合理的なピッキングのやり方説明ビデオ
 下の娘がこっそりYouTubeデビューしていた。
 他の人が集めたアイカツカードのコレクションのビデオを延々見ているうちに自分でもやりたくなったようだ。せっせとお小遣いをつぎ込んで、先行稼働の機器で遊んでいるせいか、皆に先んじて多数集まり、興味を持った人も増え、いつの間にか千件単位のビューを集めているらしい。

 私にも作りたい動画はあったのだ。ギター講座を文字でやっているが、どうしたって通じないところがある。それでは動画で、と以前から考えていたが、でもいろいろ大変だなあと二の足を踏んでいた。ところが娘が動画をあげているとなると、父親としても行動に移さないといけない。こうしている間にも舌足らず(というにはあまりにもいい加減)な教則本のおかげで、最初のボタンの掛け違いをしているビギナーが量産されているはずだ。
 ということで、娘の学校でも部活がはじまるなあ、新入生がギターをはじめたりするよなあ、ということで「クオリティはそんなに重視しなくていいや」と作ってしまいました。
https://youtu.be/7upYNKHQVm8

 言いたいことは既に決まっているので原稿はすぐかけた。カット割りも決まった。カメラも作ってある。
ので、
 カットごとにビデオに撮ってつなげればいいやと思ったのだがこれが大変。
 やはりオートフォーカス付で1980円という投げ売りWebカメラにはそれなりのものがあった。ひょっとしてレンズにカビ生えてますか?
 撮影場所は廊下にした、背景は無地だし、ドアを開けると洗面所とトイレと廊下の照明が3方向から当たるのでそこそこいける。それでもワンカット外で撮りたくなって、ロケ先を探した。でもロケで場所が割れるのはなんだなあ、とガラにもなく気にして思いついた。「よし、逆に分かりやすいところにしよう。例えば大隈講堂が写りこめば、ああ早稲田の学生か、と勝手に納得してくれるかもしれない」。なので散歩がてら近所の大学に。見とがめられたときの言い訳くらいその場で作った。「大学ゆかり(?)の有名人の生家が実家の近くなのでご縁があるかと。」
 実際にやってみると「カメラが安定しない。吸盤で固定だからなあ」。「あれ、視野角が狭い。スカイプ用だからなあ」。と事細かい困難が続出。一つ一つ克服しながら録画を進めてゆく。

 USBカメラのマイクの音がものすごく悪い。ようするに専用の録画ソフトなしでやっているので、リミッターはついてない。音と画像が秒単位でずれる。とにかく音は歪みまくっている。おかげで当方の発音が悪いのが強調されてしまった。いや、朗読だけなら下手じゃないよ。声は響くからね。しかし響いた分は過大入力で歪む。うーん、声だけ録りなおして合成するか?
 しかしこれ以上ソフトの使い方で勉強することが増えては到底間に合わん。というわけで60%でいいや、と突貫工事。確かに私、このままではアナウンサーできないな。熟語のところをひとかたまりで発音するので聞き取りにくいのよ。あと外来語を無理にカタカナで発音している感じが残って分かりにくいと言えば分りにくい。これからしゃべり方少し変えないとね。ベストヒットUSA、小林克也さんの偉大さが分かった。同じアーチスト名でも日本語の中では日本語で発音し、英語の中では英語で発音する。あれ使い分けるのホントは難しい。FM放送のDJが日本語の中で英語っぽく英語をまぜるのはカッコつけているからばかりではなくて、その方が発音しやすいからなのね。
(娘がパパの英語の発音分かりにくい、というのは日本語の中でどっちつかずの発音しているからだと判明。すこし反省。今後は注意しなくては。)
 アニメに多い語尾で個性づけをする手法は手抜きだが、そうしないと語尾が聞き取りにくい人もいるのね。私も「ニャン」にするか「みゅー」にするか「ぷり」にするか、娘と相談して決めてしまおうですわ。

 というわけで不要部分をカットして、テロップ入れて、動画が出来上がりました。突貫工事を反映した完成度。また画像と音声のずれを「カン」で埋めながら話しているので間合いがかなりみょうちくりん。
 しかーし。今から始める若人よ、参考にしてくれ。私みたいに下手にならんでくれ、という願いを込めまくってアップしました。手首を回転させるときにねじれるさまが見やすいようにadidasの三本線の入っているリストバンドをはめてみたり、手首の折れる様子が分かりやすいように白い手袋に線を入れてみたり。そこそこ涙ぐましい努力が。

 今まで存在だけは示唆したものの、見せようがなかった「小指をボディに付けてはいけない理由&そういう悪癖が付いてしまった場合の回避法」「教則本通りに弾くとブリッジミュートができない理由」なんぞがやっと日の目を見ることになりました。

 ホントは解剖学的専門用語を入れまくってカッコつけたかったのですよ。
「ピッキングには、手首の橈屈を使います。この時使われる筋肉は、回内運動に協力し掌屈を主導する橈側手根屈筋、背屈の主動筋でもある長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、更には拇指の橈側外転/尺側内転にも使う長母指外転筋、長母指伸筋、短母指伸筋も連動します。つまり手首の橈屈運動を行うということは手首の左右の動きだけではなくて、前後の動き、回転の動き、拇指の動きも自然と連動するということです。多くの方向の動きを司る、多くの筋肉を一緒に使うわけですから、ピッキングのコントロールが細かくできるようになります。それだけではありません。各筋肉の動きのバランスを変えることによって動作の本質を変えることなく速さや強さを変えることができるのです。したがって速く小刻みに弾くために動きの重点を指を動かす筋肉に移したとしても、まったく別のピッキングの方法を体に覚え込ませる必要は、ないのです。」
(いかにも嫌がられそうでしょ。でも、最後の1文、ものすごくいいことを言っているような。)

 意外なことに画像が結構きれいなのだわ。いや、レンズはなんか汚れているよ。さらになぜか640×480でしか撮れなくて、仕方ないか、と思ってたんだけどね。Youtubeにアップしてから隣りの動画と比べると鮮やかっぽい。ちょっとだけ元気になった。

 次は、ばたつかないフィンガリングを養成するスケール練習(上のガキがハイフェッツの音階練習をあっさりと説明してくれたので、これをギター用に展開した)の動画を作ります。今度は音にも気を付けなければ。というわけで(これだけのためでもないが)マイク、買いました。

 娘からは「はじめしゃちょー(有名なYOUTUBE動画作者らしい)だって、最初の方のビデオは分かりにくかったんだよ」となぐさめの言葉をいただきました。

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