想像以上のパフォーマンスを示してくれた自作マイク。音楽ネタ、目次へ
丁寧に作ることとした。
もっとも私の場合だから、どう作っても雑になるのだが。というわけで方針。
<かわらないもの>
・マイクカプセル(WM-61Aあってのこと。)
・回路(これ以上複雑になると作れない。)
・ケース(IKEAのちょっと変わった茶こしが最高!)
・マイクケーブル(安くて使いやすいモガミ製。これを短く使う。)<変えるもの>
・抵抗(本格的なオーディオ用に換えよ。)
・コンデンサ(電解コンデンサよりやはりフィルム)
・回路とケースを絶縁する素材(ティッシュペーパはなかったな。)
・マイクと回路を固定する板
4つめは多少説明が必要だろう。茶こしのカプセルの中にマイクと回路を入れる必要上、土台になるものがないと部品の位置が確定しない。そこで円盤を入れて、その片面にマイクを、もう片面に回路を貼り付けるってデザインとする。この場合円盤は後ろ方向からの音を邪魔して、多少なりともマイクに指向性を感じさせる役目も果たすことを狙っている。なわけで、余計な共振をしそうもなく、音の反射も少なそう、かつそれなりの強度が見込める「コルク」を使ったのだが、やはり「ハサミでじょきじょき」は無理があった。キリで穴開けたけどやっぱりきれいにいかないしね。そこで適当なものはないかと考える。丸くて、丈夫で不要な共振をしそうもなくて、初めから穴が開いているもの。
ありました。「革のボタン」です。サイズが許せるものを見つけるまで、大変だったぞ。んでもって何よりも改良が必要なのは、マイクに導線を接続するやり方である。
要するに0.2mmしかないGNDのパターンに半田付けするので、力がかかるとすぐにぽろっと外れてしまう。しかも電極ごと。ではどうするか?何のことはない、アースはケースと同電位、ならば導線でケースを巻いて固定。一番端っこをちょんと伸ばしてGNDにくっつければよろし。
すると外部からかかった力は直接ケースに向かうので、パターンがはがれる心配はない。抵抗は、オーディオ用と銘打った金属皮膜を買っとけばばよかろう、とそれ以上に気を使ってませんでしたが、そういえばタクマンが定評あったな。コンデンサはマイクの出力がそのまま通るので、やはりオーディオ用とはいえ電解コンデンサはまずいかな。かといって積層セラミックもなんだな、と悩んでおりました。そもそもいくら「オリジナルよりはるかにでかいケースを採用」とはいえ、2.2μFものフィルムコンデンサを2つ収めるのは難しい。で、探しに行きましたところ、タクマンの抵抗を扱っている店で、ニッセイのAPS(ポリプロピレンフィルムコンデンサ)売っているのを発見。Webにはなかったなあ。何とか収まりそうなのでこれを採用。(ニッセイは倒産したはずなのに・・・後で聞いた話だと中国生産らしい。工場とブランドを買い取った?)
XLRコネクタは新装開店ラジオ会館で購入。あれ、安いの品切れ?というわけでノイトリック製を買った。
案外見つけにくかったのが「紙やすり」。微小信号なので部品のリード線をきちんと磨いておきたいのよ。特にタクマンの抵抗は無酸素銅足。きちんと磨けばそのまま配線材に使える。ところが、「模型屋」さんはたっくさんあるのに、紙やすりをそろえているところが見当たらない。最近新しいタイプの模型屋ばかりでメカメカしいのがないのよね。連合艦隊の艦船模型がそろってそうなことを書いているので足を踏み入れると、なぜか女の子の人形だらけ。しかも完成品。看板に偽りあり!「長門」有希だけであれば私の勘違いと認めてもいいが。結局鉄道模型の店で買いました。コンデンサがでかいので、第一作のようにラグ板には組めない。仕方ない。ユニバーサル基盤にレイアウトを作ります。慣れてはいませんが時間をかけて考えれば何とかなります。
おお、コンデンサを取り付けた真下に線を通せば何とか収まる。前回失敗の絶縁、どうしましょうか。
なんかある程度基板を見せたほうがカッコいいかもしれない。というわけで布で覆うのはやめた。マイクへの半田付け、一番脆弱なGNDへの半田付けは、銅線を長めに剥いて(27mm程度)マイクを一周回してから行いました。銅線を瞬間接着剤を爪楊枝につけて仮止。そんでもって接続した銅線を被覆ごとマイクに接着。ドレイン、ソースへの半田付けも銅線の被覆をマイクに接着。ようするに銅線に力がかかっても、電極の負担とはならず、マイクカプセル本体で支えるようにしたのです。物理的センスのない私が考えたので最善の手とは言えないと思いますが、これも自分の手を動かして失敗しまくり、んでもって反省をもとに頭の中で何度もシミュレーションしての結果でございます。実際に手を使うと、センスのない人間でもそれなりのものは作れるってことです。
少々脱線しますが、私がガキが算数の問題解くときに口やかましく教えているのがこれ。
解き方がひらめかないかな、と待っていてはダメ。まずは順列組合せ、絨緞爆撃でいいから答えを探し回る。そのうち規則性が分かってきて解き方が分かる。確かにあとから考えれば、納得のいく解法があって、知っていれば何の問題もないように見えるけど、それでは未知の事態に対処できない。
今回も似たようなもの。「マイクカプセルにつなぐ電線は電極ではなく、カプセル本体で支えればよい」というのは言われてみれば当然のやり方で、初めから教えてもらえばあたかも周知の方法のように使えるけども、それは手を動かしてどこに問題があるかわかっているからできることなんですよ。
ただし一つ失敗を素直に認める。被覆とカプセルの外周をエポキシ接着剤でくっつけたつもりだったのですが、安物はいかん。アラルダイトにしておくのだった。(それでも100円ショップではなく、しっかりとした店で買ったものなのですが。)この状態で、ユニバーサル基板に部品を配置、配線。しかし部品の実装密度を上げたため、抵抗の足がショートしやすい形態になってしまっている。他の電線の被覆を使って絶縁しました。さすがに熱収縮チューブを使うほどあれではないです。これを左右チャンネル分、2個つくります。
基板にXLRコネクタをつないで、マイクはミノムシクリップでくっつけます。この状態でミキサーにつないで音が聞こえるか確認。感度の比較的近い2個をセレクトしようと4つをとっかえひっかえたのですが、外来ノイズが大きくてなかなか安定しない。もちろんラジオも聞こえます。しかたなく「安定している2個」をセレクトしました。
革ボタンの仕切り板とマイクカプセルをくっつけるか、離して浮かせるか。妙なところで気になりました。どちらを採用するか、比較方法は考えていたのです。仮止めでくっつけたのと浮かせたのを作ってマイク入力の左右につなぐ。目の前で演奏してもらう。ヘッドフォンをずらせて「左耳は生/右耳はマイクとアンプを通す」「左耳はマイクとアンプ/右耳は生」の両方を試し、違和感のなかった方を採用すればよい。左右の耳で同時に聴いて、原音と似た音が得られる方にということだ。明快でしょ。もっともそんなことをする余裕はなかったですが、被覆ごと接着したはずの線がけっこうポロポロ外れるんですよ。(あーやはりアラルダイトを買っとくんだった。)
マイクからの線をボタンの穴を通して、瞬間接着剤で仮止め。基盤に配線。パテで固めてハイ完成。えらくあっさりしてますってか?各工程は脳内で何度もシミュレーションして、HOW-TOを溜め込み、実際にやってKNOW-HOWに高める、って過程がありますが、特にみなさん興味ないでしょ。リクエストがあれば紹介しますが。
完璧なはずだったのですが、ボタンを茶こし(というケース)にくっつけるのに苦労した。
隙間が多くて、かつ流れないように、とタミヤのプラパテを使ったのだが、隙間が多いと いうものの、もともとがちっちゃいものだから作業性がとれないほどに狭い。かくして接着するパテがきったなーくはみ出て、ものすごく見栄えが悪くなってしまった。ドライヤーで温めても沁みこまないんだね。やはりアラルダイトを・・・ところが売ってないんだよなあ。ネットを見る限り生産中止にもなってないようだが。ちゃっちゃらー。ドラえもん風ファンファーレが響く中、やはりあまり見栄えの良くないものが完成しました。
コンデンサにWIMAを使ったのも作ってみたいなあ、などと思いつつ、大変困った問題が。
そもそもうちのガキの所属する吹奏楽部のイベントでの演奏を録音するために作ったのだが、弱小校化した現在、招待してくれるところが減った。つまりせっかく作っても活躍する場がないのだ。それでも去年は市立柏、市立習志野両高校と日替わりで近所の植物園のフェアを盛り上げる役目を果たすとか、日本最大のショッピングセンターでのイベントのオープニングを飾るとか、滑走路の上に陣取っての演奏とか、言い方によってはすごいことをやっていたように聞こえる機会があったのだが。ICレコーダーは、三脚のネジでとめることが出来るので、そこにマイクもつけてしまいたい。土台とする板を挟み込むことになるが、ネジは短いから、薄くて、でも丈夫で、加工しやすいもの(穴あけしやすい素材)が必要となる。うーん、うーん、見つかりました。ガラスエポキシのユニバーサル基盤。当然穴が開いている。ポータブルナマロク基地完成!みよ、このかっこよさ。(マイクのエポキシを除く。)
ものすごく分かりにくいけど、三脚の上に載せてるんだよね。は、早く何かに使いたい。・・・その辺に、蒸気機関車でも走ってませんか?自衛隊のイベントは、申し込みが間に合いません。伝手をたどって自衛官にお願いして非公開分のチケットを・・・一度実弾の音が録りたい・・・あれっ?何が目的だっけ?