ヒラリーさん、あんまりです

 ヒラリー=ハーンが弾くブラームスバイオリン協奏曲は好きだし、先日の来日公演ではベートーベンのバイオリン協奏曲のソリストとして登場したとき冒頭のオケの部分をさりげなく弾いていた(らしい)というのもお洒落でいい。が、あまりではないでしょうか。パガニーニのバイオリン協奏曲1番の新譜。
 この曲だけは「弾けないなら弾くな!」という批判はできないもののようです。第3楽章最後、11連符に続くバイオリンの最高音cis5のクライマックス。その後のハーモニクス連続、全てを出したのを聞いたことはありません。アッカルドが一番マシかな。11連符を間引いている(と思う)が、cis5は辛うじて出している(ようだ)。15才のMIDORIは11連符を(多分)弾いているが、cis5は擦過音のみ(ガルネリに持ち替えた後の再録音が待ち遠しい)。ヴェンゲーロフは11連符がポルタメントだし、ギトリスはcis5を省く(気迫が凄いので、これはこれで潔いと評している)。最後はハーモニクスでなく実音というのはザラ。
 正直耳がついていけないため、パソコンで演奏させそれと聞こえ方を比較しているので聞き間違いがあると思うが。でもハーンに対しては聞き間違いようがない。いくら僕でもcis5をオクターブ下げて実音で弾いているのは分かる。最後をカットして唐突に終わるのは呆然。これをパガニーニ1番と思う人がいたら困るではないか。ショパンコンクールで協奏曲1番の長い序奏を省略するのはピアニストのコンクールだからいいとしても。

 HMV初登場1位になったりしているので、このまま定盤化してしまうと困る、ということでこういう声も上げておく必要があります。だって、Webで検索してもハーンに文句言っている人いないんだもん。

 この曲、ナントカコンクールの課題曲になっていたというのを聞きましたが、ハーンですらこれだから、ごまかし方のコンクールになってしまわないのかなあ、と心配。

 パガニーニは本当に弾けていたのかなあ。カプリースを作曲/出版したが、コンサートで弾いた記録は残っていないというのを先日知って少々疑問に思っただけ。まあ半音高くチューニングしていたのでなんとかなったのかも。

 最近ヴァイオリン音楽ばかり聴いているのでピアノの平均率が耳につくようになった。といいながら二度と手に入らないと思っていたベートーベンVn協奏曲のピアノ編曲版(ベートーベン自身が編曲)のCD見つかったぞ(さすが石丸電気)。カデンツァにティンパニと絡むパターンはこの曲が初めてということだが、ここが爆笑。バイオリンとピアノのキャラクタの違いで曲がこんな風に変わるということを分かりやすく教えてくれるのもよい。第3楽章のクライマックスはベートーベンがヴァイオリンとピアノのキャラクタをどうとらえていたか、ものすごく分かりやすい。また音量の大きなピアノが相手なので、オーケストラも遠慮しないでいいためか、ベートーベンの管弦楽が実にしっかりしているというが明白になる。ピアノオブリガード付き交響曲として聞くとこの曲の別の魅力が分かっていいです。キワモノだけど、十分楽しめます。

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