紅白歌合戦で、猪苗代湖ズ(なんとかならんかこのセンス)というのが出て、フクシマの歌を歌っていた。聞いていたうちのガキが極めて的確な指摘をしてくれた。「これ、福島県でなくてもいいじゃん」。そう、ちょっと歌詞をいじれば「埼玉」でも「神奈川」でも入れ替え可能である。その歌詞のいじり方にせよ、地図があればそれ以上の知識はいらない。音楽ネタ、目次へ
仕方がないのでご当地色を出すために彼らは「フクシマ」を繰り返している。社民党の福島瑞穂投手へのラブソングなら分からなくもないが、福島のどこが好きなの?
それでも感動した人がいるらしい。いつも厳しい言い方をしているからたまには好意的に受け止めてあげよう。よほど心細いんだろう、藁にもすがりたい心境なんだろう。音楽的にはとやかくいうまい。が、いわば高校野球で言えば21世紀枠相当とはいえ、あんなのが紅白歌合戦に出るというのはあまりいい気がしない。まあ紅白も迷走しているからなあ。小椋佳の紅白歌合戦テーマ曲はどうなったんだろう。
というわけで、いっそ都道府県対抗、ご当地ソングの歌合戦、というのをやったらどうかという気になってきた。岩手や宮城、茨城の歌も歌って欲しい。ただしこれだけでは視聴率が取れそうもないので(猪苗代湖ズが視聴率を稼いでくれるはずであるが、現実的に考えてそう判断していいか僕は疑っている)困ったときの「コラボ」、ゆるきゃらに出てきて画面に花を添えてもらおう。都道府県対抗ということで、ベタベタに「ゆるキャラ、歌の甲子園」なんてどうだろう。なんとNHK的な。都道府県対抗ゆるキャラ大会、は知らないがNHKで似たようなものがあったのを連想して書いているのだ。「ご当地ななみちゃん」である。BSのキャラクタ「ななみちゃん」を各放送局がアレンジした。いろいろありました。人にもよろうが個人的に最低は「さいたま」。最高はNHKが判断したところによると「松山」。はっきり言って「松山」とそれ以外では次元の違いがある。
ご当地ななみちゃんは一般の「ゆるキャラ」と違って、元々のデザインが固定されている。で、それを生かしてアレンジしないといけない。この制約は結構きつかったようで、結局は「コスプレ路線」になってしまった。その地方の特産物を着たり、食べたり、あるいは有名人の格好をしたりである。(福島は野口英世の格好をしている。)
で、松山もコスプレなのだが「俳人」のコスプレである。これがお遍路さんならただのコスプレにとどまったろうが、俳人だから「俳句を読む」。つまり脳から「土着」なのだ。「地元民」なのだ。
観光客でもうどんは食える、衣装の描かれたボードから顔を出して写真は取れる。しかし俳句を読むのはちょっと勉強がいる。(ちなみにBOSSのCM「奥の細道編」大好きである。「この星の 東北の秋は きもちいい」とオチが俳句になっているところ、なんと秀逸な。)さて、ご当地ソングを作るとなるとどういう展開になるだろうか。うまいものを食いまくるか、観光旅行で県内一周するか、そんなところだろう。しかし、これですら猪苗代湖ズよりはましなのだ。でもそれでいいの?そんなところでとどまらないためにはどうするか。難しいぞ。自称ミュージシャンの方にはちょっと悩んで作って欲しい。いい勉強になるだろうからね。とりあえずゆるキャラが応援にいてくれれば、そんなに恥はかかなくて済むよ。
ミュージシャンを自称するからには、せめて地元を理解したご当地ソングを歌ってほしいと言うこと。2011年の紅白歌合戦は演歌系を中心に東北を歌枕にしたご当地ソングが多かった。ぐだぐた言ってきたが、これ聞くと大丈夫かな、って気になる。が、やっぱり最高は、残念ながら北海道だった。
「背伸びして見る海峡は」・・・これだけでたまらないね。前言撤回、これなら観光客でいい。間違いなく函館に足をつけて、その目で津軽海峡を見ている。うちのガキ、文章に対するセンスがそれなりについてきて当方うれしい。一応教育してますよ。例えば「文豪の文章というのがいかなるものか」、一つだけ例を出して説明した。
「吾輩は猫である。名前はまだない。」
すごいと思わない?だってこれを聞いたら誰でも一回で覚えるんだよ。しかも「猫がしゃべる」という、荒唐無稽なシチュエーションをだよ。考えてみて?明治時代だよ。