プリアンプの代わりは何にしよう

 以前、ステレオアンプのプリ部分が壊れてしまったことを書いた。幸い、プリアウト/メインインの端子があるので、メインインにiPodを直接つないで使っていたが不便は不便である。
 そうこうしているうちに、隣からピアノがうるさいと苦情がきて、ピアノに消音装置をつける羽目になった。要するにタッチはアップライトだが、音は電子ピアノになったわけである。(レバーで切り替えればアコースティックの音も出せるが。)
 ただしこの消音装置、ヘッドフォンは付属しているが、スピーカーはついていない。当然、じゃあステレオにつなげないか、ということになる。ケーブルをつなぎ変えれば可能だがそれではいかにも大変である。少なくとも子どもの手には負えない。プリアンプの購入も頭をよぎったが、騒音に苦情がきている状態で十数万も出す気にはとてもならない。  かといってセレクタ+アッテネータにお金を出すのもばからしい。プリアンプを買ったときゴミになる。プリアンプを買った後でも何かに流用できることも考えに入れると、マイクをつないでの録音ができるミキサーか、パソコン用のオーディオインターフェースでセレクタ&ボリューム調整ができるものがいいかな、ということになる。で、結局安いミキサーを買うことにした。

 いろいろ調べてTAPCOのBlend6とかいうのがコストパフォーマンスが高そうだと感じる。送料込みで1万円ちょっと。ただしケーブルを買いそろえると結構高くついた。今まで持っているRCAピンプラグが使えないというのは痛い。
 びくびくしながら音出し。びくびくしてよかったです。ミキサーと信号をやりとりする楽器というか、プロ用機器というかは信号レベルが民生用オーディオ機器に比べてものすごく低いのね。わずかでもボリュームを上げるとものすごい音量になる。で、やっぱり安物。ボリュームを絞りきっても音量はゼロにならない。そんな安いボリュームを絞って使うことになるので、リニアリティの悪いところで聞いていることになり、左右のバランスもなんか変。温室も期待できそうもない。

 まあ、切り替えがしやすいようにピアノの音は、CD入力(このミキサーをライブのPAとして使うとき、休憩時間にCDを流せるように、こういう端子がついている)につなぎ、ピアノの音を出したくなったときの操作が切り替えボタンとメインボリュームだけで済むように設定。ニョーボ子どもはこれで満足。(電源はアンプのサービスコンセントからとったのでアンプのスイッチと連動。)

 さて本物のCDプレーヤーをどこの入力につなごうか、とまずは普通入力端子(ステレオ)につなぐ。チャンネルのボリューム/メインボリュームとも思い切り絞ることになる。どうも音がカサカサしてよろしくない。ふと思いついてマイク入力に左右のチャンネルをそれぞれつなぐ。で、マイク入力についているアッテネーターで絞る。このミキサー、マイクアンプの質が売り物だから何とかなるだろう。パンは左右に振り分けるが、ゼロにならないボリューム。チャンネルセパレーションは多少犠牲になる。
 ようやく音らしい音になってきた。中音は悪くない。音場もそれほど壊れない。リッチの身長が割と高いことくらいはわかる。

 というわけで落ち着いたのだが、その、ステレオから離れて聞くといまいちなのがわかります。全然うるさくない。うるさくない、というと変な付帯音がない、ということもあるんだろうが、どっちかというと「ピーク音が丸まっている」。以前だと、スピーカーから離れて、別の部屋に行ってもあまり聴感上の音量が変わらなかったのだ。今回は隣の部屋にゆくと感じられる音量がぐっと下がる。
 うーん、よいバイオリンは遠くでもよく聞こえる、というがそれに通ずるものがあるのかなあ。つまり音の立ち上がりがよく、噪音がはっきりしている。とか。
 しかしこれでも同じ部屋で聞く限り、音の立ち上がりもよいように聞こえる。不思議なものだ。

 音を聞いているうちに思い出したのが、十数年前、友達のためにロック用のスピーカーを設計したときのこと。あれとつなぐと悪くないんじゃ無かろうか。あれの音はロックを聴く限り最高であった。ユニットはテクニクスの10センチフルレンジ10F100が2発。ツイーターに同じくテクニクスの5HH10。10F100は並列接続で見かけの能率3dBアップ。これでツィーターをアッテネーターなしで使える。といいながらフルレンジは両側面につける、これでライブ感を増し、スピーカーにかかる反作用を相殺してパンチのある音を聞かせる。低音は欲張らずバスレフのチューニングを110Hzにとどめる。いかにも長岡鉄夫的発想。
 案の定これが大成功。10F100のエッジとコーンの硬さが効くのか、さほどの音量を出していないにも関わらずバスレフダクトからの風はライターの炎を吹き消すほど。ポール=マッカートニーのライブにジャストフィット。設計図が残ってないのが残念だわい。ちなみに910×910の合板で2台作れました。つまり、小さい。

 うーん、もう1回作って、ミキサーをプリアンプに、メインアンプはPA用の小型を使って・・・と妄想がわいた。ロックしか聞かないと割り切ればコストパフォーマンスは滅茶苦茶いいんじゃなかろうか。(ただし10F100は生産完了らしい。)
 音は広がると同時に飛び出してもくるので、ホームシアター用にもいいんじゃなかろうか。昔と違って今ではTVも大画面化が進んでいる。我が家でさえ32型液晶である。
 それ用に設計し直すとすると、ダブルバスレフで低音を50Hzまで伸ばして、全体ではトールボーイにして高さをそろえてテレビの両側に置くかな。ブラウン管の時代はスピーカーの磁気が色むらを起こしたので使えるユニットが限られていたが、今なら使えるユニットが増えている(入手可能なユニットが減っているが)。内向きのフルレンジから放射される音がテレビ本体とぶつからないようにセッティングは考えないといけないな。ユニットは前後でもいいかな。スピーカーユニットの対向配置にはこだわるのだ。同じユニットで仮想コアキシャル(上からフルレンジ+ツィーター+フルレンジ)にしたところパンチの効きがずいぶんと減退したのだ。

 まあ、今のTV用スピーカーは作ってから15年たっているのでP-610のコーンが相当へたっているのだ。音質は相当落ちている。(どこかでコーン紙の張り替えやってくれるところありませんか?)作り替えたくなるときはあるのだ。もっとも独身の時のニョーボへのプレゼント。自分のオーディオ趣味を認めさせるため、なんだが、それを承知でニョーボ嬉しかったのをいまでも覚えているらしくて、廃棄には応じないという特殊事情がある。

 ミキサーを買うとき選択肢から落としたUSBオーディオユニット、オンキョーのSE-U55SXという選択肢があった。セレクタとして使うには、入力端子が足りないが、CDプレーヤーとデジタルでつなげば良かったのだ。すると「ドライブ/DAコンバータ、セパレート型CDプレーヤー」ということになる。音はともかく、気分は多少良くなりそうだ。オンキョーは昔使っていたので悪い印象はない。でもピアノの高域が裏返ったという経験があるので・・・テンペストの第2楽章のあの音です。

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