ポイントは掌の位置です

 ポピュラー系、とりわけエレクトリックギターの弾き方、つまりメソッドとして「ネックの親指の位置」というのが取り上げられることが多い。
「クラシックスタイルとロックスタイルに分けられ」。
 どうやらネックの裏に親指を置くのがクラシックスタイルで、指板の6弦側の縁に親指を引っかけるのがロックスタイルらしい。
 私も気にしたことはあるが、よーするにネックはつかむもの、と解剖学的に納得してからぜーんぜん気にしなくなった。そもそも「クラシックスタイル」と言っている人、クラシックギターをちゃんとしたスタイルで弾けるのであろうか。とりあえずバッハを一曲リクエストしてもいいですか?
 自分としては「親指の位置なんか気にせずにすむようになりました」でいいが、世の中の迷える仔羊(仔羊と自覚してくれている限り)を一人でも多く救い、とりあえずギターが弾けるところまでは持って行くという社会的使命を果たすためには、これでは「不十分」らしいということに気が付いた。
 殆どの人は親指の位置を決めろと教則本に言われているわけだ。親指の位置は結果として決まるもので、そこから決めてゆくものではないのだがなあ、ってことをしっかり伝えないと仔羊は迷ったままである。
 よーするにだなあ、肝心なのは
「掌の位置」なのだよ。

 掌はネックの裏側を包むように、ただしちょっとばかり離して。あとは指がよく動くようにというのを最優先で。
 ただしその態勢をキープするのは大変だから、親指だけはネックの裏に置いてよし。別にネックの上にはみ出ても差し支えない。
(親指の位置は副次的なもので、掌の位置を優先すること。)

 これだけで済んでしまう。
 もっとも最近、ネックを持つのは「つかむ」だけでは不十分、というか実は「握る」や「つまむ」の方が適している場合があるのにも気が付いた。ベースでグリッサンドを行う場合など典型だが、腕ごと動かすには、ネックをつまんだ方が安定感がある。1,2弦の場合は握った手を緩めて、つまり指の付け根をネックの端から外したあと力を抜いて、手首をひねって指を斜めにずらせることによって指の間隔を確保した方が人差し指が動かしやすくなる場合もある。(1弦ミュートはやりやすい。)
 もちろん、ネックをつかむ、という感覚を会得した後での話になるが。(バイオリンはネック幅が細いのとスケールが短いので、握って・ゆるめて・ずらす、でうまく行くみたいだ。(ハイフェッツはつかんでいる。なので動きが小さい。さすが。)

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