プレ・クロマチック2.ピックの持ち方

 ギターの構え方が分かったところで次はピックを持ちます。
 エレキギターは一般的にピックを使って弾きますので。
 初習者におすすめのピックは以前ピックボーイから出ていた水牛の角でできたおにぎり型。
 今はカタログから消えて入手は絶望的ですが、あえてこれを引き合いに出します。理由は「このピックを使うとなぜいいか」を説明することが、きれいなピッキングフォームと留意点に触れることになるからです。

 まずは握らないとどうしようもないですから、その握り方からはじめます。
 指三本で握る流儀(後述)と二本で握る流儀がありますがより一般的な二本の方を書きます。
 人差し指と親指で一番「楽に」つまんだでくださいな。親指の方が短く人差し指の方が長いので親指はまっすぐ伸びた感じになり、人差し指は曲がった形になります。ここで気をつけてほしいのは「ピックと指の接触面積を極力大きくする」ということです。つまり「指先でちょんとつまむ」のではなく「べったり押さえる」になります。ちまたのギター教則本は、この「あたりまえ」のことを飛ばして、人差し指と親指が直交するように、とか人差し指の先がピックの先端を向くように、なんて書いちゃうんですよね。結果的にそうなることはあるけども、むしろ稀なんじゃないかな。そのうち各自が自分に適した(と思いこめる)形を見つけるだろうが、まずは持たないと話にならんので「とりあえず形を決めて」とお仕着せるのは分かる。それも一つのやり方だ。
 が、決めるまでの考慮が絶対に少なすぎると思う。というのは、指先には「爪」がある。そこを考慮している形跡がないからだ。つまりさっき紹介したような型だと爪がピックにぶつかるのだ。とすると爪というのはピックを押さえる邪魔になるから、実際に弾いているうちに先ほどの型の直角がずれてくる。ここで皆さん「自分のやり方は変なのか」と悩んでしまうんだよな。
 大丈夫、爪は使いません。指先でものをつかむとき、爪は使いませんよね。それとおんなじ。肉の柔らかさを利用して接触面積を広げましょう。

 まあ速弾きの時は弦とピックが激突する衝撃を避けるために指とピックの接触面積を少なくして力を逃がすこともあるのだが、とりあえず最初は面積を増やすことを考えてください。理由は指先の感覚が使いやすい。少ない力でピックを固定できる。なんてところかな。
 「なんで指二本が親指はともかく人差し指になるのかな?」という突っ込みがあるかもしれないが、これは「信頼できる指だから」ということにしておいてくれ。ちなみに親指と中指で持つという人もいる。手首の回転で弾く場合、回転軸からピックが最も遠くなるので、速く弾けるという理由かな?普段親指と人差し指で持つ人も、ハミングバードピッキングのときは中指、という人もいるし。ちなみにうちのガキはなにも考えず親指と中指で持った。

 さて、この状態でピックを弦のところに持って行き弦をはじくことになる。
 ここで僕の言うピックの持ち方に反論を出したくなる人もいるだろうね。「弦とピックの角度が問題になる」。うん、確かにこれではピックの水平面と弦を張っている方向が水平にはならない。少なくとも角度がピックの持ち方優先で決められてしまう。でもそれでいいです。そこの角度で音色変わりませんから。変わるのはピックスピードが遅いって証拠です。遅くするのも音色づくりのファクターと言うかな。そりゃそうだ。でも「それくらい遅かったら、角度なんてその場でつけ直せるだろう」。はじく瞬間にピックを捻って音色変えることあるよ。
 確かに角度で音は変わります。ただしそこで言う角度は、一般に言われる真正面からみた角度ではないのです。弦をナットからブリッジ方向に見たときの角度。このときピックがどういう軌道をとるか、つまり弦をどっちの方向にはじくか、の角度の方がはるかに音質への影響は大きいです。ところが今までピッキングの角度に言及した人でこっちの角度を問題にした人を当方知りません。やっぱり思慮が浅いなあ、って気はします。指で弾く場合は、具体的にはクラシックギターの弾き方の場合、いきなり出てくるぞ。エレキの人たちはネックの握り方を「クラシックフォーム」と名付ける一方、このへんは無視している。困ったもんです。だから多くの人が悩むんです。
 そういうのを防ぐために、人並み以上に悩まされて、結局弾けないんだけど諦めが悪くて、試行錯誤の跡だけは蓄積された僕が改めて初習者への手引きを書いているんだけどね。

 ピックは弦のどの辺をはじくべきか、フロントピックアップの上か、リアの上か、あるいは真ん中か?ってのが次のトピックになりますが。これは「まず」自分の手が勝手に収まるところでってことでしばらく悩まなくていいです。前回、ギターの構え方を「舞踏」の基本姿勢から導き出したけど、そのとき肘張れっていいましたよね。でそのままストンと落とす。その位置でいいです。ここでもう一つ姿勢の上での留意点。ピックハンドの肘は肩から腱で「吊す」こと。でないと肩に力はいってしまうからね。なお、今ピックを持った手首から先は「だらっ」と垂れています。左手はギターの位置を固定する意味で、ネックを支えています。ネックのどこか、は手が自然に収まる場所でいいです。僕の場合7〜9フレットくらいになるなぁ。

 ようやく弦を弾くポーズ完成。以下、次号。
(あれ、牛角ピック出てこなかったな。)

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