ギターを始めたはいいが、Fコードを押さえるのが大変で挫折した人ってのは案外多いらしい。確かに私も2週間ほど苦労した覚えがある。ただし押さえられるようになってからは「Fのフォームが一番楽だ」と思っている。音楽ネタ、目次へ
というのは無造作にネックをつかんだ手の形にいちばん近いからである。ネックの下端に人指し指の付け根を当てる感覚でネックをつかむ。
中指を折り曲げる。
つられて薬指が曲がる。
薬指と一体化して小指が曲がるが短い分薬指の下になる。
ちょこちょこっと位置を補正する。これでFの完成。これがCコードのフォームだと2弦を押さえた人差し指が1弦に触れないように、なんてのに結構気を使うのだ。不自然な動きといってもいい。Fのコードフォームにはそういう不自然さがない。だから楽だ、と言っているのだ。
ただし一つ条件がある。ネックをつかんだときに「人差し指が指板に沿って自然に伸びる」こと。いやこれはギターになれると自然にこうなるのだから言い方が逆だな。ネックをつかんだ状態で人差し指が伸びること。これは案外難しいようだ。いや、簡単なのだがメソッドがなく、皆さんひたすら練習という遠回の末に獲得している特質のようだ。
先日甲子園に行った際、朝の新幹線の中で、となりの人がギター雑誌を読んでいた。話しかけるとギターを始めたばかりとのこと。そこで教則本には載っていない基本的な筋肉の動かし方を伝授した。相手は社内の暇つぶしに珍しい話が聞けて良かったのかな?その代わり当方はギターに不慣れな人がどういう体の使い方をするかを観察させてもらった。そこで気が付いたのが「人差し指が指板に沿って自然に伸びない」ということ。ただしこれはギターを弾くうえで「Fのコードフォーム(より一般的にはバレーコード)が押さえられない」という現象として意識されるのではなく、その時私が隣りの人に言ったセリフをそのまま書くと
「あなた、ギターを立って弾けない口でしょ」。
つまりギター初習者のよくある悩み「立ってギターが弾けません」と同根だったのだ。簡単に言うと、ネックを握る手の手首がかなり急峻に曲がる。立って弾くということは
・ギターが下がった位置になる。
・弾くときの背筋が伸びる。
の要因が生ずるということなので、座った時と姿勢が変わってしまいその無理が多くの場合手首に来るわけだ。するとその状態で「人差し指をまっすぐに」が難しくなるのだな。当然のように手首につられて曲がってしまう。すると、まっすぐ伸ばして押さえることは難しい。
かくしてネックを傾けて、ネックと体の間を開いて、かつて当方が主張した通りの姿勢をとればよいことになる。さすがに隣りの人に具体的には教えられなかった。女性相手に「ただしい姿勢を教えるからハイ寝て」は言いづらい。さて、もう一つコツらしきものを。Fのコードフォームがネックを自然に握った形に近いと言ったが、その時の親指の位置。私は人差し指と相対するところで慣れてしまったが、握った形に近く中指と相対する位置にすることを薦める。すると、元々隣り合ってついている親指と人差し指が自然と近づこうとする。これが人差し指が弦を押さえようとする力を助けることになる。かつ、人差し指は中指に近づこうとブリッジ側に流れることになり、押弦位置がフレットの真横という理想に近づく、とそういうことだ。