ
かあさんかあさん、かあさん行かせて
悪魔に魂売っても助かりたい
僕だけは、僕だけは

 最後は魂の底から歌いましょう。それができるのがロック=スピリッツです。
僕の目に唾を吐きかけーるならば
愛してると言って僕を泣かせるなら
おー、あかちゃん
そんなことしないであかちゃん
出てってくれ、出てってくれ、すぐにここから
 自分ではいい出来と思っている。最後の符割はやたら合っているのだが。
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