バーチャルアイドルと共演

 テライ・ユキは見事にこけて、覚えている人すら少なくなったが、初音ミクは絶好調である。著作権に甘かったのが逆にヒットを生んでいる、のだがそのまま褒めたのでは私らしくない。かといって初音みうのほうが先だ!と主張するだけではつまらない。これでも私は初音ミクをはじめて見たときにDX−7を連想した程度は電子音楽に馴染んでいる。
 DX−7を思い出したついでに考えたこと。ムーグやアープ、ついでにローランドは1ボルト=1オクターブだけど、ヤマハとコルグは周波数と電圧が比例するんだったよな、かつヤマハは同一周波数でコルグの約4倍の電圧がかかる。CPUのクロックアップを図るときに、電圧を上げるという手があり、それは半導体は電圧を上げるほど動作限界が上がるという特性があったからだったけど、ということはヤマハのシンセは高音になるほど他社比高い電圧がかかって、つまり特性が良くなって、倍音がきれいに響くはず、それで音が良いということになり、生き残ってきているわけか、、、勝手に納得した。
 ヤマハの技術者が聞いたら喜んでくれるだろうか。僕はどのピアノでもヤマハピアノの音に変えてしまうヤマハのオーディオは嫌いだ。しかしヤマハピアノ自体は嫌いじゃないし、ヤマハのシンセも悪くないと思っている。(ただし自分が使うとすればVCOやVCA,VCFで構成されている奴のほうがわかりやすい。)

 パソコンに歌を歌わせるのはそんなに新しいことではなくて、10年以上前、秋葉原の店頭デモで聞いたことがある。曲はもちろんパフィー。選曲が良かったせいか、まるで違和感がなかった。ちなみにMacではなかった。

 当方、初音ミクをパソコンに入れる気は全くない。ただし使った場合のメリットは次の通りと認識している。
・声を録音するための設備が不要。スタジオ借りて、マイク使って吹き込んで、は少々大げさ。それにあとで手直ししたくなった時に録り直しとなる。
・女性ボーカルを自分で出すのはさすがに厳しくなってきた。(自分でも気持ち悪いのだが、30才くらいまでは聞いただけでは女性と区別が付かない声を出せた。)
・ニコニコ動画に投稿した場合、自分の声だと誰も聞いてくれないが、初音ミクの声だと聞いてもらえる可能性がある。

 逆に初音ミクを使った場合のデメリットで致命的なのは。
・「歌」の声でなく「話す」声で歌っている。従ってミキシングしてもレベルが上がらない。以前先輩の手伝いでミキサーをやったとき、子どもの声はどうしてもレベルが上がらなくて難儀した経験がある。フィーダーをいくらあげても、楽器の音に隠れるのである。初音ミクの歌を聴く限り、誰もがこれに悩んでいるはず。でもどうして誰も文句を言わない。なるほど「初音ミクの声が使えた」ということで皆さん満足しているのか。すごいな、この子。

 というわけで結論。おい、娘、歌え。一応腹式呼吸で響かせるよう教育ずみである。声域は3点ホ音まで出る(つまり夜の女王をカバー)、ルックスは・・・会社見学の際に取材陣が後を集中的にゾロゾロついて歩く程度はGOOD。(読売新聞〜東京版だが〜に写真が載っていた。)

 なんだ、これではただのステージパパではないか。別に芸能人にする気はないのでせいぜい記念のビデオを撮るくらいにしよう。うちのガキは根性がないので芸能人なんて絶対に無理なのだ。根性がなくてもネットアイドルならなれるかもしれないがな。。。でも初音ミクは根性が凄いぞ。どんな変な歌でも愚痴1つ言わず何度でも歌う。

 初音ミクで感心したことがもう1つ。3Dデータを公開したこと。だれでも初音ミクの動画が作れる。よく考えると素人にいじらせてもイメージを壊すことはない。だって彼らは初音ミクが大好きだから。大好きなキャラを自分で壊すことはないわな。なんと素晴らしいアマチュアリズム。ネギ持って踊るところまでオフィシャルに崩しておけばそれ以上他人が崩すことはない、とまで計算していたら天才だ。

 たった一つ心配なのは、その気になれば作詞作曲から演奏・ミクの踊りまで1人で作れてしまうこと。少々不健康。初音ミクをボーカルに置いた生バンドなんぞ出てくると面白いなあ。多分、ボーカルの音圧が生楽器に負けてアンサンブルで苦労するだろうが。
 でも似たような状況を克服した素晴らしいバンドがあったことを紹介して応援としたい。

 夭折したメンバーが残した未完成のデモテープ。これに残されたメンバーが伴奏と歌を重ねる。ミキシングのとき元のボーカルの音圧がどうしても上がらず苦労しのだろう。(私も元のデモテープを聴いたことがあるので分かる。)
 しかし何とか完成してプレイバック。そのときドラマーが叫んだという言葉に、心の底から共感。
「まるでビートルズじゃないか」
 曲はもちろんFree as a Bird。
 これがあるから生身のバンドっていいんだよ。

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