当方の入学した小学校は、いちねんせいで作曲必須だった。音楽ネタ、目次へ
結構反発。毎日毎日新しい曲が作れるわけがないじゃないか。今考えると、オリジナリティなんてのはどうでもよく、きちんと楽譜が書けるように訓練する、というのが意図だったようだ。というわけで、確かに二部形式というのを教えられて、16小節にまとまるようにというのが課題だった。
というわけで、われわれは「無難」な曲を書くのがとても得意になった。「形式」を活用すると容易に無難な曲が書ける。バンドなんかを組んでいると、そのうちオリジナル曲なんてのをやりたくなる。というわけで作曲は僕の担当だった。といっても公式に歌ったのは一曲もない。歌詞を渡されて作るので、符割が実にやりにくい、当然形式にはまるわけがない。
なに?ロックは自由だ、形式なんてない!だって?そんなことはない。自由ではあるが基になる形式はある。基本は「ブルース形式」である。
簡単に説明すると12小節でパターンになっていて、4小節が3段。
各4小節の前半2小節が歌で、後半2小節が合いの手。(合いの手は3段とも共通)
同じ歌詞を1段目と2段目は繰り返します。ただし、1回目と2回目は多少感情の変化があるので、節回しの高さが変わります。
で、3段目でオチを歌う。言ってみれば
コード進行もほぼ自動的である。1段目の前半2小節はコードAにしましょう。すると後が全部決まって、
- 夏も近づく八八夜(合いの手のお囃子)
- 夏も近づく八八夜(合いの手のお囃子)
- 野にも山にも若葉が茂る(合いの手のお囃子)
簡単な歌詞があれば、ギターでガチャガチャ、テンポやリズムパターンを変えて、それに合わせて歌っているうちにそれなりの曲ができます。
- A/A/A/A
- D/D/A/A
- E/D/A/A
ぴんとこないかな。実例。CreamのCrossroads。超名演のギターソロが話題になりますが、歌の部分はホント、ブルース形式です。(ギターソロのおかげで、長年聞かれ続けてきて、そのおかげでブルース形式が残ったものがポピュラーであり続けた、というのが実際のところでしょうが。が、これだけではワンパターン。ちょっとコードの並びを変えたり、合いの手の部分まで歌を入れたりしてバリエーションを増やします。リズムを「アレ」にするとロックンロールの出来上がり。これなんか、大胆にも「サビ」を入れてます。
サビがあるってのが大胆?なんて笑うなかれ。当時としては凄く衝撃的だったと思うぞ。「チャック、いとこの○○だよ。新しいサウンドが欲しいって言ってただろ。」あの興奮のままだと思う。
昔、坂本龍一がラジオ(NHK-FM)で一曲作る過程を聞かせる、という大サービスをやったが、それ以上にすばらしい曲作りの過程をテレビで見たことがある。意外にも明石屋さんまのトーク番組「さんまのまんま」。ゲストはKUWATA BAND(サザンオールスターズの桑田だ)。
30分番組の中で、「さんまのまんま」のテーマ曲を作ってしまった。さんまは「見てちょんまげ」の一言しか作ってなかったのに、雑談しながら発展させている。
「ここでwith youっての入れませんか」「アホちゃいまんねんパーでんねん、っての入れたいんだけど」「ここでさんまさんを一言で表すような言葉ないかなあ」。ただの1回見ただけなのに私この曲今でも歌える。それくらいインパクト強かった。
さんまもすごい、さすが言葉のプロ、この言葉は歌になる/ならないというのをすぐに嗅ぎ分けられるようになって、最後は立派な「作詞者」になっている。桑田さんのお笑いのセンスもなかなか。
見ると勉強になると思うけど・・・。ないかなあ・・・。見つけた!ありゃ、削除されているわ。確かに問題かもしれんが、これに関しては「著作権がどうの」という輩に「文化の発展を阻害するのか」と堂々と言っていいと思う。