「好み」の問題

 ハルヒモドキ「あんなこと言ってくる人がいるなんて想像しなかったでしょう。」
 「うん。ちょっと反省した。」

 ということで普段お話しないような人とお話しするのはそれなりに勉強になる。これで相手から学べればいいのだが、大体の場合、自分から学ぶことになる。でも、曖昧な問いかけが自分から何かを引っ張り出すのを見るのは嫌いではない。他人が聞くとうざったくなる感想だろうが仕方ない。

 ものすごい疑問を出した人がいた。「音のよいエレキギターはなあに?」
 そんなもん、人それぞれじゃないか。自分の耳で聞けよ。まあ、初心者用1万円のギターでないことは確かだが。ストラトがいいと言う人もいるし、レスポールがいいという人もいる。好意的に考えると「弾きやすさやルックスは別として、音がいいことだけを取り上げると何なの」という疑問かもしれない。すると答えは、オリジナルのスタインバーガー、なんてのになる。ネックとボディはグラファイト、ピックアップはプリアンプ内蔵。設計者の父親はノーベル化学賞をもらったそうだし、特性的には一番綺麗であろう。

 が、これで終わらないのが当方。ちょっと考え直してみる。構造がシンプルなバイオリンであれば「ガルネリ・デル・ジェス」か「ストラディバリウス」と答えれば誰一人疑問を挟まない。ギターはギターでもクラシックギターなら「ホセ・ラミレス」と言っとけば文句はないよなあ。
 ということは、音が「いい」というのは美意識の問題ではあるけれど、何か基準になるものを定められるんじゃなかろうか、という気になった。

 そこで、ひらめいたのが「美人」からの類推。話によると数多くの女性の顔を平均化してゆくと、それはそれは美人になるらしい。すると(楽器といえないような安物は除くとして)ギターの音を平均化してゆくと、これが万人に通用する「いい音」になるんじゃなかろうか。と仮説を立てた。残念ながら異なる音を平均化する技法は(多分)確立していない。楽音だけなら何とかなるかもしれないが、躁音が入るとね。でも多分、PRSの音に近くなることは想像できる。

 というわけで「PRS」と答えておけばよさそうだ。あえて誰も異議を唱えないだろう。確かに音、いいしね。ルックスも「美しい」し、弾きやすいし。まさに万能、値段を除いて万人向け。
 が、更に「待てよ」という自分がいたりしたのでした。後付の表現ですが、まあ言ってみれば「平均化して美人になるのは生きている人間の場合。電気楽器に当てはめていいのか?」

 で、世の中には萌えアニメのキャラの顔を合成して平均化した奴がいるのですな。電気楽器の場合はアニメの顔のほうが推量対象として適当かもしれない。
 結論は、、、これを見てくれ。確かに可愛くなるんだが。

 やっぱりメインキャラになるには、何かしら立ったところがないと、なのです。確かにPRSって長所ばっかりのギターなんですが、逆に(杢目を除いて)個性が無いので、いまひとつ魅力的に聞こえないのですな。それはサンタナが弾けばGood!なんですが。あくまでサンタナがいいのであって「これがPRSの音の魅力だよな」という感じにはならない。

 というわけで、結論は[自分の耳で聞いて決めろ」という、考察以前と変わらない結果になりました。
 でもちょっとだけ進化している。「いい音を出すギターというのはあります。が、それに加えて何が欲しいのかをはっきりさせること。それにあったものを探しましょう。」
 例えば、Zepの天国への階段。これはテレキャスターで弾きだした名演だけど、ギターソロ最後の1小節だけは(多分)レスポールを重ねています。あの音が欲しいとなるとレスポールしかないかもしれない。あそこまでハイフレットになるとレスポールは音の鋭さでテレキャスを超えちゃうんですよね。そこがレスポールの使いにくいところであり、個性であり、立ったところ。で、私は大好き。

 以上、「良さ」と「好み」、実に曖昧なものから区別を引っ張り出す思考の例でした。

音楽ネタ、目次
ホーム