けいおん!の主題による奇想曲

 いつごろからか、更新のたびに扉ネタを書き換えるようになった。
 というわけで、小ネタと大ネタを分離して考えるようになったのだが、都合よく双方1つづつ思いつくわけではない。バランスが崩れると辛い。
 というわけで、小ネタをむりやり展開する。
 4行だけだと何のことやら分からんから丁度良かろう。

<原型>
「けいおん」のファン、マニア度が足りない
あのギターはレスポールデラックスである。
ピックアップのテカリで分かるだろう。
チェリーサンバーストは確かにレアだが。

<導入部>
 楽器を描くのが一番上手い漫画家はくらもちふさこと私は固く信じている。見慣れないシェープだがきっとテスコなんだろう。妙に音が出そうな雰囲気が漂っているんだな。「いつもポケットにショパン」のピアノもそうだが。
 そこまではいかないが、ちょっと惹かれる絵に出合った。本屋で平積みの「ケイオン」というマンガの表紙にレスポール。ワイドフレイムというかリボンカールのゆれがなかなか素敵である。ということは、マンガに描かれたロックスピリッツも期待できるかも。くらもちふさこの「わずか1小節のラララ」のクライマックスは今思い出しても熱くしびれる。「もし、純粋なギターの音だけに反応するとしたら・・・」

(くらもちふさこ、という漫画家とからめて幅を出した。くらもちふさこを知っている人がどれくらいいるか分からないが、どうやら絵に込められたロックスピリッツに興味があったんだな、この人は、くらいの感想は読む人に持ってもらえそうだ。
 書き出しはいつも苦労する。「マンガに描かれた楽器で」とするとどうしても「描く」という動詞が二重になって文章がくどくなるのだ。漫画家という用語を使ってすっきりとまとめることができた。くらもちふさこの絵、30年ほど見ていないのでほんとに上手かったかなと気になって本屋を4件回って単行本購入。「わずか1小節のラララ」はなかったが「わずか5センチのロック」は文庫で出ていた。記憶していたほど上手じゃない。例えば一条ゆかりのほうがよほど上手い。が、話の流れでまあ。なお「わずか1小節のラララ」で感電が防げたのは、キーボードのアース容量が大きいからではないか、と今なら思えるのですが、それは野暮。でも作者の立場に思い切り立ってのつっこみなんでいいとしてくれ。ところでレスポールは感電しません。弦にアースを繋いでいないから。)

<原型となった思いつき>
 「ケイオン」どうやらアニメになっているらしい。早速見てみる・・・よく分からんが、音楽室でお茶を飲みながらボーっとしている話なのね。ロックスピリッツを期待して見た私が馬鹿みたいではないか。マトモに楽器弾いているのは主題歌だけか。
 ここで腹いせに、レスポールがあんなに軽く振り回せるか!と文句を入れるのが普通なんだろうが、もうひとりの女の子がフェンダー、ムスタングという小さく軽く扱いやすいギターを持っているところで「やっぱしなんか考えているんだろう」。たしかにレスポールはそれなりに描いているしな、とまあまあ評価。しかし、ピックアップが光ったときに「あれ、これレスポール=スタンダードじゃないぞ」。
 どのファンサイトを見ても「レスポールスタンダード」と書いている。wikipediaもそう。公式サイトの写真を見てもそう。しかしピックアップが小さい、エスカッションが細い。そこまで描きこむわけがないかな?そうかもね。でもあったぞ、このタイプのレスポール。記憶をたどり、リンクをたどり、「レスポールデラックス」。これだ。
 しかしチェリーサンバーストなんて色あったかあ?探すとあるらしい。トップがカーリーメイプルというのは存在を確認していないが、あって不思議はない。20年近く前になるが、レスポールスタンダードの新品(レギュラー)で、ワイドフレイムというのを一度だけ見たことがある。クロサワだったと思うが、店員に聞くと「僕も初めて見ました」。つまりあのギターは、チェリーサンバーストのレスポールデラックス、しかもカーリーメイプルトップという世界に何本あるか、という超激レア品ということが分かった。
 意識してるか、アニメーター。このロックスピリッツのかけらも感じられないアニメにこっそりと骨を入れようとしたか?
 あるいは、ハムバッキングピックアップが発明される以前の50年代レスポールの色を塗り替えて、ピックアップを同サイズのハムバッキングに付け替えるとこうなるかもしれん。(この時代のレスポール、金色の塗装を剥がすと見事なカーリーメイプルが現れるものが少なからずあるらしい。まあ3ピースが殆どだが。〜写真でだが一度だけリフィニッシュで2ピースを見たことある。)
 確かにリストアしたと思われるところがある。アンサイクロペディアによるとヘッドのロゴにFenderと入っているものがあるらしい。これだけ描けるアニメーターがこんな凡ミスをするわけがない。つまり何らかのメッセージを入れ込んでいるはず。少なくとも「レスポールスタンダードじゃないぞ」と主張しているわけだ。
 受け止めました、そのメッセージ。

(特に自分はマニアとは思っていないが、ロッキンfを毎号読んでいたせいか妙なことを覚えている。その辺の知識を動員。アニメーターを徹底的に信じて展開させるとつじつまが合ってしまった。喜んでくれると思いたいけど、これって嫌われるんだろうなぁ。話を合わせているうちになぜか先方が不機嫌になるということ、多かったです。なお、ペグが左右に3つづつ並んでいるフェンダーのヘッド、実在します。実家であくびをしています。)

<落ち>
 このかったるいアニメに触発されて、真剣にWebを検索し始めた父親に5歳の娘はあきれてるんだろうな、多分。が、ちゃんとフォローしてくれた。She knows what she should do。「パパとあの子どっちがギター上手?」「似たようなもんだ。」
 でも、音は僕のほうがいいよ。いいギター使っているからね。それと自分が出した音を自分が最初に聞いているからね。自分の音をきちんと聴いているのが、パパとお前に共通するいいところだ。

(言いっぱなしで終わって、消化不良に陥るような文章を書いているつもりはないが、いつもどう落とすかは気にしている。今回はとてもマニアックだったので、家族の会話に場面転換をして落とすという安易な手法を使った。うちの5歳のガキは、結構気を使ってこういうときでもフォローしてくれるのだ。
 僕のほうが音がいい、というの、アニメで演奏しているギタリストが聴いても怒らないだろう。初心者の高校生が弾いているという設定だからわざと下手に弾いているだろうからね。それを感じさせる投げやりな音だ。だからといって「自分の音を聴いていない」と評されたら少々傷ついてほしいなあ。
 うちのガキは、パパのストラトを狙っている。もっとも女の子が最初に弾く楽器を選べといわれたら、僕もムスタングにするかもしれない。チャーじゃないが小柄でも弾きやすい。最初のギターだからそれなりのものを選ばないといけないというのもある。フェンダー・ジャパンならまあよかろう。
 つっこみで落ちをつけるというパターンなら「海岸で合宿なんかするな!パーツが錆びる。三重大学のけいおん部が苦労しているのを知らないのか!」となる。潮風にさらされた楽器はあとで丁寧にぬぐわないとボロボロになる。三重大学は海岸にあるので学祭の後は大変らしい。山村ぁ、元気かあ。)
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